整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節全置換術

ニュージャージーでの備忘録

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何気にブログを更新しているのですが、実は米国のニュージャージーに滞在しています。ありがたいことに、THAユーザーの声を届ける会(?)に参加させていただいているのです。



3333 - コピー





開発拠点で、工場の見学や新製品の説明、そして Mako という手術用ロボット手術ユニットの試用をさせていただきました。


ツアーの中で、興味深かったのは Trident の後継機種である Trident 2 と Mako systemでした。本日は備忘録第一弾として、Trident 2 について書き留めてみたいと思います。


Trident HA cupはセメントレスTHAの中で最高峰のインプラントのひとつだと考えていますが、これだけ優秀なインプラントの後継機種にはどのような改良点があるのでしょうか?


  1.  3D-printed Tritanium と HAのバリュエーションがある
  2.  カップサイズは42mmから
  3.  48mmから36mm骨頭を使用できる
  4.  スクリュー刺入角度が37度に拡大
  5.  スクリューを振ってもヘッドの出っ張りが少ない
  6.  ドリルの切れ無ささは改善(?)


主な変更点は上記のごとくです。日本の実績からは、他社を含めて 3D-printed cup はビミョーな感じですが、HAのバリュエーションもあるようなので問題はなさそうです。


一方、Trident HA cup 最大の欠点(?)であるインサートのロッキング機構はマイナーな変更に留まっている印象です。実際にやってみないと分かりませんが、どうなのでしょうか?


あれだけ素晴らしい Trident HA cup なので、後継機種を出す必要は少ない印象です。しかし、イノベーションを進めるために、敢えて上梓したのでしょう。


Trident HA cup の95点を、97点に持っていくのは至難の業っぽいですが、痒い所に手が届く工夫が随所にみられました。日本での販売開始は来年のようなので楽しみです。






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THAで関節周囲カクテル注射は有用?

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相互リンクいただいている 整形外科 論文ナナメ読み で興味深い記事がありました。以下に一部を転載させていただきます。




20180829CORR No Clinically Important Difference in Pain Scores After THA Between Periarticular Analgesic Injection and Placebo: A Randomized Trial


背景

術後鎮痛を目的とした関節周囲への鎮痛剤の注射は様々な整形外科手術で行われている。しかしながらTHA術後でそういった関節周囲への鎮痛剤注射(PAI)が有用かどうかは不明である。



目的

二重盲検無作為割付試験。一期的両側THAの患者を対象。プラセボとPAIを比較。



結果

PAIの注射、またはプラセボによる臨床的な違いは認められなかった。ただし24時間後のVASはPAIで有意に低い値を示した。合併症に差はなかった。



結論

PAIはTHA術後の鎮痛に臨床的に有意な違いが出るというほどのものではなかった。




がみたけ先生と同様に、私も、PAIはTKAでは有用ではあるものの、THAではどうなのかな? と思っていました。


特に有害事象が多発することは無さそうですが、やはりTHAではTKAと比較して、PAIは有用とは言い難いようです。


私の個人的な感覚では、股関節は膝関節と比較して知覚が鈍であり、もともと疼痛に対して耐性があることが原因のひとつではないかと考えています。






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THA: 大腿骨頚部骨切りの工夫

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先日、久しぶりに大学の先生の人工股関節全置換術(THA)に入ったのですが、大腿骨頚部骨切りの工夫を教えていただきました。


大腿骨頚部骨切りの位置決めは、意外と難しいと思います。特に後方系の侵入では大腿方形筋が邪魔になって、小転子からの距離がイマイチよく分かりません。


私は、今までは下記のような手法で骨切りの位置を決定していました。

  • head-neck junctionからの距離
  • 大腿骨近位の形状
  • 大腿骨頭先端からの距離
  • エレバトリウムを頚部後方に沿わせて小転子まで挿入して距離計測



しかし、いずれも正確性に欠けていることが難点でした。何か良いアイデアは無いかな? と思っていたのですが、興味深い工夫をお伺いしました。


その工夫とは、カップのデプスゲージを流用して小転子からの距離を測ることです。なるほど、確かにデプスゲージなので、アバウトですが距離の計測が可能です。


術中に試してみましたが、割と小転子の膨隆をよく触知できて計測の再現性があります。術中13mmに対して、術後X線では16mmでした。


少し微妙な感じではありますが、大ハズレはなさそうです。しばらく、この方法で大腿骨頚部骨切りをしてみようと思います。








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MISラスプハンドルは沈下の原因?

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先日、POLARSTEM(Smith&Nephew)のTHAがありました。ご存知の方も多いと思いますが、POLARSTEMは骨粗鬆症が高度の患者さんにも使用可能なことがウリのステムです。



しかし、POLARSTEMであってもステム沈下が発生することがあります。業者の方いわく、その原因のひとつとしてオフセットのついたラスプハンドルが考えられるとのことです。


ラスプハンドルにオフセットがついていると、ステムに伝わるハンマーの叩打力が減弱するため、ステム挿入が中途半端に終わってしまう可能性があるそうです。


このことが原因で、特に骨粗鬆症が高度の患者さんでは、ステムの沈下を散見するとのことでした。ちなみにこの現象はPOLARSTEMに限らず、他のメーカーでも見受けられます。


対策は、オフセットの強いラスプハンドルの使用を、できるだけ避けることです。では、オフセットの強いラスプハンドルしか無い場合にはどうすればよいのでしょうか?


その際には、ファイナルインパクションの際に、一旦ラスプハンドルを外してステム肩部をガーゼ等で保護した上で、ステムを直接叩打する手法を試みましょう。






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常に至適な手術台の高さを確保する方法

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私の働いている施設は人工関節センターを併設しているので、THAの症例数がかなり多いです。毎週数件あるので、ほぼ全ての業務がルーチン化しています。


毎週、淡々と業務が流れていくのですが、判断する場面をできるだけ少なくする工夫が随所にあります。先日、これは上手い方法だと感じた工夫があったのでご紹介します。


私たちの施設では、THAやFHRを側臥位で行っています。手術台の高さを決めるのに、私は自分の肘の高さに決めていました。


しかし、この方法では自分の肘の高さというアバウトな指標なので、執刀開始して少し違和感を感じることもあります。


これを回避して厳密に手術台の高さを決める方法として、自分専用の手術台の高さ決めの棒を作成するのです。


自分専用の棒に、患者さんの皮膚切開部の高さをマーキングしておくと、どんな患者さんであっても常に一定の術野までの距離で手術することが可能です。


本当に小さな労力で、快適な(?)手術環境を獲得できます。THAではなくFHRでも使えるので、是非自分の至適な高さを記録してマーキングしておくことをお勧めします。






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