整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

ステロイド

肉芽組織が上皮化しない時は・・・

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先日の外来で、交通事故後の殿部挫創の患者さんを診察しました。
受傷後1ヵ月以上経過してからの初診で、創がなかなか治らないという主訴でした。


創を診察すると、中央がカリフラワー状の肉芽となっており上皮化が進展していないようです。肉芽上に壊死組織はありません。むむっ!この風景はどこかで見たことがある・・・


それは、こちらの患者さんでした。肉芽が盛り上がりすぎたときは、ストロンゲストのステロイド外用剤を塗ると上皮化することが多いです。形成外科でよく使う治療法だそうです。


整形外科医的な考え方では、「上皮化しないなら、不良肉芽を切除してしまえホトトギス」という織田信長を彷彿させる荒々しい(?)治療をしてしまいがちです。



しかし、このような創では、「上皮化しないなら、ステロイド外用剤を使ってみようホトトギス」という豊臣秀吉的な治療(?)が望ましいです。


肉芽組織にストロンゲストのステロイド外用剤を塗布したところ、この患者さんでも数日で殿部のカリフラワー状肉芽組織が縮小してきました!


整形外科医としてはあまり見ない創ですが、2例目を経験することで治療の引き出しがひとつ増えました。ブログをしていると、医師としても成長しているような気がします(笑)。






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また来た!多数回の腱鞘内注射患者

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本題とは関係無い話ですが、当ブログへのアクセス数が300万を突破しました!
最近では、1日あたり 6000 以上のアクセスが継続しています。


全国の整形外科医は25000名ほどしか居ないのに、名も無い整形外科医の日常診療や投資活動を綴ったブログに、これほど訪れてもらえているのは光栄なことです。ありがとうございます!


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先日、アルバイト先の病院で環指狭窄性屈筋腱鞘炎(ばね指)の患者さんが再診されました。
私は初めての診察だったのでが、この半年で同院で3回の腱鞘内注射歴がありました。


しかも初診の段階で、現病歴の欄に「半年前に他医で2~3回の腱鞘内注射を施行されている」としっかりと記載されていました・・・


つまり、私の前に少なくとも5回の腱鞘内注射歴があるのです。これは非常にマズい状況です。先日もご報告したように、多数回の腱鞘内注射では屈筋腱断裂の危険性が高まります。


環指ばね指なので、普通なら経皮的腱鞘切開術を施行するところです。しかし、少なくとも5回の腱鞘内注射歴がある患者さんに、経皮的腱鞘切開術を施行すると屈筋腱断裂を誘発します。


多数回の腱鞘内注射歴のある患者さんに対しては、経皮的腱鞘切開術など怖くてとても施行できません。仕方なく、従来方式の観血的腱鞘切開術を行う予定にしました。


カルテ記載を確認すると、やはり全員アルバイト医師でした。「その場をしのげば良い」という気持ちは分からないこともないですが、もう少し注意して治療をしてほしいものです。


多数回の腱鞘内注射は意外なピットフォールだと思います。下手すると患者さんと共に、自分まで被害者になってしまうので十分に注意する必要があると思います。




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危険: 腱鞘内注射は2~3回まで!

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先日、夜診のスポットアルバイトを頼まれました。
私にとっては初めて行く病院で、普段は他大学の専攻医で回しているようです。


外来をしていると、「今日も手指の腱鞘内注射を希望」という患者さんがやって来ました。カルテをみると、この数か月で同じ手指に合計6回も腱鞘内注射を施行されているではないですか!!


腱鞘内注射のメニューは水溶性ケナコルトで、これ自体は妥当な選択だと思います。しかし、同一指に6回もの腱鞘内注射を施行すると、屈筋腱断裂の危険性が高まります。


この手の皮下断裂は屈筋腱自体の変性が強いため治療に難渋します。3回以下の腱鞘内注射での屈筋腱断裂の報告はあまり無いようですが、それ以上では多数の報告例があります。


これらの報告を考慮すると、同一手指に対する腱鞘内注射は2~3回までにしておく方が無難だと思います。そして、水溶性ではなく懸濁性ステロイドはもう少し厳しめにするべきでしょう。


腱鞘内注射後の屈筋腱皮下断裂は、注射後半年以上経っても併発する可能性があります。今回のケースは論外ですが、私たちもステロイド腱鞘内注射の既往を確認するべきだと思います。


前医で2回の腱鞘内注射を受けていることを知らずに、こちらで1回腱鞘内注射を施行した結果、屈筋腱断裂を併発しては目も当てられませんから・・・




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IONに併発した大腿骨頚部骨折

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今日の午前は、アルバイト先での外来でした。
1ヵ月前にかなりの殿部~大腿前面痛で初診されました。


腰椎MRIを施行しましたが、軽度の腰椎椎間板ヘルニアをみとめるものの大した所見はありませんでした。大腿前面痛があったので撮影した両股関節の単純X線像も正常範囲内です。


あまりに痛みが強いので、トラムセットを開始しましたが、さほど効果は無いようです。1ヵ月も痛みが続くのもおかしいと思い、もう一度両股関節の単純X線像を撮影しました。


画像を見て驚いたのですが、大腿骨頚部に不顕性骨折を認めるではないですか!大腿骨頚部に仮骨形成をみとめ、大腿骨頭がやや転位しつつあります。


この方は、間質性肺炎に対するステロイド治療の既往があります。間質性肺炎の発症当初はステロイドのパルス療法が施行された可能性が高いです。


こうなると、特発性大腿骨頭壊死症(ION)に併発した大腿骨頚部不顕性骨折である可能性が高いです。もしIONで無ければ臨時手術の適応なので、急遽MRIを撮像しました。


結果は、反対側にも分類上はtype C2の大腿骨頭のtotal necrosisを認めたため、今回の骨折はIONに併発した大腿骨頚部骨折であることが確定しました。


以前にも大腿骨頭のtotal necrosisに併発した大腿骨頚部骨折を経験しましたが、大きく転位しても通常の大腿骨頚部骨折ほどには痛がらない印象を受けました。


そして、今回の方は最後まで”殿部痛”が主な症状であり、股関節部痛はごく軽度認めるのみでした。やはりステロイド服用歴のある方は、股関節疾患も念頭に治療にあたるべきですね・・・。



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出産希望者の関節リウマチ治療

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今日の午前は外来だったのですが、若年女性の関節リウマチの診察を行いました。
その方は第2子の周産期に関節リウマチを発症したのですが、もうひとり挙児希望しています。


この方は現在MTX 6mgで寛解状態です。MTXガイドラインでは妊娠希望の場合、少なくとも3ヵ月前にはMTXを中止する必要があると記載されています。


しかし、私的には3ヵ月では気持ち悪いので、できるだけ半年前からMTXを中止するようにしています。こうなると予定通り妊娠・出産するまで、少なくとも1年半近くかかることになります。


この間、MTXフリーの状態が続くのですが、当然関節リウマチが再燃するリスクが非常に高くなります。現にこの方も、妊娠・出産をきっかけにして関節リウマチを発症しています。


つまり子供は欲しいけれど、関節リウマチが再燃するリスクが高まるという困った状況に陥るのです。この状況に対応するには、現状では下記の2つの方法があります。


① MTXを2mg/月ずつ減量していく過程で、関節リウマチが再燃すればステロイドを投与する
② MTXを2mg/月ずつ減量していく過程で、関節リウマチが再燃すればバイオ製剤を導入する


経済的なことも含めて通常は①を採用するケースが多いと思います。ステロイドといってもリンデロンやデカドロンは胎盤を通過するので、プレドニンやプレドニゾロンを投与します。


しかしステロイドだけで疾患活動性を抑えられない場合は、生物学的製剤(エンブレルもしくはシムジア)を導入します。エンブレルやシムジアは胎盤を通過しにくいと言われているからです。


このあたりの匙加減はケースバイケースなので難しいですね。いすれにせよ、リウマチ医として最も注意することは、MTX服用中の妊娠は絶対に避けることを説明しておくことだと思います。



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