日常診療でよくみかける病名が「中心性頚髄損傷」です。高齢者の転倒や交通事故患者さんで両上肢のしびれの訴えがあるとつけてしまいがちな病名です。


しかし、
単に上肢しびれだけで、安易に中心性「頚髄損傷」という診断をつけることには問題があると考えています。頚髄損傷なので四肢に麻痺が存在することは必須です。


しびれがあると麻痺もあると考えがちですが、もちろんしびれと麻痺は全く別物です。しかし、整形外科医の中でも、しびれ ≒ 麻痺と連想してしまう人を散見します。


誤った認識のまま診断すると、当然治療法も誤ってしまいます。本当は中心性頚髄損傷ではない症例に対して、ステロイドパルス療法や手術療法が施行されると目も当てられません。


ステロイドパルス療法は有効性が否定されているので最近では施行されることも少なくなりましたが、脊椎専門クリニックで積極的に椎弓形成術が施行されているのを散見します。


私は専門外ではあるののの、自分が診ていた頚椎症性神経根症の患者さんが「中心性頚髄損傷」という診断で手術療法を施行されたことをみて唖然とした経験があります。


一方、交通事故患者さんでは高齢者の転倒事故とは別の意味で、安易に中心性頚髄損傷という病名を付けてしまうことで要らぬ争いの種をまいている症例をみかけます。


中心性頚髄損傷は
症状が頚椎症性神経根症と紛らわしいことがありますが、整形外科医としてしっかり診断していきたいと思います。







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