整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節全置換術

セメント人工骨頭に軍配あがる?!

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ケアネットで人工骨頭置換術で興味深い論文がありました。人工骨頭置換術、セメントレスは再置換のリスクが高い です。




大腿骨近位部骨折患者の人工骨頭置換術では、非セメント固定はセメント固定に比べ、無菌性再置換のリスクが高く、この差の主な原因は非セメント固定で人工関節周囲骨折の頻度が高いためであることが、米国・カイザーパーマネンテ(Hawaii Permanente Medical Group)のKanu Okike氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年3月17日号に掲載された。




整形外科医であれば避けては通れない人工骨頭置換術。実は私もセメント愛用派です。 primary THAはセメントレスですが、人工骨頭置換術はセメント派という両刀使いです。


私が高齢者の大腿骨頚部骨折でセメントステムを愛用する理由は、① 高度の骨粗鬆症の人でもしっかりした初期固定を得るため、および② 術後感染対策です。


感染対策では、当然のごとく抗生剤入り骨セメントを選択しています。手術時間が 10~15分延長しますが、仕方ないと割り切っています。


一方、今回の研究でセメントレスがセメントに劣後したのは、人工股関節周囲骨折の頻度が高いためという意外な(?)結果でした。


そんなに人工骨頭置換術後の人工股関節周囲骨折の頻度が高い印象はないのですが、nが12400もあるので真実に近いところにいるのでしょう。


使用理由は今回の研究とは異なりますが、この研究結果に勇気を得て、これからも高齢者の大腿骨頚部骨折ではセメントステムを継続使用したいと思います。






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THA: 手慣れた手術でも油断禁物...

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先日の人工股関節全置換術(THA)で、ちょっとしたインシデントがありました。いつも閉創の段階でオピオイドカクテルを創部に注入しています。


普段と同じ感覚で薬液を手渡されたので創内に注入しようとしたところ、外回り看護師さんから「ちょっと待った!」コールがかかりました。


???と思って手を止めると、渡された薬液が希釈したボスミン生食だったのです! ボスミンガーゼに使用する薬液を、オピオイドカクテルと間違って手渡されていたのです。


これはアブナイ...。心肺機能に問題のある患者さんであれば大変な状況になる可能性がありました。外回り看護師さんはよく気付いてくれたと思います。


しかし、このようなインシデント発生を防止するのは意外と難しいのではないかと思いました。ボスミンガーゼは最後まで使用する可能性があるので、捨てるわけにはいきません。


対策はシリンジに針を付けておく等でしょうか??? ただ、重篤な合併症を併発する可能性があるインシデントなので、何らかの対応を看護師さんに考えてもらうことにしました。






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筋肉よりも関節包が関節安定性に寄与!

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後側方侵入の股関節外科医にとって、股関節後方軟部組織の温存は至上命題です。しかし、軟部組織を温存すればするほど手術の難易度は上昇します。


特に、患者さんの骨質が不良なことが多い大腿骨頚部骨折においては、関節包と短外旋筋群のどちらを犠牲にするかについて悩む症例があります。


感覚的には短外旋筋群を温存するよりも関節包を温存する方が、関節安定性への寄与度が高い印象です。しかし、真実は闇の中だろうと思っていました。


ところが、すでにこのことに関する答えが出ていたのです!! 具体的には下記の論文に私の疑問への回答が記載されていました。






大阪大学の高尾先生の論文で、Jornal of Arthroplastyにアクセプトされています。キャダバーを使用した研究で、後方関節包と短外旋筋群を切離して骨頭の移動量を測定しています。


結論は、関節包を切離した方が有意に骨頭の移動量が大きかったようで、私の感覚と同様に短外旋筋群よりも後方関節包の方が関節安定性に寄与しています。


う~ん、股関節外科医であれば誰もが感じる疑問を、研究に落とし込むのは凄いことだと思いました。さすが、阪大グループ...。脱帽です。







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THAの私流マイルストーン

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先日の 定型手術ではマイルストーン設定を の続編です。
前回はTKAでしたが、今回は人工股関節全置換術(THA)です。


TKAは手術時間 1時間30分を目標していますが、THAでは1時間を目標としています。佐賀医大などでは30分ほどのようですが、私のような凡人では難しいと考えています。


さて、THAでは寛骨臼側のカップ設置をマイルストーンに設定しています。
ライナートライアルを挿入した時点で 30分ぐらいがまずまずの時間だと思います。



このペースだと、だいたい1時間程度で手術を終了することが可能となるからです。セメントTHAでは、プラス10~20分程度が妥当ではないでしょうか。


THAは TKAと比較して手順が少なく術者の自由度が高いので、個人差が大きくなる印象です。いろいろなこだわりを持って手術をしていると手術時間は延長します。


このため、上記の目標時間はあくまでも私のマイルストーンおよび手術時間です。 関節外科の先生は、自分のこだわりや手技に応じて目標設定されてはいかがでしょうか。





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Baba分類はステム周囲骨折に有用!

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先日、大腿骨ステム周囲骨折に対するバンクーバー分類による治療法選択についての記事をアップしたところ、えにぐま先生より下記のコメントをいただきました。



最近は単純X線写真でバンクーバー分類B1とB2でのステムの緩みの評価が以外と困難なのでBaba分類というもので評価しています。 セメントレスステムのポーラス部に骨折が入っているか入っていないかなので簡便でおすすめです。



Baba分類...恥ずかしながら初めて聴きました。
2018/12月号の Monthly Orthopaedics Vol. 31 No.13に順天堂大学准教授の馬場智規先生の特集がありました。


拝読すると、非常にロジカルで分かりやすい分類です。明らかにバンクーバー分類よりも臨床に即しており、特に術式選択の際には強力なツールになります。



555 - コピー




上図は International Orthopaedics (SICOT) からの転載ですが、ざっくり言うとステムと大腿骨との固着部分に注目した分類です。


セメントレスステムはポーラス部分に、セメントステムは全てセメントマントルに骨折が及んでいるのか否かで、骨接合術で問題ないのか再置換術まで行うのかを選択します。


もちろん、セメントレスステムではポーラス部分に、セメントステムでは全てのセメントマントルに骨折が及んでいると、不安定とみなして再置換術を選択することになります。


バンクーバー分類で骨折型を判断してアタマの中で術式選択を考えていましたが、
この過程が Baba分類を用いることでクリアになります。


今後は、ステム周囲骨折があればバンクーバー分類ではなく Baba分類で治療方針を決定したいと思います。えにぐま先生、ありがとうございました!







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