整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節全置換術

THA: 確実にカップを固定する方法

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人工股関節全置換術(THA)のハイライトはカップ設置ではないでしょうか。特に臼蓋形成不全の強い症例では、カップ設置がワンチャンスな時もあるため緊張する瞬間です。


さて、絶対に外せないカップ設置において、確実にカップを臼蓋に固定するためにはいくつかのコツがあると思います。


そのうちのひとつはスクリュー挿入です。最初のスクリューを挿入する際に、術者的には
ドリリングしている間にカップが動いてしまうことを危惧します。



「確実」「迅速」にスクリューを挿入するために、私は下記の工夫をしています。

  1. フレキシブルではなくストレートドリルでドリリングする
  2. ドリリングする部位は前上方の穴
  3. スクリューは最短のものを決め打ちする

①ですが、フレキシブルドリルでは力が伝わりにくいため時間がかかります。一方、ストレートドリルでは、力がダイレクトに伝わるので一瞬でドリリングが完了します。


②③ですが、後外側アプローチでは最もドリリングしやすいのは前上方の穴です。しかし、前上方は、内板を貫通するとやや危険な部位です。


このため、内板を貫通する確率が最も低い最短のスクリューで決め打ちします。1本目は仮固定が目的なので、最短のスクリューでも問題ありません。


このようにして、最短時間で「確実」「迅速」にスクリューを前上方に挿入してカップを仮固定することで、落ち着いて残りのスクリューを挿入することが可能となります。








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HD頚部骨折はセメントステム一択!

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またまた血液透析ネタで恐縮です。
先日、大腿骨頚部骨折に対して人工骨頭置換術を施行しました。


血液透析患者に対する人工骨頭では、セメント派とセメントレス派の論争が続いています。両者とも正常より looseningを併発しやすいのですが、報告によって優劣はまちまちです。


長期成績が良好なセメントレスステムとして Spongiosa Metalが有名ですが、感染併発予防の観点も含めると、抗生剤含有セメント使用のセメントステムに軍配が上がる印象です。


先日の症例では70歳にもかかわらず骨質が極めて不良で、展開した大腿骨頚部をまじまじと観察しましたが、とてもセメントレスステムを設置できる自信が湧きませんでした...。


私が勤めている施設でセメントを愛用しているのは私だけなのですが、しつこくセメントを使い続けるので、手術室スタッフや前立医師もずいぶん慣れてきたようです(笑)。


健常者の THAはセメントレスを基本としていますが、血液透析の大腿骨頚部骨折に限っては、迷うことなくセメントステムを第一選択にし続けようと思います。





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セメント人工骨頭に軍配あがる?!

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ケアネットで人工骨頭置換術で興味深い論文がありました。人工骨頭置換術、セメントレスは再置換のリスクが高い です。




大腿骨近位部骨折患者の人工骨頭置換術では、非セメント固定はセメント固定に比べ、無菌性再置換のリスクが高く、この差の主な原因は非セメント固定で人工関節周囲骨折の頻度が高いためであることが、米国・カイザーパーマネンテ(Hawaii Permanente Medical Group)のKanu Okike氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年3月17日号に掲載された。




整形外科医であれば避けては通れない人工骨頭置換術。実は私もセメント愛用派です。 primary THAはセメントレスですが、人工骨頭置換術はセメント派という両刀使いです。


私が高齢者の大腿骨頚部骨折でセメントステムを愛用する理由は、① 高度の骨粗鬆症の人でもしっかりした初期固定を得るため、および② 術後感染対策です。


感染対策では、当然のごとく抗生剤入り骨セメントを選択しています。手術時間が 10~15分延長しますが、仕方ないと割り切っています。


一方、今回の研究でセメントレスがセメントに劣後したのは、人工股関節周囲骨折の頻度が高いためという意外な(?)結果でした。


そんなに人工骨頭置換術後の人工股関節周囲骨折の頻度が高い印象はないのですが、nが12400もあるので真実に近いところにいるのでしょう。


使用理由は今回の研究とは異なりますが、この研究結果に勇気を得て、これからも高齢者の大腿骨頚部骨折ではセメントステムを継続使用したいと思います。






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THA: 手慣れた手術でも油断禁物...

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先日の人工股関節全置換術(THA)で、ちょっとしたインシデントがありました。いつも閉創の段階でオピオイドカクテルを創部に注入しています。


普段と同じ感覚で薬液を手渡されたので創内に注入しようとしたところ、外回り看護師さんから「ちょっと待った!」コールがかかりました。


???と思って手を止めると、渡された薬液が希釈したボスミン生食だったのです! ボスミンガーゼに使用する薬液を、オピオイドカクテルと間違って手渡されていたのです。


これはアブナイ...。心肺機能に問題のある患者さんであれば大変な状況になる可能性がありました。外回り看護師さんはよく気付いてくれたと思います。


しかし、このようなインシデント発生を防止するのは意外と難しいのではないかと思いました。ボスミンガーゼは最後まで使用する可能性があるので、捨てるわけにはいきません。


対策はシリンジに針を付けておく等でしょうか??? ただ、重篤な合併症を併発する可能性があるインシデントなので、何らかの対応を看護師さんに考えてもらうことにしました。






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筋肉よりも関節包が関節安定性に寄与!

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後側方侵入の股関節外科医にとって、股関節後方軟部組織の温存は至上命題です。しかし、軟部組織を温存すればするほど手術の難易度は上昇します。


特に、患者さんの骨質が不良なことが多い大腿骨頚部骨折においては、関節包と短外旋筋群のどちらを犠牲にするかについて悩む症例があります。


感覚的には短外旋筋群を温存するよりも関節包を温存する方が、関節安定性への寄与度が高い印象です。しかし、真実は闇の中だろうと思っていました。


ところが、すでにこのことに関する答えが出ていたのです!! 具体的には下記の論文に私の疑問への回答が記載されていました。






大阪大学の高尾先生の論文で、Jornal of Arthroplastyにアクセプトされています。キャダバーを使用した研究で、後方関節包と短外旋筋群を切離して骨頭の移動量を測定しています。


結論は、関節包を切離した方が有意に骨頭の移動量が大きかったようで、私の感覚と同様に短外旋筋群よりも後方関節包の方が関節安定性に寄与しています。


う~ん、股関節外科医であれば誰もが感じる疑問を、研究に落とし込むのは凄いことだと思いました。さすが、阪大グループ...。脱帽です。







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