私の勤めている病院では回復期リハビリテーションがあるので、近隣の医療機関からリハビリテーションが必要な患者さんの紹介が多いです。


このこと自体は結構なことなのですが、病院の収益性を考えるとあくまで入院患者さんの紹介に限ります。入院と外来では同じリハビリテーションを行ってもずいぶん点数が異なるからです。


しかし、整形外科医にとってリハビリテーションの点数の違いにはあまり注意が向かいません。私達にとっては患者さんが良くなればOKであり、病院の収益性は二の次だからです。


しかし、この御時勢ではそうばかりも言っていられません。理学療法士(PT)の数には限りがあるので、収益性を考えると可能なかぎり単価の高い入院患者さんに注力する必要があります。


そして、通院リハビリテーションの問題点は点数の単価の低さだけではありません。結構な頻度で通院リハビリテーション予約のドタキャンがあるのです。


当然、PTは予約時間に体を空けているので、一度でもドタキャンされると病院は丸損になってしまいます。これは大きな機会損失になるため、収益的にはいかにも痛い話です。



このような理由から、病院では通院リハビリテーションを敬遠する傾向にあります。医療経済的に考えると、通院リハビリテーションの点数をもっと上げるべきかもしれません。


そうは言っても国が定めるリハビリテーションの点数は合理的でもあります。運動器では150日の制限がありますが、確かに150日以上経過していると治療効果を得ることが難しくなります。


リハビリテーション難民の方からすれば何ともやるせない制度ですが、限りある医療資源を有効に使うためには非情ですが線引きは必要です。


いずれにせよ、私達は決められたルールに従って粛々と治療をすすめるしかありません。先が見えないことが多い患者さんが多いリハビリテーション医療は、なかなか難しい分野ですね。


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