整形外科医のブログ

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人工股関節全置換術

若年で病期の短い患者さんのTHAは要注意!

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先日のTHAは、パッと見はカンタンそうな症例でした。
比較的若年者で、OAの程度もごく軽度です。


病期が短いために関節拘縮もほとんどありません。関節水腫による痛みが高度なため、手術に至ったという症例です。手術自体はイージーに見えるため油断しがちな症例でしょう。


しかし、股関節外科医であれば、きな臭さを感じる人が多いかもしれません。こういう症例は要注意なのです。何が要注意なのかと言うと、以下の2点でしょう。


  • 関節拘縮の無い股関節は脱臼しやすい
  • 若年者のTHAは、IPI(iliopsoas impingement)を併発しやすい


上記理由のため、寛骨臼へのカップ設置には細心の注意が必要です。私は後外側アプロ―チなので、カップの前方開角を大きめにすることで両方とも回避できます。


しかし、今回の患者さんは、反対側で前方脱臼を繰り返した既往があったのです...。私自身はその手術に関与していないので詳細は分かりかねます。


しかし、股関節CTを見る限りでは、それほど問題のあるインプラント設置角度ではありません。何が原因なのかイマイチ分からない気持ち悪さがあるのです。


正体の分からないお化けを見るような感じなので、敢えて最後の手術にしました。午前中にやってトラブったら、その日の手術スケジュールをこなせないので。


結果的には問題ない術後経過でしたが、やはり若くて病期の短い患者さんは変なプレッシャーがあります。そこそこ年配で、ほど良い拘縮のある患者さんがいいなぁ(笑)。







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人工股関節全置換術



執刀前にCTで筋肉量を確認するワケ

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私が人工股関節全置換術(THA)の執刀をする前に、CTで確認することのひとつに筋肉量があります。一般的には皮下脂肪が厚いと手術はやりにくいです。


このため、術前CTでは皮下脂肪に目が行きがちですね。しかし、私の場合は、皮下脂肪よりも、むしろ筋肉量に注目しています。


その理由は、もちろん手術のやりやすさに直結するからです。肌感覚では、手術のやりやすさへの影響度は、筋肉量>>皮下脂肪の厚さです。


先日の症例では、皮下脂肪の厚みはそこそこ(約3cm)でしたが、手術は非常にやりやすかったです。その理由は、極端に筋肉量が少なかったから。


筋肉量が少ないと展開が容易で術中もストレスがありません。もちろん、筋肉量が少ないのは患者さんにとって良いことではありません。いわゆるサルコペニア予備軍だからです。


しかし、体幹に近い部位の手術をするという1点についてだけは、筋肉量の少なさは良い影響があります。まぁ、そう言いながら脳筋の私は今日もジムに行くワケですが(笑)。







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人工股関節全置換術



3Dテンプレートには見えないものが見えてしまう弊害アリ?!

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数年前から、THAの作図は 3Dテンプレート(ZedHip)を使用しています。3Dテンプレートにすると、従来の 2Dと比較して圧倒的に正確に術前計画可能です。


まさに良いこと尽くめ、、、というわけではありません。何故なら、2Dでは見えなかった問題点が可視化されるケースがあるからです。


先日も、寛骨臼前方荷重部に巨大な欠損ができる可能性がある症例がありました。3Dテンプレートでインプラントを設置して初めて分かったことです。


院内のCT画像を見直しましたが、本当にそんな骨欠損(被覆不足)が生じるのか?という疑念が生じるほどです。しかし、3Dテンプレートは正確なはずです。


できるだけ被覆率を上げるために、カップ設置位置を微修正して1時間ぐらい費やしました...。しかも、最終的には不満足な術前計画以外は実行不可だと悟るハメに。


たぶん従来であれば何も考えずに手術して、そしておそらく何も起こらずに終了していたはずです。つまりコワいものの存在を知らずに手術して、知らないまま終了し
ていたのです。


下手にリスクが発生する可能性を知ってしまったがために、心配になって有効な解決策があまり無い状況下で悶々とする...という状況は整形外科医アルアルではないでしょうか。






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人工股関節全置換術



ステム周囲骨折ではCTを撮像しよう!

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先日、近くにある某大学病院から、人工股関節全置換術後ステム周囲骨折の転院依頼がありました。診療情報提供書には Vancouver type Aなので全荷重可と記載されています。


すでに多発性の転移性腫瘍のため、ホスピスが視野に入る状況の患者さんのようです。Vancouver type Aなら問題ないかなと思って受け入れたのが災難の始まりです...。


患者さんと一緒にやってきた画像データには、単純X線像しかありません。嫌な予感がして股関節のCTを撮像すると、案の定、転子下にかけて少し転位のある骨折でした。


少なくとも 
Vancouver type B1で下手したら type B2です。たしかに前医で撮影した単純X線像では大転子単独骨折に見えるのですが、それだけで診断するのは少々軽率ですね...。



ちなみに、人工股関節全置換術後ステム周囲骨折のバンクーバー分類(The Vancouver Classification for Periprosthetic Fractures)は以下のごとくです。


バンクーバー分類   

  • type A   転子部
  • type B1 ステム周囲 人工関節が安定
  • type B2 ステム周囲 人工関節が不安定
  • type B3 ステム周囲 骨質が不良で骨片が粉砕している
  • type C   ステムよりも遠位


一般的には下記のような治療方針が選択されます。

  • type A   保存治療
  • type B1 骨折観血的手術
  • type B2 骨折観血的手術+再置換術
  • type B3 骨折観血的手術+再置換術
  • type C   骨折観血的手術



患者さんの痛がり方が尋常ではないので、やはり不安定性があるのでしょう。母校の大学ではないので、前医に文句も言えない状況です(苦笑)。


本来なら手術なのですが、全身状態と癌による予後を考えて、保存治療をせざるを得ません。患者さんと二人三脚の長い戦いの幕が切って落とされたようです。







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固定性が良いのも考えもの?!3Dポーラスカップの意外な盲点

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先日のTHAで、少し考えさせられることがありました。
寛骨臼側にカップを設置したところ、プレスフィット感は完璧です。


しかし、カップホルダーを外して寛骨臼縁とカップとの位置関係を確認すると、微妙に術前作図と異なるのです。その差はおそらく2mm程度でしょう。


カップが少し寛骨臼後縁からはみ出る状況を想定していましたが、カップと寛骨臼後縁が面一なのです。見た目の差異は2mm程度でも、前方開角は少し甘くなります。


最終的にはステム側で調整して易脱臼性は全くありませんでしたが、術者的には少し不満の残る結果でした。このようなケースではカップを置換し直す選択肢があります。


しかし、今回のカップは3Dポーラスカップでした。ご存知の通り、3Dポーラスカップの固定性はハンパ無いです。寛骨臼にプレスフィットすると、直後であっても抜去困難です。


感覚的には、セメントカップに似ています。つまり、修正の利かない一発勝負のカップ設置なんですね...。セメントレスカップのメリットはやり直しが利くことと思いがちです。


しかし、3Dポーラスカップに関しては、そのような甘い考え方は禁物なのでしょう。
3Dポーラスカップ ≒ セメントカップ。これからは、そのように認識を改めようと思いました。






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