医師仲間で話をしていて、よく話題にのぼるのはファイナンシャル・リテラシーの低さです。『医師や弁護士は専門バカである』 という都市伝説(?)が、まことしやかに囁かれています。


私は、結構な頻度で、このことを自覚している医師に遭遇します。ファイナンシャル・リテラシーの低さを、一種のコンプレックスにしている方が多い印象です。


しかし、平均的な医師のファイナンシャル・リテラシーは、決して低くはないと思います。もちろん、極めて高いことはないですが、肌感覚としては平均よりも少し上ぐらいです。


私は、大家さんや不動産投資家のコミュニティにも属していますが、彼らもさほど高いファイナンシャル・リテラシーを持っているわけではありません。


大家さんや不動産投資家は、単に不動産に関する知見が突き抜けているだけで、ファイナンシャル・リテラシーは平均程度しかない方が多い印象です。


「 な~んだ、それなら安心 」と思ったアナタ! ここで安心してはいけません。何故なら、日本人のファイナンシャル・リテラシーはゼロに近いため、平均であっても全く安心できないからです。


ファイナンシャル・リテラシーがゼロに近い理由は、そもそもファイナンシャル・リテラシーを系統立てて学ぶ機会が無いからです。勉強しないから知識はゼロという状態です。


「 じゃ、少し勉強すれば簡単に平均を上回れるな 」と思うところですが、コトはそんなに簡単ではありません。確かに平均を上回ることは容易ですが、それで結果を出せるかは別問題です。


以前もお話ししたように、ファイナンシャルリテラシーの観点から見ると、もっとも成績が良くないのは下位21~100位ではなく、上位5~20位だったのです!


つまり、中途半端な知識は、「毒」となるのです。ここにファイナンシャル・リテラシー習得の難しさがあります。生半可な知識では、高い確率でヤラれてしまうのです。


著書を執筆するにあたって、この点は最も留意した部分です。医師が経済的自由に到達するためには、何が最も重要なのか? 拙書の中で、その解を記載している部分を転載します。





第1章 資産形成における4つの階層と4つの手法
資産形成における4つの階層  


私は、いろいろな方から資産形成の相談を受けます。たいていは「金融資産投資」「不動産投資」のいずれかに関する相談です。これらの相談に対するアドバイスはとても簡単です。なぜなら、いずれも勝つための定石が存在するからです。


定石にしたがって、その人の状況に合わせて機械的にアドバイスします。しかし、相談を受けながらも相談者が本当の意味で成功する確率は高くないことを感じ取ります。なぜなら、「金融資産投資」や「不動産投資」といった領域は、資産形成という大きな枠組みの中では最下層に位置するからです。私は、次のような枠組みで資産形成を考えています。


①生活習慣・お金に対する心構え
②税法
③資産形成の総論
④資産形成の各論  


①の生活習慣とお金に対する心構えが最も上位の階層です。ここをしっかり押さえておかないと、やっていることがちぐはぐになってしまいます。例えば、日常的にコンビニで買い物をする習慣などは見直すべきです。


極めて多忙なため、自分の時給単価を計算した結果、やむを得ずコンビニを利用するのなら仕方ありません。しかし、何となく通勤路の途中にあるから立ち寄る等は論外です。テレビを視聴するのも、時間単位の情報量が少なすぎるので同様です。ひとつひとつの浪費行為は小さなものです。


しかし、塵も積もれば山となります。極端に矮小化された節約術などを行う必要はありませんが、お金や時間に対するしっかりとした心構えを持つ必要があります。建物で言うと、お金や時間に対する心構えは基礎であり、資産形成の各論は建物になります。


しっかりした基礎が無いと、その上に立つ建物は簡単に倒壊してしまいます。これと同様に、お金や時間に対する心構えがしっかりしていないと、金融資産投資や不動産投資などの資産形成の各論は、極めて不安定なものになってしまいます。  





著書の中でマインドの重要性を強調しているのは、マインドを知らない人に対して、具体例と称して単なる枝葉の知識やハウツーだけを教えてしまうと、「毒」になる可能性が高いからです。


資産形成に即したマインドを土台にして、具体的な知識を習得するというステップを踏まない限り、果実を得ることは難しいのです。


そして、医師の場合、中途半端な知識は一般の方よりも毒性が強いです。それは、職業上の信用度の高さと見かけ上の収入の多さのためです。


平均をかなり上回るファイナンシャル・リテラシーの医師でさえ、社会的信用度や収入に対する比率を考えると、一般の方と比べてかなりアンバランスです。つまり「 絶好のカモ 」なのです。



このような危険性があるため、社会的信用度や収入が高ければ高いほど、自分の身を守るためにも、マインドを土台にしてファイナンシャル・リテラシーを高める必要があります。



医師のファイナンシャル・リテラシーは、絶対値としては低くないものの、社会的信用度や収入ほどには高くない方が多いので、具体例よりも、まずマインドを学ぶことが重要だと思うのです。



【 お願いがあります! 】


拙書「医師の経済的自由」のAmazonレビューが、まだまだ少なくて困っています。マインドや資産形成論についての、あなたの意見や感想を是非聞かせてください!







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当ブログ管理人書き下ろしの書籍が、中外医学社から発刊されました。「経済的に自由な医師」になることで、医師としての充実感と経済的成功を両立できる道があります。


本著では、資産形成論とマインドを学ぶことができます。具体的な手法は勤務医のための資産形成マニュアルに譲りますが、医師に特化した資産形成の入門書として是非ご活用ください!




161228 【書影】医師の経済的自由