整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節全置換術

THA: セメントステムの良さを再確認

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先日、人工股関節再置換術(THA)がありました。
弛みのない30年モノのセメントレスステムの抜去が必要でした。


当時流行っていたフルポーラスのセメントレスステムなので、
大腿骨スプリット法を併用せざるを得ず抜去に難渋しました。


最終的には骨量の回復を目的として Impaction bone grafting法(IBG法)併用セメントステムで手術が終了しましたが、セメントレスステムの再置換術の難しさを改めて感じました。


セメントステムであった場合には、当然のごとくセメントレスステムと比較して圧倒的に抜去は容易です。迅速かつ安全にステムを抜去することが可能です。


もちろん、残存しているセメントの摘出には難渋しますが、弛みの無い症例なら最初から cement in cement techniqueで対応することができます。


カップと異なり、ステムに関しては長期成績も良好です。たしかに現在では、セメントステムを第一選択にしている施設は少数派です。


しかし、特に再置換術が前提となる若年者においては、セメントステムを第一に考えることもアリではないかと思いました。







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THA: カップ固定性は音で分かる!

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セメントレス人工股関節全置換術(THA)において、技術的な問題が発生しがちなのはカップ設置です。カップの固定性や固定角度の問題を経験した方は多いのではないでしょうか。


さて、そのうちカップ固定性に関してはセメントレスカップを選択するかぎりは100%回避することはできません。


しかし、カップをインパクションした際にカップの固定性はある程度判断できます。私の場合、カップの固定性は「音」と「ハンマーの手ごたえ」で判断しています。


特に「音」に関しては、ハンマーを叩打していると固定性を得られた瞬間に音が変化します。具体的に言うのは難しいですが、少し重い音に変化するのです。


この音の変化が分かると「ああ、今回のカップ固定性は問題無しだな」と判断することが可能です。音の変化を確実に聴取できたときには、ほぼ100%固定性がバッチリです。


一方、音の変化を聴取できずに最後まで軽い音が続く場合には要注意です。このような症例でもそれなりの固定性を獲得していることはありますが、イマイチなことが多いです。


このようなカップの固定性を獲得できた確証をえられない症例では、ホルダーを除去してから最初のスクリューを挿入するまで、素早い動作と細心の注意が必要です。


このように、カップ叩打時の音の変化は、カップの固定性を知る指標のひとつとして重要だと感じています。





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THA: おススメの移植骨採取法

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人工股関節全置換術(THA)の際に、骨移植を施行せざる得ない症例は少なくありません。移植骨の第一選択は、もちろん大腿骨頭および大腿骨頚部の海綿骨です。


大腿骨頭から骨を採取する際にはリウエルや鋭匙を用いますが、摘出した大腿骨頭を把持しながら移植骨を採取するのひと手間です。


大腿骨頭はツルツル滑るので、手元が狂うと自分の手を損傷しかねません。このような時にうまく移植骨を採取するコツがあるのでしょうか?


事前に100%骨移植することが分かっている場合には、まず股関節を脱臼した時点で、
頚部骨切り前に
大腿骨頭を piece by piece にボーンソーで切除していきます。


球状の大腿骨頭を厚さ 1cmぐらいでスライスしていくイメージです。こうすることで高さ 1cmの円柱状の大腿骨頭が数個ほど採取できます。


そして骨移植の際に円柱の外側の軟骨部分だけリウエルで切除すると、きれいに海綿骨だけが残ります。こうすることで素早く大量の海綿骨を採取することが可能になります。


100%骨移植する予定の場合には、脱臼した時点で大腿骨頭をボーンソーで円柱状に切除していくことで、移植骨を採取する時間が大幅に節約できると思います。






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THA: カップ固定性を得られない時

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先日、高度の骨脆弱性を有する関節リウマチの THA がありました。このような症例の THA では、寛骨臼側のカップ設置が大きな問題となります。


セメントレスカップでは 3D ポーラスのカップが上梓されていますが、3D ポーラスカップをもってしても十分な固定性を得られないケースがあります。


このような症例では、どのように対処すれば良いのでしょうか。術中にカップをインパクションして十分な固定性を得られないと冷や汗をかきます。


しかし、セメントレスカップを選択している以上、いきなりセメントカップに変更することは現実的でありません。何とかしてセメントレスカップで固定性を得る必要があります。


このようなケースでは、まず寛骨臼内を観察して原因が本当に骨の脆弱性なのか否かを確認します。意外と辺縁が硬化しているために固定性を得られないことがあります。


しかし本当に骨脆弱性のためにカップの固定性が得られない症例では、スクリューを乱れ打ちするしかありません。そして術後しばらく免荷期間をおくことになります。


ここまで必要な症例は年間 1例あるかないかぐらいですが、スクリューを乱れ打ち+免荷によって、最終的には何とか乗り切れる印象です。


リーミングのやり直しで、大抵は十分な固定性を得ることができますが、何をやってもダメな時はこのような方法もあることを知っておくと心の安定剤になるのではないでしょうか。






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執刀医の責任はいつまで続く?

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先日、少し離れたところにある某医療機関から、患者受け入れ可否の問い合わせが来ました。 どうやら私が数年前に執刀した人工膝関節全置換術の遅発性感染のようです。


それは大変だと思って受け入れ準備を開始したのですが診療経過を確認すると退院後の通院歴が無く、どうやら現在は心不全の治療のためにその病院で入院中のようです。


心不全のために全身状態が悪化して、そのために TKAに感染を併発したのが真相です。残念ながら私が勤務している病院には循環器内科の常勤医がいません。


このため、この患者さんを受け入れできませんでした。この件は終了したのですが、
いつまで執刀医が人工関節患者さんを診続けるかという問題点があるように感じました。


基本的には、自分が執刀した患者さんは外来でフォローしています。その経過の中で何か不具合が発生した場合は、主治医である私が責任を持って対応します。


しかし今回のように患者さんが転院してしまいその後音沙汰ないような状況で不具合が発生した場合には、誰が責任をもって治療をするべきなのでしょうか?


このようなケースではケースバイケースだと思いますが、基本的にはその患者さんが現在かかりつけている医療機関で治療をするべきではないかと感じました。


今回、もし循環器内科医師がいても、遅発性感染を併発した理由が心不全による全身状態悪化であるため、こちらの病院で感染治療を行うという判断はしにくいように思います。


議論のあることろですが、一旦主治医の手を離れた患者さんに関しては、現在のかかりつけ医療機関が責任をもって治療を行うべきではないかと感じました。





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