整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節全置換術

THA術後にリハビリテーションは不要?!

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以前から気になっていたブログ記事をご紹介します。整形外科 論文ナナメ読みのTHAとリハビリテーションに関する記事です。


JBJS(Am)の紹介記事で、「THAにはリハビリテーションは無意味ではないのか?」という、リハビリテーション関係者には少しキツイ内容です。



Formal Physical Therapy After Total Hip Arthroplasty Is Not Required: A Randomized Controlled Trial, Austin, Matthew S. MD et.al,  Journal of Bone & Joint Surgery - American Volume: 19 April 2017 - Volume 99 - Issue 8 - p 648–655



THAは、完成度の高い術式のひとつであり、良好な臨床成績が得ることが可能です。本研究では、THAの良好な臨床成績にリハビリテーションがどの程度寄与するのかを調べました。


その結果なのですが、意外にもあまり口出ししないリハビリテーションでも、従来の方法とほぼ同等の臨床成績が得られることが分かりました。


費用面の考慮すると、従来から行われている伝統的なリハビリテーションは不要であると主張されても反論できません。リハビリテーション科医師や理学療法士にはキツイ結果です。


個人的には、関節可動域改善にはリハビリテーションの力が大きいと思うのですが、JBJSにアクセプトされていることを勘案すると、治療方針を考え直す必要があるのかもしれません。




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外科医のピークは何歳ぐらいなのか?

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先日、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。この年齢になっても、執刀前には未だに緊張します。つくづく自分がチキンであることを実感します(笑)。


そうは言っても慣れた手術なので、特に問題なく終了するのですが、術者の年齢に関して、先日見かけた下記のジャーナルが気になったのでご紹介します。



Markar SR et al. Surgeon Age in Relation to Prognosis After Esophageal Cancer Resection. Ann Surg. 2017 Apr 7. doi: 10.1097/SLA.0000000000002260. [Epub ahead of print]





この研究では、食道癌切除術を受けた患者1761例と術者139人において、術者の年齢と患者予後の関連をコホート研究で検証しています。


食道癌手術という外科手術の中でも難易度の高い手術であるためか、研究対象の術者の年齢は50歳台がメインとなっています。


結果は、術者の年齢が52-55歳のグループが、90日死亡率・5年全死亡率・5年食道癌死亡率とも、51歳以下や56歳以上のグループと比べて最も低かったようです。


整形外科領域では50歳台前半の医師といえば、そろそろ一線から退こうとする医師が多くなる年台です。大学・基幹病院とも、40歳台が最も幅を利かせている施設が多いと思います。


しかし、難易度の高い手術においては、50歳台前半が最も「脂がのっている」年台なのかもしれません。そう考えると、私も外科医としてはまだ10年ほど寿命がありそうです。


ただ、私が施行している手術は、決して難易度の高い手術ではないことがネックではありますが・・・





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セメントレス人工股関節の機種選択

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日本整形外科学会雑誌のVol.91 No.4 April 2017の238-242に興味深い教育研修講座が記載されていました。長崎大学の尾崎教授による「セメントレス人工股関節の機種選択」です。


思いつくままに気付きを記します。まず、日本で行われている初回THAの種類別の頻度ですが、2016年3月31日のTHAレジストリ―統計では下記のごとくでした。

  • セメントレス人工股関節 76.11%
  • ハイブリッド人工股関節 10.62%
  • セメント人工股関節   13.16%


やはり、セメントレスTHAが大部分を占めますが、意外とセメントTHAも健闘しています。個人的には、セメントTHAはカップ側の設置技術の伝承が難しいことが課題かなと思いました。


 
セメントレスステムの分類については、Khanujaらの分類が広く用いられています。Type 1~3は近位固定を、Type 4は遠位固定を意図したステムです。



キャプチャ - コピー




ステムのネック周囲の形状は、脱臼に対する安定性、ポリエチレンライナーの摩耗、ステム強度を考える上で重要です。


ヘッド・ネック接合部が細いほど、脱臼に対する安定性が向上し、ポリエチレンライナーの摩耗粉発生を抑制します。一方、細いほど強度低下や接合部での金属摩耗リスクが上昇します。

 

ステム近位のデザインに関しては、近位外側を小さくするとステム挿入が容易になりますが、初期固定性が悪くなるトレードオフの関係です。両者のバランスが重要だと考えます。


ステム遠位部の表面加工は、サンドブラストからポリッシュまでさまざまあります。いずれも、近位の強固な固定から遠位の緩やかな固定への移行のコントロールを意図しています。


最後にカップですが、機種によって設置時の感触が異なるため、可能であれば事前にカップのサンプルを手に取ってカップ表面の摩擦抵抗を実感しておくとよいそうです。


私の場合、だいたい決め打ちで2種類のカップしか使用しませんが、ときどきtantalum製のカップを用いると、かなり感覚が違うので気を使います。


以上、セメントレス人工股関節の復習をさせていただきました。しかし、このような教科書的な講演をするのは結構大変でしょうね。さすが、旧六医大の一角・長崎大学の教授です。




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セメント充填の安定化を目指して

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先日の骨セメントの種類変更は慎重に!のつづきです。
安定したセメント充填を再確立するために奮戦中です(笑)


さて、第3世代セメント充填法を用いることは当然ですが、セメントそのものの管理も安定したセメント充填を行うためには重要です。セメントの硬化速度に影響を及ぼす因子は下記です。

  1. セメントの種類
  2. セメントの保存温度
  3. 室温
  4. 撹拌スピード


このうち、今回のケースでは②~④が問題となります。これらの3つの因子を一定化することが、安定したセメント充填につながると思います。


まず、セメント保存を冷蔵庫で行うか、室温で行うかに大別されます。できるだけ条件を一定化するには冷蔵庫での保管が推奨されます。では、冷蔵庫の温度を何度に設定するのか?


セメント専用の冷蔵庫であれば、15~20度ぐらいが望ましいのではないかと思います。しかし、一般の施設で「セメント専用冷蔵庫」を準備するのは、スペース的にも難しいと思います。


こうなると、他の物品との混蔵になりますが、この場合には5~10度ぐらいの設定温度が多いです。これぐらい低温では、なかなかセメントが硬化しないことが難点です。


安定したセメント温度を採るか、硬化時間の短縮を採るのかは難しい判断ですね。次に②の室温ですが、私が勤務している施設では、おおむね21度に設定されています。


基本的には、術者に快適な温度設定で良いのではないでしょうか。極端に暑い・寒いとなると、術者にストレスがかかって手術成績に悪影響を及ぼす可能性もあります。


④の撹拌スピードは、リーマーを使用することで一定化しやすくなります。ただし、調子に乗ってウィンウィンしていると、あっという間に硬化するのでご用心を(笑)。


主に②④を一定化することで、安定したセメント充填が達成できるのではないかと思っています。私は、もともとセメントレス派の人間なので、もう少し試行錯誤が必要そうです。






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骨セメントの種類変更は慎重に!

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最近、私の勤務する病院では、人工関節で使用する骨セメントの種類が変更になりました。このことは、セメントをよく使用する者にとって由々しき事態です。


何故なら、骨セメントは製品によって使用感が大きく異なるからです。私は長年にわたってVacu-Mix Plus エンデュランスボーンセメントを使用していました。


しかし、2月からサージカルシンプレックス骨セメントに変更になりました。私にとって、初めて使用する骨セメントです。


病院としての変更なので致し方ないのですが、予想以上に骨セメントの使用感の差異が大きいため、非常に苦慮しています。例えてみると、全くの初心者に戻った感覚です。


今までは室温とミキシングの感覚から、無意識のうちに最適化していましたが、その経験則が全く通用しないのです。先日、骨脆弱性が著明な症例で、hybride THAを施行しました。


通常では骨脆弱性のために、セメントレス・カップ設置が手術のヤマ場となりますが、今回は大腿骨のセメンティングが最も緊張する場面でした。


何とか納得できる手術ができましたが、安定性を確保するには程遠い状況です。骨セメントの種類変更は、想像以上に難しいです。インプラントの種類変更と同等程度の感覚です。


私の勤める病院の場合、大人の事情での変更だったので仕方ないですが、今後骨セメントの種類を変更する予定のある方は、慎重にその是非を検討する必要があると思います。




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