昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
高齢者で大腿骨転子部骨折後の方だったのですが、初回手術がCHSを施行されていました。
CHSのラグスクリューがカットアウトして寛骨臼荷重部が削れていました。単純X線像では寛骨臼の欠損程度がはっきりしませんでしたが、CTではかなり大きな骨欠損がありました。
実際に股関節を展開すると、関節リウマチのprotrusio acetabuliのような状況でした。寛骨臼辺縁は比較的温存されていましたが、荷重部を中心に巨大な骨欠損を認めたのです。
このような症例では寛骨臼辺縁でカップを固定するしかありません。そして寛骨臼辺縁の軟骨下骨を穿破してしまうと骨質不良な海綿骨しか無いので慎重なリーミングが必要です。
実際、70%程度の力で慎重にリーミングしましたが、あっというまに軟骨下骨を穿破しそうになりました。なんとかカップの固定性を得ましたが、冷や汗モノの手術でした。
大腿骨転子部骨折後のカットアウト症例は時々見かけますが、THAの難易度はプライマリー症例の比ではありません。感覚的にはプライマリーとリビジョンの間ぐらいの難易度です。
単純X線像で容易そうにみえても、可能であれば股関節外科医と一緒に手術を施行することを強くお勧めします。
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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です
人工股関節全置換術
中心性脱臼
昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
この方は股関節の癒着が激しく、大腿骨頭の脱臼が困難でした。
関節リウマチで中心性脱臼しているような脱臼困難な症例では、大腿骨頚部のダブルカットが有効です。まず、臼蓋縁ぎりぎりで大腿骨頚部の第一骨切を行います。
ボーンソーの刃を臼蓋縁に沿うように末梢方向に向けてやや倒すのがポイントです。第一骨切の後、平ノミを骨頭下に挿入・梃子にして大腿骨を浮上・脱臼させます。
その後、梨状窩の高位や小転子からの距離から第二骨切を適切な高位で行います。第二骨切の後、骨頭抜去器を用いて寛骨臼内の大腿骨頭を摘出します。
注意点として、 第一骨切の骨切部はすぐに髄内からの出血で分かりにくくなります。これに対応するため、横に平ノミを置いてすぐに骨切部に挿入できるようにしておくことがポイントだと思います。
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人工股関節全置換術
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