先日、示指PIP関節内骨折の症例に対する手術がありました。
画像を見ると分かりますが、掌側の粉砕骨折で結構厳しい骨折型です。
掌側から進入してpull-out wireという手もありますが、関節内の陥没している骨片の保持が難しそうです。側方からのプレート固定も難しそう。
そもそも論として、掌側を展開してしまうと屈筋腱の癒着が必発なので、機能温存の観点からはlast choiceになりそうです。う~ん、これはどうしよう。。。
ふと、その時に先日読んだマンガの一場面を思い浮かべました。東京喰種 トーキョーグール:re の 特等捜査官・有馬貴将 vs 隻眼の梟 の戦いです。何じゃそりゃ? ですね(笑)
「隻眼の梟 戦」で、二等捜査官だった有馬貴将は、上官の「クインケ」を惜しげもなく大量に使い捨てて戦いました。今回の症例もコレだな!
整形外科医の武器である「クインケ=C-wire」を惜しげもなく使って、関節内骨折を整復固定しようという作戦です。
結果は上記の通りです。まず、1.5 K-wireを中節骨背側から刺入して中節骨PIP関節面中央の陥没している骨片を挙上しました。適度に曲げては捨てて関節面の整復にこだわります。
そして、中節骨掌側骨片を各種C-wireをintrafocal pinとして用いて整復し、基節骨からのflexion block pin、中節骨基部背側からのblock pin、そして最後はPIP関節固定です。
関節適合性は完全ではありませんが、掌側骨片は粉砕しているため、これ以上圧迫力をかけることはできませんでした。
手術侵襲の割には、いい感じで整復固定できたと思います。最初から手術台にずらりとC-wireやK-wireを並べて手術を行いました。
都度出してもらっていると、待ち時間に整復位を維持できなくなるからです。めったにこのような「贅沢」な手術は行いませんが、症例を選べばアリかもしれません。
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