整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

上昇

エンゲル係数上昇を真摯に受け止める

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日の朝日新聞デジタルで興味深い記事がありました。エンゲル係数、29年ぶり高水準 食生活の変化が影響か です。




消費支出のうち食費が占める割合を示す「エンゲル係数」が急伸している。総務省の家計調査によると、2016年(2人以上世帯)は25・8%と前年から0・8ポイント上昇し、29年ぶりの高水準になった。かつて学校で、低下することが「豊かさを測る尺度の一つ」と教わった係数がなぜ今、上昇しているのか。  


東京都江戸川区のスーパー「いなげや」の総菜売り場で、近所の女性(74)が和洋とりどりのおかずの品定めをしていた。  


「夫の介護で疲れているときはお総菜にしています。手作りするのと半々ぐらい」。女性は要介護2の夫(73)と二人暮らし。介護費がかさみ、年金だけでは足りず月10万円ほど貯金を取り崩して生活する。それでも「食費はかかるけど、そうも言っていられない」。  


「時間がなくて、ついついお世話になっています」と話すのは会社員の女性(44)。夫と共働きしながら2人の子育て中。「割高だけど、時間を買うと思って週に3回ぐらいは買っています」  


高齢化や共働き世帯が増える中、家計の「食」の中身は、かつてと様変わりしている。中でも総菜など「調理食品」が消費支出に占める割合は16年に3・4%と、30年前(1・8%)の倍近くに増加。外食や、ペットボトルで買うことも増えた飲料などが伸びているのも特徴だ。  


経済成長とともに下降の一途をたどってきたエンゲル係数は、05年を境に上昇傾向に転換した。総務省が14~16年の上昇幅1・8ポイント分について分析した結果、その半分の0・9ポイントを占めたのが食品価格の上昇。円安で輸入食品の価格が上がっているのに加え、中国など世界的な食料需要の高まりなどが背景にある。  そこに、調理食品や外食の増加などライフスタイルの変化(0・2ポイント)や、将来に備えた節約志向などで消費支出そのものが減った影響(0・7ポイント)が加わった。  


「生活にゆとりのないばあい、他の生活費は減らせても、食料費だけは減らすことが難しいので、一般的には、エンゲル係数が大きくなる」  


30年前の中学「公民」の教科書でこう説明されていたエンゲル係数だが、最近の上昇は貧困の予兆なのか。  


岐阜大の大藪千穂教授は「かつてと違い、高齢化や為替変動、食文化の変化など様々な要因が全部混ざってエンゲル係数が上がっており、『上昇したから貧困』と直結はできなくなっている」と指摘。一方で、「特に低所得者層にとっては今でも生活の大変さを表す指標の一つとして重要な意味を持ち、中身を分析して影響を考えていく必要がある」と話す。 





エンゲル係数が上昇している・・・。あまり良いニュースではありませんね。ご存知のように、エンゲル係数とは家計の消費支出に占める飲食費の割合のことです。


20%台前半の他の先進諸国と比較して、日本のエンゲル係数はやや高めです。しかし、エンゲル係数は、価格体系や生活慣習の異なる社会集団の比較には必ずしも役立ちません。


日本のエンゲル係数の高さが、単純に他の先進諸国よりも生活水準が低い証拠にはならないのです。しかし、時系列でのエンゲル係数の上昇は由々しき問題です。


記事の最後で、識者の方が高齢化・為替変動・食文化の変化などの様々な要因が混ざってエンゲル係数が上昇しているため、単純に貧困化しているとは言えないとコメントされています。


しかし、現在の為替変動は、過去30年の中で決して過度の円安ではありません。また、食文化もこの30年で変化したということは無いと思います。


やはり、エンゲル係数上昇の原因は、高齢化およびこれに付随した貧困化だと考えます。そして、この現象は、医療業界にも深刻な影響を及ぼします。


大学病院や大規模公的病院のような基幹病院においては、 医療費支払いに困らない患者層(裕福な世帯や生活保護世帯)が多いので、あまり目立たないと思います。


しかし、一般世帯の懐具合を肌で感じる場末病院においては、貧困化は切実な現実として治療方針の選択にも暗い影を投げかけています。


私は治療方針を決定する際には、必ず患者さんと懐具合を相談しながら一緒に考えるようにしています。特に、初診の際には思わぬ出費になりがちなので注意が必要です。


初診時の医療費の高さで「ガツン」 とやられてしまい、その後の治療が続かないようでは、お互い不幸になりますから・・・





★★ 『 整形外科の歩き方 』でお宝アルバイト獲得のための基本講座を公開中です! ★★






閉経後肥満は必ずしも有利ではない

このエントリーをはてなブックマークに追加

Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
閉経後は体重増加でも骨折リスク上昇 です。




低体重(痩せていること)は骨粗鬆症による骨折リスクを高めることが知られている。米国のCarolyn J. Crandall氏らは,閉経後女性を対象とした解析から,閉経後には体重減少だけでなく体重増加も骨折リスクの上昇に関連していたとBMJ(2015; 350: h25)に報告した。


ただし,体重増加に関連した骨折の好発部位は,体重減少の場合とは異なっていたとの新たな知見が得られたという。大規模疫学調査Women’s Health Initiative(WHI)のpost hoc解析で明らかにされた


                                 





詳細は、上記リンクを参照願いたいのですが、内容を要約すると下記のようになります。 


閉経後3年の体重減少群は、大腿骨近位部骨折リスクが65%・体幹部骨折リスクが30%・上肢骨折リスクが9%上昇した。体重増加群は上・下肢骨折リスクがそれぞれ10%,18%上昇した。  


私の中では、「高齢者で太っていることは、骨的には良いことだ」でした。しかし、残念ながら閉経後から急激に体重が増加した場合に限っては、この認識は当てはまらないようです。


加齢とともに男性は枯れていき、女性は肥えていく印象がありますが、何事も変化し過ぎることは良くないのかもしれませんね。



 ★★ 『 整形外科の歩き方 』でお宝アルバイト獲得のための基本講座を公開中です! ★★


      




手術は週央の午前中がお勧め!

このエントリーをはてなブックマークに追加


Medical Tribune 2014年7月10日号に興味深い記事がありました。
「午後・週末・2月の手術で院内死亡率上昇」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


-----------------------------------------------------------------------------


ドイツ・Charité-University Medicine BerlinのFelix Kork氏とClaudia Spies氏は、午後・週末・2月に行われた手術では、その後の院内死亡率が高いことを,欧州麻酔科学会で報告した。


Kork氏らは、ベルリンの三次医療大学病院2施設で、2006〜11年に手術を受けた患者21万8,758人について手術が行われた時刻と院内死亡の関連を後ろ向きに解析した。  


午後の手術は、午前中の手術と比べて院内死亡リスクが21%上昇した。週末の手術は、平日の手術と比べリスクが22%高かった。2月の手術は他の月と比べてリスクが16%上昇していた。



-----------------------------------------------------------------------------


これは興味深い研究だと思いました。確かに自分の実感とマッチしているからです。私は全身状態のあまり思わしくない症例に関しては、できるだけ週央の午前に手術するようにしています。


何となく午後の手術や週末に施行する手術は嫌なので、避けることができるのならできるだけその時間帯は避けようとしているのです。


日本とは環境の異なる外国における21万人もの膨大なデータから解析された結果なので、私が臨床医として日常的に感じているイメージもあながち間違いではなかったようです。


緊急手術や準緊急手術はこの限りではありませんが、ある程度余裕のある予定手術に関してはできるだけ週央の午前中に手術予定としておいた方が無難のようです。




       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

整形外科を志すなら、キャンベル(Campbell's Operative Orthopaedics)は必須でしょう。ペーパー版以外にも、DVDやe-ditionもあって便利です。更にKindle版は約30% OFFで購入可能です。このような辞書的な医学書は、電子書籍と相性が良いと思います。




                         

             Campbell's Operative Orthopaedics: 4-Volume Set with DVD



論文: 人工関節置換術後の2週間に急性心筋梗塞リスクが著明に上昇

このエントリーをはてなブックマークに追加

Medical Tribune Vol.45, No.38で、人工関節置換術の合併症に関する記事がありました。


--------------------------------------------------------------------


人工関節置換術後の2週間に急性心筋梗塞リスクが著明に上昇
Arief Lalmohamed, et al. Archives of Internal medicine 2012; 172: 1229-1235.


THAとTKAの両手術は、併せて全世界で年間約180万件施行されている。1998.1~2007.12にデンマークでTHAもしくはTKAを受けた95227例のデータを抽出して、背景を一致させた対照群286165例と比較した。


平均年齢はTHA群71.9歳、TKA群67.2歳であった。術後2週間時点でのAMIリスクはTHAで26倍、TKAで31倍であった。術後2週間経過するとAMIリスクは急激に低下するものの、THA施行患者では対照群と比べて術後6週間まで有意に高かった。


術後6週間時点でのAMIとの関連で最も高かったのは80歳以上のTHA施行患者で、一方60歳未満のTHA施行患者では有意なリスク上昇を認めなかった。


術後6週間時点でのAMIの発症リスクは、THA施行群で0.51%、TkA施行群で0.21%であった。


--------------------------------------------------------------------



なかなか衝撃的な論文ですね。私は500例以上の人工関節手術に携わってきましたが、幸いまだ周術期のAMIには遭遇していません。この論文の確率的には1~3例のAMIが発生してもおかしくないです。


デンマーク人が対象なので日本人にそのまま当てはまらないかもしれませんが、人工関節置換術後の心疾患リスク上昇を改めて認識させられました。

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。