整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節全置換術

THAと人工骨頭はどちらが難しい?

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先日、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。その後、出張できている医師と雑談していた際に、THAと人工骨頭置換術はどちらが難しいか? という話題になりました。


普通に考えればTHAの方が難しいのですが、私は人工骨頭置換術の方が難しい症例が多いと感じています。いわゆる「苦手意識」です。その理由は下記のごとくです。

  1.  骨脆弱性が強い
  2.  高度の認知症合併例が多い
  3.  全身状態の悪い症例が多い


場末病院ということもありますが、とにかく条件の悪い患者さんが多いです。術中もラスピングや整復操作時に医原性骨折を併発しないかいつも冷や冷やしています。


このため、心筋梗塞や狭心症の既往歴のある症例を除いて、少しでも骨質に疑問を抱けば、すぐにセメントステムを選択します。


また、肺炎を併発していない症例の方が少ないぐらいので、いつも手術タイミングを必死で考えています。


更に、高度な認知症の患者さんが多いため、術後は不良肢位をとる・転倒することを前提に手術を施行しています。あ~、それに比べるとTHAのナント楽なことか!


THAでは骨質の心配をすることはさほどないため、脱臼・ラスピング・整復操作で冷や汗をかくことはありません。基本的に元気な方なので、全身状態を気にすることもありません。


私があまりに心配性なのかもしれませんが、とにかく人工骨頭置換術はストレスが多くて未だに好きになれない手術です。


むしろ、経験を重ねるごとに苦手意識が増幅されているような・・・。う~ん、我ながら少し病的なのかもしれません。







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THA: 軟骨下骨は破るべからず

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先日、人工股関節全置換術(THA)における筋群による圧迫とカップの固定性について考察しました。本日はその続編です。


前述したように、股関節周囲筋群が緊張するおかげで、カップ-寛骨臼間には常に圧迫力が加わり固定性が強固になるのでは? と考察しました。


おそらく、スクリューはカップ-寛骨臼間の剪断力予防の意味合いが強いのでしょう。しかし、これが当てはまらない状態になることが時々あります。


その一例として、骨粗鬆症の症例において寛骨臼の軟骨下骨をリーミングでやぶってしまった結果、脆弱な海綿骨が全周性に露出したときに発生しやすくなります。


このような症例でカップの中心性移動(central migration)が発生すると、カップ-寛骨臼間の圧迫力が弱まり、固定性が更に減弱することが予想されます。


こうなるとカップが寛骨臼内で動きやすくなるため、ますます中心性移動が進んでしまうという悪循環をきたす可能性があります。


このように考えるとTHAの寛骨臼リーミングでは、軟骨下骨をある程度残した状態でリーミングを終了することが推奨されるのではないでしょうか。


今までは経験的に軟骨下骨を完全に破らないように心掛けていましたが、これからは中心性移動を防止するためにも注意していこうと思います。





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髄内出血にはオキシドールが有用

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人工股関節全置換術(THA)では、術中に大腿骨髄腔からの出血がだらだら続く症例をときどき経験します。


軟部組織からの出血なら焼却凝固等で対応可能ですが、大腿骨髄腔からの出血の場合、実際に採り得る手段はほとんど無いのが現実です。


敢えて言うなら麻酔科医師にお願いして血圧を低めにコントロールしてもらうことですが、血圧を下げたからと言ってすぐに髄腔からの出血が止まるわけではありません。


このような症例は、ババッと手早く手術を終わればよい! という方向に走りがちですが、オキシドールで大腿骨髄内洗浄を行うとかなり止血されることに最近気付きました。



私たちの施設では、THAやTKAの際にオキシドールで洗浄していますが、これは佐賀大学の佛淵教授(学長)の手術見学で学んだことです。


オキシドールで洗浄する目的は、①殺菌 ②止血 ですが、特に②の止血効果は目に見えてよく分かります。当初は習慣的にオキシドールで洗浄するだけでした。


しかし、最近では大腿骨髄内からの出血が多い場合には、積極的にオキシドールで洗浄して止血(?)することにしています。


インプラントが設置下でのオキシドール使用に関しては、気持ち的にやや躊躇してしまいます。しかし、この程度のことでインプラントの寿命が短くなることはおそらく無いと思います。



THAの際に大腿骨髄内からの出血で困ったら、オキシドールでの大腿骨髄内洗浄を検討しても良いかもしれませんね。





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THA: 筋群の圧迫力とカップ固定性

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先日のことですが、人工股関節全置換術(THA)を施行しながら、ふと思いついたことがありました。それは、セメントレスカップの固定性に関することです。


欧米人と比較して、日本人は臼蓋形成不全股の割合が多いです。このため、充分な被覆を得ることが難しい症例を散見しますが、それでもカップが固定されるのはどうしてでしょう?


更に、カップをインパクションしても充分な固定性を得られないため、やむを得ずスクリューのみでの固定となる症例まであります。


このような症例でも、私は術直後から全荷重を許可していますが、カップが移動することは通常ありません。たった、3本のスクリューで、カップにかかるストレスを支えているのか?


ずっと疑問だったのですが、インプラントを整復した際に、中殿筋などの股関節周囲筋による股関節への「圧迫力」が、カップ―寛骨臼間に良い影響を与えていることに気付きました。


つまり、股関節周囲筋群が緊張するおかげで、カップ-寛骨臼間には常に圧迫力が加わっているのです。スクリューは、カップ-寛骨臼間の剪断力予防の意味合いが強いのでしょう。


こう考えると、セメントレスカップを設置する際の心理的ストレスが幾分軽減されました。ただし、正確にリーミングすることが大前提であることは言うまでもありません。




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THA: ドレ―ピングは結構重要

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先日、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。昔と比べるとかなり皮膚切開が小さくなってきているので、ドレーピングの重要性を再認識しました。


患者さんのBMIはやや高めで、皮膚から筋膜までの距離が結構大きな方でした。私は側臥位での後外側アプローチなので、ドレープはふんわりと真上から貼付するようにしています。


しかし、助手の先生の手元が少し狂うと、皮膚に変な張力が掛かったままドレープが貼付されてしまいます。大袈裟に言うと、皮膚が「ぐにゃりと曲がった状態」になるのです。


皮膚の表面が「ぐにゃりと曲がった状態」になっていることは、あらかじめ皮膚ペンで描いた予定皮膚切開の線を確認するとよく分かります。


自分が切開を加えたい部分から少し離れた部位に、皮膚ペンで描いた予定皮膚切開の線が移動してしまっているのです。。。


小さな皮膚切開で行う手術やBMIが高めの患者さんの手術では、このドレーピングの不具合が結構大きな影響を与えてしまいます。


このため、私にとって手術で最も緊張する瞬間がドレーピングです(笑)。「始めよければ終わりよし」ではないですが、ドレーピングが決まれば気持ちよく手術が終わることが多いです。






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