L1圧迫骨折で入院されている80歳台後半の方が居られるのですが、
受傷後1ヶ月で単純X線像を施行したところ、椎体に不安定性が存在することに気付きました。


受傷時の単純X線側面像でL1椎体が圧潰して楔状変形していたのに、
受傷後1ヶ月目の単純X線側面像では、椎体の圧潰が消失しているように見えたのです。


幸い正面像では椎体に偽関節化の所見を認めていませんでした。
まだ、骨癒合する可能性はありそうです。


そこで、腰椎前屈位となるようにフレームコルセットを調整しました。
フレームコルセットの調整は、力いっぱいフレーム部分の金属を自分の力で曲げます。


原始的な方法ですが、それなりに腰椎は前屈位になります。
ただし、かなり力が必要なので肉離れを起こさないように注意が必要です(笑)。


フレームコルセットの調整後に、コルセットを装着したまま単純X線側面像を撮影したところ、
L1椎体は、いい感じで受傷時レベルの楔状変形に戻っていました。


更に就寝時には基本的に仰臥位を禁止して、
腰椎前屈位の側臥位で寝ていただくように指示を出しました。


DPC病棟ではなかったので、PTH製剤も投与開始しました。
打てる手は全て打ったので、何とか椎体が骨癒合してくれることを祈りたいと思います。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。




                     


                  
Critical thinking脊椎外科