整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

トラムセット

トラムセットは脊椎〇・膝関節×

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私は、鎮痛剤の中ではトラムセットを好んで処方します。
これは、腎機能に対する影響が少ないため、比較的長期投与可能だからです。


特に慢性腰痛症や慢性頚部痛の患者さんの治療では、画像や身体所見で重篤な器質疾患の無いことを確認した上で、トラムセットを第一選択薬として処方しています。


特に便秘などの副作用の出にくい若年者での評判は上々で、すっかり名医になったような気分になることが多いです(笑)。


しかし、脊椎由来の慢性疼痛ではかなりいい感じの治療効果を見込めるトラムセットですが、関節症由来の疼痛に関してはイマイチな印象を抱いています。


KL grade 1程度で関節水腫のきつい症例は、比較的若年者で見かけることが多いです。この場合、膝関節痛の直接の原因は関節水腫です。つまり関節液が貯留するから痛いのです。


トラムセットの鎮痛効果はオピオイドがメインのため、消炎効果は通常のNSAIDsほどありません。トラムセットを服用しても、関節水腫はあまり軽快しないため鎮痛効果が弱いのです。


このようなことを勘案して、私は脊椎由来の慢性疼痛ではトラムセットを第一選択としているものの、膝関節などの関節症に対しては関節注射やロキソニンを第一選択としています。




★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★


 
一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








オピオイドが原因ではない嘔気

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私は1ヵ月を越える処方が予想される場合、鎮痛剤ではトラムセットを処方することが多いです。トラムセットはアセトアミノフェンとオピオイドの合剤なので、腎臓への負担が少ないからです。


トラムセットの副作用として、便秘と嘔気が最もメジャーです。便秘は個人差があるものの、重度であれば服用を中止するしか方法がありません。


一方、嘔気に関しては数日服用すると耐性ができて症状が軽減することがあります。このため、嘔気に関しては数日はがんばって服用してもらうことが多いです。


しかし、先日診察した患者さんで思わぬピットフォールがあることに気付きました。私は初回投与の際には1週間後に副作用の有無を確認するために再診してもらいます。


この際に、患者さんは嘔気があることを訴えられました。私は当然オピオイドの副作用である嘔気だと思ったのですが、ポロッと、胃が痛くてムカムカするとおっしゃられるではないですか!


つまり、この患者さんの嘔気はオピオイドの副作用ではなく、アセトアミノフェンによる消化管障害の症状だったのです・・・


トラムセットにおいて、「嘔気=オピオイドの副作用」のことが多いです。しかし、「嘔気=アセトアミノフェンによる消化管障害の症状」であることがときどきあります。


杓子定規に、嘔気=オピオイドの副作用と考えてナウゼリン等の制吐薬を処方するのではなく、胃部の圧痛などが無いかを確認する機転も必要だと思います。




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トラムセットは入院中が処方し易い

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私は鎮痛剤を選択する場合に、腎機能障害がロキソニン等と比べて少ないと言われているトラムセットを使用するケースが多いです。


トラムセットは眠気と便秘が2大副作用なので、外来では若年者であっても慎重に眠前1錠から投与開始するケースが多いです。このため、導入が面倒くさい印象のある薬剤です。


上記の副作用のため、私は高齢者には使いづらい薬剤だと思っていました。何故なら高齢者には便秘症の方が多いですし、ふらついて転倒するリスクもあるからです。


一方、整形外科の入院患者さんには高齢者が多いです。前述したように以前から私には「高齢者にトラムセットは使いにくい」という刷り込みがありました。


しかし良く考えたら、入院中の高齢者に関しては外来でトラムセットを処方することに比べて、眠気と便秘といった副作用に注意するストレスがそれほど高くないことに気付きました。


何故なら、入院中の方に上記の副作用が発生しても簡単に対処できるからです。トラムセットの副作用は比較的早期に出現します。


このため、眠前1錠服用してもらって翌日に患者さんの回診をすることで、少なくとも眠気やふらつきの有無は確認できます。便秘に関しても入院中であれば容易に緩下剤で調整可能です。


このことに気付いてから、入院中の高齢の患者さんの疼痛コントロールでは積極的にトラムセットを使用するようになりました。疼痛治療も日々変化していくことを実感します。



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 症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方





姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。


                       


       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる



圧迫骨折患者さんの第一選択薬は?

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以前、腎機能に優しい整形外科医で記載したように、高齢者に対してはできるだけNSAIDsの長期投与を避けるべきだと思います。このことに関しては、COX-2阻害剤も例外ではありません。


最近、立て続けに80歳台の高齢者の脊椎圧迫骨折の入院がありました。受傷から3~4週間程度はかなり痛みがあるので、フレームコルセット装着下であっても離床が困難となります。


ロキソニン等のNSAIDsを、80歳台の高齢者に3~4週間も投与し続けることは少し気持ち悪いです。しかし、アセトアミノフェンでは鎮痛効果をあまり見込めません。


そこで、最近では積極的にトラムセットを投与するようになりました。外来診療では便秘・眠気・嘔気などの副作用が気になって高齢者には処方しにくいです。


しかし、入院中の患者さんなら副作用を併発しても迅速に対応できるので、NSAIDsやアセトアミノフェンではなく、腎機能障害の少ないトラムセットを第一選択で処方するようにしたのです。


トラムセットなら3~4週間程度投与しても、それほど大きな問題は併発しなさそうです。また、NSAIDsやアセトアミノフェンよりも鎮痛効果が高いとのことで、患者さんからの評判も上々です。


外来では処方をはばかられる患者層でも入院なら簡単に導入できるので、脊椎圧迫骨折のように比較的長期投与が必要な方には、トラムセットを第一選択にしてもよいかもしれませんね。



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       類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる



自己調整してもらい最短で維持量へ!

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今日の午前はアルバイト先での外来でした。
この病院での外来も、やはり脊椎由来の痛みの治療が多いです。


神経根症状はすぐには軽快しないので、比較的長丁場での治療になると思います。このような
ケースでロキソニン等のNSAIDsを投与し続けることは副作用を考えると少し躊躇します。


そこで、トラムセットやリリカの登場となりますが、これらの薬剤の問題点は副作用の併発を避けるために少量から漸増させるという薬剤の容量調整が必要なことです。


少量では充分な効果を得ることが難しいため、初診から充分量のトラムセットやリリカを投与できるまでの期間は、ロキソニン等のNSAIDsを併用することでしのいでいます。


しかし、厳密にこの工程を実行するには初診からしばらくは毎週受診してもらう必要があります。既に退職している高齢者なら問題無いですが、忙しい現役の社会人では難しいことが多いです。


この場合、私は初診時に最少量の初期投与を行い、次週の再診時に副作用の有無を確認します。副作用が無い場合には、通常量を処方して患者さんに自己調整してもらうことが多いです。


例えば、比較的若年者であれば、それぞれ下記のような処方を行うことが多いです。
 トラムセット:  1錠 眠前 → 3錠 分3後
 リリカ:      75mg × 1カプセル 眠前 → 75mg × 4カプセル 分2後朝夕
 


このような処方を行った上で副作用の有無を確認しながら、リリカは2~3日おきに1カプセルずつ増量、トラムセットも同様に2~3日おきに1錠ずつ増量してもらいます。


そして、2回目の診察終了時には「残薬がどれだけあるか数えてきてください」と言っておきます。3回目の診察に際には、余っている薬剤を差し引いた量を処方するのです


このように処方することで、3回目の診察時には、リリカやトラムセットが維持量に到達していることが多く、忙しい社会人であっても少ない外来回数で治療効果を享受することができます。




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