整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

マーキング

抜釘時の小さな工夫

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昨日は、抜釘術を施行しました。
半年前に施行した手術なのですが、手術創が既に分かりにくくなっています。


このような方にイソジンドレープを貼付すると、手術創が全く分からなくなってしまいます。手術創と平行に新しく切開を加えることは皮膚の血流から考えても避けたいところです。


今まではイソジンドレープを貼付してからこのことに気付き、執刀開始時に再度イソジンドレープを創周囲のみ剥がして手術を行っていました。


しかし、何度も同じ過ちを繰り返していると、さすがの私も少しは学習するらしく、最近ではイソジンドレープを貼付する前に皮膚ペンで前回皮切にマーキングするようになりました。


もちろん、イソジンドレープではない透明なドレープを貼付することも可能ですが、皮切が分かりにくくなっている方は透明ドレープでさえも前回皮切を判断できないことがあります。


皮膚ペンでマーキングすることでイソジンドレープの清潔な術野で手術を行うことが可能となりました。非常につまらないことですが、医療はこのような小さな工夫の積み重ねだと思います。



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脛骨遠位骨端離解の徒手整復の工夫

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昨日の夜診で救急患者さんを受け入れました。
11歳の女児が転倒してから右足関節が痛くて歩けないとのことで救急搬送されたのです。


単純X線像では脛骨遠位骨端離解(Salter-Harris type 2)でした。私の経験症例は転位が10mm未満のことが多かったのですが、今回はめずらしく転位が大きかったです。



AP

LR




来院時にはすでに足関節周囲の腫脹が高度で、局所の重症感がありました。このような状況では、軟部組織が邪魔をして徒手整復が難しい場合があります。


私は透視をあまり見ないで、実際の骨折部に意識を集中させて徒手整復する主義です。整復を一瞬で終わらせるには、骨折部を正確に把握する必要があります。


この場合の工夫として、あらかじめ透視下に骨折部をマーキングしています。今回は胡坐位をとってもらい側面像で整復位を確認するので、足関節内側の骨折部直上にマーキングしました。


骨折部のマーキングよりも少しだけ中枢側で足関節前面からカウンターを掛けながら、踵部を前方方向に力一杯押すと整復されました。一応モニターは見ますが、意識は両手に集中させます。


整復後AP

整復後LR



脛骨遠位骨端離解を完全に整復することは難しく、側面像で2-3mm程度の転位が残存するケースが多い印象です。この程度の転位はある程度許容せざるを得ないのかなと考えています。


整復後は足関節中間位でのギプスシーネ固定を施行します。足関節を背屈する方が骨折部が安定しますが、背屈位までなかなか持っていけないことが多いと思います。



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THA: 形成不全股はマーキングしよう!

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今日の午前も人工股関節全置換術(THA)でした。
連日のTHAネタで恐縮です・・・。


この方は、幼少時にSmith-Petersen approachで前方からの股関節手術を受けていました。股関節前方の癒着が予想されたので、今回は前外側アプローチを選択しました。


単純X線像のごとく、中~高等度の臼蓋形成不全がある股関節だったので、リーミングを慎重に施行する必要がありました。CTで計測したところ、予定サイズは46>44mmでした。



140515-1



セメントレスTHAは、セメントTHAよりはカップのhigh hip centerを許容しますが、それでもバイオメカニカルな観点からは、できるだけ原臼位に近いところにカップを設置する方が望ましいです。


しかし、日本人に多い二次性股関節症では原臼位にカップを設置することは、技術的に困難なことが少なくありません。このような「絶壁」のような寛骨臼でのリーミングにはコツがあります。


リーミング部位の決定は寛骨臼上縁からの距離を一つの基準としています。船橋整形外科病院の老沼先生は、寛骨臼のカップの上縁がくる部位に電気メスで直接マーキングされていました。


例えば寛骨臼上縁から10mmがカップの端になる場合には、10mmの平ノミをメジャー代わりにして寛骨臼内に電気メスで球状にマーキングします。今日の症例では約15mmでした。


この骨表面にマーキングしたラインを上縁にしてリーミングを行うと、high hip centerになることなく、術前計画通りの高位にカップを設置することができます。



140515-2



今朝の症例では上図の矢印の位置がリーミングの上縁です。寛骨臼とカップの間には骨移植を行っています。カップ設置位置の上縁のマーキングは臼蓋形成不全股では勧めの方法です。




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TKA: 術中操作のリストラを推進しています(笑)

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昨日の午前は人工膝関節全置換術(TKA)でした。
80歳台ですが、骨質が良くて非常にスムーズに手術を行うことが可能でした。


私はTKAの術前に股関節・膝関節・足関節を同時に撮像するCTを施行しています。これは、大腿骨顆部のcondylar twist angle(CTA)および下腿の外旋角を計測するためです。


もちろん、condylar twist angleの計測だけなら単純X線像のkneeling viewでも可能ですが、いずれにせよ術前からcondylar twist angleを正確に把握することが可能です。


私は、TKAでもTHAでも骨の上にどんどんマーキングをしています。最近まで大腿骨顆部のcondylar twist angleを確認する目的で、上顆軸(clinical epicondylar axis)も術中に線を引いていました。


尚、condylar twist angleとは後顆軸(posterior condylar axis)を基準としたclinical epicondylar axisとなす角度のことで、大腿骨コンポーネントの回旋設置角の指標となります。


しかし、術中にはposterior condylar axisが正確に分からないことと、術中に引く上顆軸の正確さに疑問を持ったのでこのステップは省略することにしました。節約できる時間は約2分といったところでしょうか(笑)。


小さな改善の積み重ねが手術時間の短縮につながるのかなと考えています。





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THA: 高度臼蓋形成不全股では寛骨臼にマーキングすると便利です

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昨日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。中~高等度の臼蓋形成不全がある股関節だったので、リーミングを慎重に施行する必要がありました。


セメントレスTHAは、セメントTHAよりはカップのhigh hip centerを許容しますが、それでもバイオメカニカルな観点からは、できるだけ原臼位に近いところにカップを設置する方が望ましいです。


しかし、日本人に多い二次性股関節症では完全な原臼位にカップを設置することは、技術的に困難なことが少なくありません。このような「絶壁」のような寛骨臼でのリーミングは、まさに彫刻で作品を造り出す感覚です(笑)。


冗談はさておき、リーミング部位の決定は寛骨臼上縁からの距離を一つの基準としています。船橋整形外科病院の老沼先生は、寛骨臼のカップの上縁がくる部位に電気メスで直接マーキングされていました。


例えば寛骨臼上縁から10mmがカップの端になる場合には、10mmの平ノミをメジャー代わりにして寛骨臼内に電気メスで球状にマーキングします。


骨に直接マーキングする発想を初めて拝見したときは新鮮な驚きでしたが、今では私もTHA・TKAに関わらずどんどん骨の上に電気メスや皮膚ペンでマーキングしています。


寛骨臼もカップ設置位置の上縁をマーキングすることで、それ以上中枢にリーミングしないように注意できるのでお勧めの方法です。



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