整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節全置換術

カップはプレスフィットする必要ナシ?!

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先日、股関節外科における師匠の先生とお話をしました。私の師匠はすごい数の症例を現在進行形で執刀されています。


その先生との雑談の中で、
人工股関節全置換術(THA)のセメントレスカップについての TIPSがあったのでご報告します。


セメントレスTHAのハイライトは、やはりカップ設置でしょう。カップを ①至適位置に ②確実に固定する のは意外と難しいことです。


しかし、②に関してはプレスフィットさせる必要はないのではないか?という話が出ました。たくさん手術をしていると、カップのプレスフィットを得られない症例があります。


このような場合、焦って汗をかきながらリーミングし直します。しかし、カップが多少グラグラ動いていても、きっちりした角度でスクリューで固定できればほとんど問題無いです。


術後にどんどんカップがマイグレーションして再置換術に至ったという症例はほとんど経験がありません。意外とスクリューだけでもしっかりとした初期固定が可能なのです。


もちろん、プレスフィットするに越したことはないのですが、仮にプレスフィットしなくてもスクリュー固定時に角度がずれないことに注意していれば大きな問題にはなりません。


こんなことを言うと学会で怒られそうですが、このような感覚を持っている股関節外科医は案外多いのではないでしょうか?


ただし、プレスフィットしない理由が、カップが着底していない場合や、あまりにプアなリーミングで明らかに偏心している場合は別です。


このような場合には、カップが着底するまできっちりリーミングし直す必要があります。そうは言っても、プレスフィットしなくてもいい! は気持ちが楽になってイイですね!







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筋弛緩剤無しの手術はどんな感じ?

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先日、筋弛緩剤に対するアレルギーのある患者さんの人工股関節全置換術(THA)がありました。筋弛緩剤に対するアレルギーは本物のようです。


このような症例では、絶対に筋弛緩剤を使用できません。普段何気なく手術をしていますが、スムーズに施行可能なのは筋弛緩剤の効用のおかげです。


どういうことかと言うと、筋弛緩剤で筋肉の緊張が取れているので、それほど展開で苦労することなく手術が可能なのです。


筋弛緩剤無しで手術を施行すると、筋肉の緊張が取れないため展開が非常に難しくなります。それでは、筋弛緩剤に対するアレルギーがある場合、どうすればよいのでしょうか?


下肢の手術の場合、腰椎麻酔もしくは硬膜外麻酔併用の全身麻酔手術となります。上肢では腕神経叢ブロック併用での全身麻酔手術となるのでしょう。


2例ほど経験した感想は、腰椎麻酔をしっかり効かせると普段の手術と変わりなく施行可能ということでした。





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THA: スクリューにドライバーを誘導するTIPS

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先日、人工股関節再置換術がありました。
再置換術の際に、ちょっとしたTIPSを発見したのでご報告します。


カップのスクリューを抜去するときに、上方などの角度が付いているスクリューヘッドにドライバーを誘導するのは難しいと思います。


なかなかスクリューヘッドにドライバーが噛み合わずイライラすることも多々あるのではないでしょうか? 細かい作業を続けていると肩も凝ります。


そんな時に有用なTIPSがあります。それは、ドライバーのハンドル部分を外して先端のドライバー部分のみでスクリューヘッドに嚙み合わせるのです。


ハンドル部分を持っているとドライバー先端の誘導が粗くなってスクリューヘッドに噛み合いません。ところがドライバー部分を直接把持すること、格段に操作性が良くなるのです。


カップのスクリューを抜去する時以外にも、一度挿入したスクリューの増し締めの際にも威力を発揮します。機会があれば是非試してみてください。






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ARMD はやはり黒かった!

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先日、またまた ARMD(adverse reaction to metal debris)が原因と思われるインプラント周囲の骨融解症例の人工股関節再置換術がありました。


ARMD は、メタル・オン・メタル人工股関節置換術(Metal-on-Metal THA, MoM THA)に併発する有害事象で、以前にこちらで術中所見を報告しています。


MoM THA では金属摩耗粉が発生しやすく、偽腫瘍や組織壊死などをきたします。 ARMD は金属摩耗粉が原因なので、黒い錆が股関節内に充満しているイメージです。



しかし、前回の症例では、股関節を展開すると関節内は黒い組織でいっぱいということはなく、むしろ淡黄色~白色の滑膜様組織に覆われていました。まるで雪原にいるようです。


たくさん ARMD による再置換術に立ち会っているメーカーの方も、ARMDでは錆色の組織ではなく淡黄色~白色の滑膜様組織が多いとおっしゃられているので得心しました。


ところが、今回の症例では黒い錆色の関節液が噴出して、関節内には黒い滑膜様組織が充満していました。ARMD のイメージ通りの金属摩耗粉による錆色の組織だったのです!


以前に見た淡黄色~白色の滑膜様組織がセンセーショナルだったので、むしろ錆色の方が驚きました。ちなみに ARMD による大腿骨近位の骨融解は高度でこちらも驚きました...







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アウェイで知るホームのありがたみ

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先日、他院で人工股関節全置換術(THA)を施行しました。この医療機関では何度かTHAを施行したことがありますが、前回の手術は少なくとも2~3年以上前のことです。


手術室スタッフをはじめとするコメディカルのレベルは高く、比較的手際よく手術は進んでいきました。しかし、何かが違うのです。


例えば、寛骨臼内の処理をするのにヘルニア鉗子を右手に受け取った時に、普段と重さやサイズが微妙に異なるので思わず見直してしまいます。


些細なことではありますが、一事が万事なので何だか非常に違和感を抱きながら手術が進んで行きます。普段以上に周囲に気を遣っていたので非常に疲れました。


今回は事前に周到に準備をしており、開創鈎までメイン医療機関から持参しましたが、それでもホームとは全く異なる感覚でした。


アウェイで手術をする度に思うのですが、ホームで何事もなく手術ができるのは術者の技量もさることながら、コメディカルを含めた環境のおかげだということです。


いわゆる「チーム」が経験を積み重ねることでパフォーマンスを上げていくのでしょう。大事なポイントだと思いますが、ホームでしか手術していないと気付きにくい点ですね。






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