整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節全置換術

駄ネタ:おデブちゃんは自分?!

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先日、高度肥満の人工股関節全置換術(THA)がありました。
TKAでは多少の肥満でも手術操作そのものにはさほど影響はありません。


しかし、THAにおいては訳が違います。肥満度が上がると手術難易度は乗数的に上昇します
。肥満であることに何のメリットもありません。


変形が軽度ても皮下脂肪が極端に厚いと手術の難易度が上昇します。実際のところ、高度肥満患者さんはOA進行も早いので、インプラント設置そのものが難しいことが多いです。


手術そのものを乗り切っても、術後の呼吸管理は大変です。帰室してもなかなかSaO2が上がらないので、ヒヤヒヤしながらバイタルを監視することになりがちです。


体重が重いとインプラントの摩耗も早くなるので、再置換術発生の確率も上昇します。ああなんてこった! 良いことが何ひとつ無いじゃないですか・・・


整形外科医にとっては当たりまえのことですが、高度肥満の患者さんの手術をするたびにデブに対する愚痴(?)が湧いてきます。


そんなことを思いながら日常診療をこなしているのですが、ふと最近は自分の体重が増えてきているのに気付きました。知らぬ間に私もおデブちゃんの仲間入りしていたのです・・・






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外反股では高度過前捻に注意!

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先日、ちょっと難しい人工股関節全置換術(THA)がありました。
大腿骨頚部の過前捻症例です。


股関節の単純X線正面像で、大腿骨が高度の外反股でした。これはもしかして大腿骨近位の骨切り術を併用する必要があるのかも・・・



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しかし、3D-CTを施行すると、高度過前捻のために大腿骨が外反してみえたようです。計測上は、大腿骨頚部前捻角が70度でした。大腿骨頭が前方に向かっているのが分かります。




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ZedHipで作図すると、S-ROM-A以外では、セメントステムも含めて対応不可能でした。proximal sleeveがあらぬ方向を向いているのが分かります。


この手術は、米国出張の前日だったのでかなり緊張しました。絶対に下手は打てないからです。結果的には予定通りの手術で終わったので、安心して米国へ旅立つことができました。


現地で、たまたまご一緒だった がみたけ先生 に、
セメントステムでこのような過前捻症例に対応できるのかをお伺いしましたが、やはり難しいでしょうとの回答でした。


これほど高度の過前捻股はそれほどありませんが、術前単純X線像で外反股の場合には、頚部過前捻が存在する可能性を念頭に置いて慎重に術前計画を練る必要があると感じました。








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70%のインプラントで細菌を検出?!

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ちょっと怖すぎる記事を見かけました。
細菌・真菌が体内インプラントで増殖 です。




 インプラントは現代医学において重要な器具の1つであり、新たな技術開発によってインプラント手術は増加している。デンマーク・University of CopenhagenのTim H. Jakobsen氏らは、臨床的に感染症の症状がない患者を対象に手術に関連して埋め込まれたインプラントの状態を検査した結果、70%を超えるインプラントで細菌や真菌が検出されたとAPMIS(2018年7月2日オンライン版)に発表した。その一方で、感染症の直接的な原因となる病原体は見つからなかったという。




陽性率は細菌66%、真菌40%、いずれかまたは両方で73%


デンマークでは、多くの人が股関節や膝関節の置換術を受けたり、骨折した骨をスクリューで固定したりしているが、これらで使用されるインプラントは常に無菌状態であると考えられていた。


 Jakobsen氏らは、2013年2月〜17年4月に同国首都圏の5つの病院において、臨床的に感染症がないインプラント使用患者で①無菌性の弛み②頭蓋顔面インプラントの合併症③骨折の治癒④最近死亡した−に該当する4つの患者群から、スクリューや膝関節、ペースメーカーなど106個のインプラントと周辺組織を採取し、検査した。採取されたインプラントは、患者の体内に埋め込まれてから平均で13カ月経過していた。   

 その結果、対象者には感染症の徴候は認められないものの、インプラントでは70個(66%)が細菌、43個(40%)が真菌で陽性、さらに細菌、真菌のいずれかまたは両方では78個(73%)が陽性であった。




特にスクリューで細菌が繁殖


 今回の検討では、他のインプラントと比べて、特にスクリューで細菌がコロニーを形成していることが分かった。スクリューは皮膚の近くに局在し、インプラントと骨の両方に直接接触していることが多いため、細菌にコロニー形成の機会を提供していると考えられた。真菌の陽性率はさまざまなタイプのインプラントで同等だった。ブドウ球菌のような病原体は発見されなかった。


 さらに、対照群として39個の滅菌インプラントを用いた。インプラントを採取する過程またはその後の分析においてインプラントが汚染された可能性を確かめるため、滅菌インプラントを手術中、または患者に埋め込んだ後、直ちに取り外して検査した。その結果、細菌や真菌は発見されなかった。このことから、インプラントが体内に埋め込まれた後、細菌や真菌の定着が始まることが示唆された。




細菌、真菌が身体に及ぼす影響を調べることが必要


 今回の研究では、無菌状態と思われていたインプラントに細菌が繁殖していることが明らかになった。その一方で、感染症の原因となる直接的な病原体も見つからなかった点について、Jakobsen氏らは「それらが存在していたならば、感染症も発見されただろう」と指摘している。


 同氏らによると、一般的に体内に異物が埋め込まれている状態では、細菌の発生や新たな生育環境が生まれる可能性は増加するという。同氏は「今回特定された細菌や真菌は、患者に悪影響を与えることなく、非常に長期間体内にとどまっていると考えられた。次のステップでは、それらが身体とインプラントに及ぼす影響を正確に調べることが必要である」と述べている。





人工関節置換術を生業としている身の私にとって、この記事は衝撃的でした。。。細菌、真菌のいずれかまたは両方が陽性である確率が73%って、怖すぎませんか???


ただし、細菌や真菌のコロニーがある=感染というわけでもないことも驚きです。不顕性の感染(?)なのでしょうか・・・


n が小さいし、歯科領域のインプラント症例が混じっているので、整形外科の人工関節にそのまま当てはまるわけではありません。しかし、今までは無かった示唆がありそうです。


もし本当にインプラントの7割に細菌もしくは真菌のコロニーが存在するのであれば、何が要因となって感染は発症するのでしょうか?






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ニュージャージーでの備忘録

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何気にブログを更新しているのですが、実は米国のニュージャージーに滞在しています。ありがたいことに、THAユーザーの声を届ける会(?)に参加させていただいているのです。



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開発拠点で、工場の見学や新製品の説明、そして Mako という手術用ロボット手術ユニットの試用をさせていただきました。


ツアーの中で、興味深かったのは Trident の後継機種である Trident 2 と Mako systemでした。本日は備忘録第一弾として、Trident 2 について書き留めてみたいと思います。


Trident HA cupはセメントレスTHAの中で最高峰のインプラントのひとつだと考えていますが、これだけ優秀なインプラントの後継機種にはどのような改良点があるのでしょうか?


  1.  3D-printed Tritanium と HAのバリュエーションがある
  2.  カップサイズは42mmから
  3.  48mmから36mm骨頭を使用できる
  4.  スクリュー刺入角度が37度に拡大
  5.  スクリューを振ってもヘッドの出っ張りが少ない
  6.  ドリルの切れ無ささは改善(?)


主な変更点は上記のごとくです。日本の実績からは、他社を含めて 3D-printed cup はビミョーな感じですが、HAのバリュエーションもあるようなので問題はなさそうです。


一方、Trident HA cup 最大の欠点(?)であるインサートのロッキング機構はマイナーな変更に留まっている印象です。実際にやってみないと分かりませんが、どうなのでしょうか?


あれだけ素晴らしい Trident HA cup なので、後継機種を出す必要は少ない印象です。しかし、イノベーションを進めるために、敢えて上梓したのでしょう。


Trident HA cup の95点を、97点に持っていくのは至難の業っぽいですが、痒い所に手が届く工夫が随所にみられました。日本での販売開始は来年のようなので楽しみです。






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THAで関節周囲カクテル注射は有用?

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相互リンクいただいている 整形外科 論文ナナメ読み で興味深い記事がありました。以下に一部を転載させていただきます。




20180829CORR No Clinically Important Difference in Pain Scores After THA Between Periarticular Analgesic Injection and Placebo: A Randomized Trial


背景

術後鎮痛を目的とした関節周囲への鎮痛剤の注射は様々な整形外科手術で行われている。しかしながらTHA術後でそういった関節周囲への鎮痛剤注射(PAI)が有用かどうかは不明である。



目的

二重盲検無作為割付試験。一期的両側THAの患者を対象。プラセボとPAIを比較。



結果

PAIの注射、またはプラセボによる臨床的な違いは認められなかった。ただし24時間後のVASはPAIで有意に低い値を示した。合併症に差はなかった。



結論

PAIはTHA術後の鎮痛に臨床的に有意な違いが出るというほどのものではなかった。




がみたけ先生と同様に、私も、PAIはTKAでは有用ではあるものの、THAではどうなのかな? と思っていました。


特に有害事象が多発することは無さそうですが、やはりTHAではTKAと比較して、PAIは有用とは言い難いようです。


私の個人的な感覚では、股関節は膝関節と比較して知覚が鈍であり、もともと疼痛に対して耐性があることが原因のひとつではないかと考えています。






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