昨日の手術は、午前・午後とも人工股関節全置換術(THA)でした。
午後の方は、骨増殖性変化が強くて関節拘縮も高度でした。


このような方は、展開が難しいので大腿骨骨折を併発しないように慎重に手術を行う必要があります。首尾良く脱臼できても、まだ安心できません。


骨棘形成が著しいため、寛骨臼がタコツボのようになっていることが多いです。このような場合にはリーミングの前段階で邪魔になる骨棘を切除します。


そして、リーミングが終了してカップを設置してから、カップの赤道面よりも末梢側の骨棘を切除します。この操作により下記の如くのメリットがあります。


 ① ポリエチレンの設置が容易になる
 ② インピンジメントの原因が除去されるため、股関節が安定する
 ③ 拘縮した股関節の緊張が緩和されるため、術後のリハビリテーションがラクになる


できるだけ骨を温存するという考えもありますが、私は特にカップの赤道面よりも末梢側の余分な骨棘は基本的に全て切除するようにしています。


ただし。荷重部の骨棘(roof osteophyte)は別です。この部分はポリエチレン設置やインピンジメントの原因にはなりにくいので、インプランテーション後の緊張をを確認してから切除するかどうかを決定しています。



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                                    人工股関節全置換術