整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

ルート確保

乳房切除術側でルート確保禁の理由

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先日、多発骨折の患者さんの手術がありました。
この方は、下肢骨折に加えて橈骨遠位端骨折もあります。


更に健側上肢は、乳房切除術+リンパ節郭清後でした。この場合、ルート確保を患側上肢で行うことは禁忌と言われました。禁忌って、そんなキツイ言葉使うんですか・・・


禁忌という言葉に違和感を覚えたため、乳房切除術後の患者さんでは患肢でルート確保をしてはいけない理由を調べてみました。




理由1 リンパ浮腫の併発リスク


動脈や静脈は閉鎖した脈管というイメージが強いですが、実際にはこれらに加えてリンパ管が毛細血管レベルで細胞外液のやりとりをしています。


特に静脈周囲にはリンパ管が発達しており、リンパ管も細胞外液運搬の役割を果たしています。そして乳房切除後(リンパ節郭清後)では、リンパ管が正常に機能していません。


リンパ管には心臓のような循環ポンプがない代わりに逆流防止のための弁があります。この弁のためにリンパ液を逆流させることもできず、リンパ液は溜まってしまいます。


これがリンパ浮腫です。 一度リンパ浮腫を併発するとなかなか軽快しません。長期にわたってリンパマッサージが必要となるため、患肢でのルート確保は望ましくないのです。




理由2 感染症リスク


リンパ節を郭清するとリンパ液の環流が低下するため、感染に対する抵抗力が落ちます。このため、ルート確保部に感染を併発するリスクが通常よりも高いです。




なるほど、このような理由のため乳房切除術(リンパ節郭清)後の患者さんでは、患肢でルートを確保するのは避けた方がよいのですね! いやいや勉強になりました。







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静脈可視装置AccuVeinは有用なのか?

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静脈ルートの確保は、医師として習得するべき基本的手技です。
しかし、ときどき前腕に全くルート確保できなさそうな患者さんを散見します。


できれば橈骨茎状突起部でのルート確保は、橈骨神経浅枝損傷を回避するためにも避けたい・・・。このようなケースではAccuVeinという器械があることを同僚に教わりました。



キャプチャ - コピー



Acuveinは、酸素と解離した還元ヘモグロビンを指標として、赤外線と可視光によって体表面から非接触に皮静脈を非接触に可視化します。 これはビジュアルインパクト大ですね!


緊急時、小児、非常に血管が触知しにくい患者さんのルート確保に役立ちそうです。しかし、1台の年間レンタル料は270756円もかかるようです。では、実際にどの程度有用なのでしょうか?


PubMedでAccuveinを検索すると、9本の論文がヒットしました。最も新しい下記の論文のAbstractを読むと、結果はイマイチだったようです。


Peripheral intravenous cannulation with support of infrared laser vein viewing system in a pre-operation setting in pediatric patients.
Rothbart A, Yu P, Müller-Lobeck L, Spies CD, Wernecke KD, Nachtigall I. BMC Res Notes. 2015 Sep 21;8:463. doi: 10.1186/s13104-015-1431-2. 



CONCLUSIONS: In our study we were not able to reduce neither time nor number of attempts until a successful venous cannulation in children using the vein viewer. Given certain limitations of our study as the lack of randomization and no control for inter-operator variability, the conclusions drawn from it are also limited, but by our results laser-supported cannulation cannot be recommended for standard procedures.



最後にはっきりと、スタンダードとしてはお勧めできないと書いてあります。まぁ、考えてみれば結構はっきり見えている血管であっても、血管壁が脆い方のルート確保は容易ではありません。


つまり、いくら血管がはっきりみえても、ルート確保を成功に導く要素はそれだけではないのです。もう少し安価であれば、導入する価値があるのかもしれませんが・・・。





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