整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工股関節再置換術

人工股関節再置換術(ポリエチレンライナー交換)のポイント

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今日の午前の手術は、人工股関節再置換術(ポリエチレンライナー交換)でした。
12年前に施行されたセメントレス人工股関節の症例で、ポリエチレン磨耗による大転子部の骨融解が進行してきたため手術を行うことになりました。


再置換術時の瘢痕組織の量は個人差が大きく人それぞれですが、前回手術時の創がどのような状態かで、ある程度内部の瘢痕組織の量を推定できます。つまりケロイドになっている方は瘢痕組織の量が多いですし、創がほとんど分からないような方は瘢痕組織の量も少ない印象です。


再置換術の際には瘢痕組織の切除が必要ですが、どの程度切除するとよいのでしょうか?切除しすぎると関節が緩くなるので、私は最小限の切除に留めるべきかなと思います。骨表面に少しだけ軟部組織を残しつつ、基本的には骨に沿って切除します。


あと、画像所見よりも骨融解の範囲は広いことが多いので注意が必要です。新しいデブリスが発生しなくなると骨融解の進行も止まるので、基本的にはポリエチレンライナーを交換して骨融解部にオスフェリオンを充填するだけでOKです。


ポイントは単純X線像やCTの画像をよく読影して、再置換術のタイミングを逸しないことだと思います。時期を逸すると骨折を併発したり、全てのインプラントを再置換するハメになります。

人工関節周囲骨折(人工骨頭ステム下骨折)に対する治療法 その2

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人工関節周囲骨折(人工骨頭ステム下骨折)に対する治療法 その1 のつづきです。


人工関節周囲骨折は、寛骨臼骨折(両柱骨折)ほどではないにしても、難易度の高い骨折だと思っています。両者とも骨折を整復するまで止血する手段がありません。つまり、手術時間が長くなればなるほど、患者さんのダメージが大きくなるのです。


したがって、THAやTKAなどのように和やかな雰囲気の中で手術を施行するのではなく、持てるテクニックの全てを駆使して可能な限り手早く手術を終了します。都市伝説かもしれませんが、出血が大量になると、ある時点で”凝固系のシステムが壊れる”と思っています。


私自身、過去2度ほど”凝固系のシステムが壊れた”瞬間に立会いました。凝固系のシステムが壊れると、術野の風景が一変します。突然、術野のありとあらゆるところから薄い血液があふれ出てくるのです。


1度目は卒後6年目のときに人工股関節再置換術の際におこりました。オーベンの先生の助手として手術にはいっていたのですが、術野が突如として一変して出血が止まらなくなったのです。その経験は、私の中でトラウマになりました。


2度目も人工股関節再置換術の際におこりました。このときは私が執刀していました。少し目を離したすきに、前立ちの先生が大腿骨を内旋してしまい骨幹部骨折を併発しました。まさに、インプランテーション直前の出来事でしたが、このときも骨折を契機として術野が一変しました。


前回の経験があったので一切躊躇せず、あふれ出てくる血液と格闘しながらすぐに閉創しました。DICを併発しましたが10日程度で持ち直し、最終的にはロングセメントステムでの再置換+onlay graftを施行して無事退院まで持っていくことができました。


1回目の経験が無ければ、無駄な抵抗をして悲惨な結果になっていたと思います。いつまでたっても思わぬところで、足をすくわれるのが手術だと痛感しました。

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