整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工膝関節全置換術

TKA: サイズが大きい症例は難しい?

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。
インプラントの予定サイズは小さめでした。


私の経験では、インプラントのサイズが小さいと、展開が比較的容易であるケースが多い印象です。実際に、この日のTKAでも術野がキレイに展開できてスムーズに手術が終了しました。


逆にインプラントの予定サイズが大きいと身構えます。そして、このことはTHAにおいても同様だと思います。インプラントの予定サイズが大きいほど、手術が難しくなるイメージなのです。


しかし、よく考えてみると、インプラントが大きくなると手術が難しくなる理由は、TKAとTHAで異なるのではないかと思うようになりました。具体的には下記の理由によります。


  • TKA: 大きなインプラントは男性に多く、男性は女性に比べて軟部組織が固いため
  • THA: インプラントのサイズが大きいと、リーマーやインプラントの挿入が難しいため


大筋では、両者とも大きなインプラントは手技が難しくなると思うのですが、具体的な理由は少し異なる印象です。もちろん、極端に小さなTHAが高難度であることは、論を待ちません。






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TKA: 膝蓋骨骨折を併発したら・・・

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人工膝関節全置換術(TKA)は、THAと比べてピットフォールが少ないです。
しかし、膝蓋骨低位や高度外反膝などの比較的難症例ではそれなりに注意が必要です。


例えば、膝蓋骨低位症例では展開が難しく、膝蓋骨の排除に苦労することが多いです。膝蓋骨の排除で無理をすると、膝蓋腱脛骨停止部が剥がれたり膝蓋骨下極骨折を併発します。


膝蓋骨非置換のTKAであっても、膝蓋骨周囲の損傷はリカバリーが難しいです。術者は常にこれらを念頭に手術に臨むべきですが、不幸にして併発した場合どうすればよいでしょうか?


膝蓋骨下極骨折や膝蓋腱脛骨停止部剥離を併発した場合には、膝蓋腱損傷として治療を行います。成書ではAOの4.5mm皮質骨スクリューと軟鋼線を用いる方法が記載されています。


しかし、Tibial compornentが脛骨に設置されている状況では、4.5mmの皮質骨スクリューを脛骨結節に挿入することは二次性骨折を併発する危険性を伴います。


この場合、4.5mmの皮質骨スクリューの代わりに2.4mm K-wire等で代用すると良いでしょう。そして膝蓋骨置換症例では、2.4mm K-wireを膝蓋骨に刺入することさえ危険を伴います。


この場合には14Gサーフロー針などを用いて膝蓋骨周囲に1.2mm軟鋼線を誘導します。14Gサーフロー針を膝蓋骨縁ぎりぎりに刺入することで、膝蓋骨縁に軟鋼線を誘導可能となります。


膝蓋骨中枢側縁と内外側縁に沿って、14Gサーフロー針を用いて3回「コ」の字状に軟鋼線を誘導します。こうすることで、軟鋼線が膝蓋骨縁の20時~4時部分に通ります。


膝蓋骨ぎりぎりに軟鋼線を半全周性に通すことで、2.4mm K-wire無しでも十分固定性を期待できる鋼線締結法を施行することが可能となります。


このようなプチ知識を頭の片隅に置いておくだけでも、万が一の事態に遭遇したときにも冷静に対応できると思います。





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感染TKAの治療戦略

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日本整形外科学会誌 90: 245-249 2016の教育研修講座の「感染人工膝関節への対応: 現状と未来」を拝読しました。


今回の教育研修講座は近畿大学の赤木將男主任教授の講演で、下記の2つの資料(PDFでダウンロード可能)をベースに感染人工膝関節への治療戦略を概説されています。




まず、感染が疑われれば直ちに下記のスクリーニングを行います。

1. 血液生化学検査: CRP, ESR, 血球算定, 白血球分画
2. 膝関節液を採取し、細胞数カウント・白血球分類・グラム染色・培養
  • 術後早期(6週間以内): 細胞数>27800/μL、好中球>89%
  • 慢性期 (6か月以降): 細胞数>  1100/μL、好中球>64%
3. 単純X線像 → 骨びらん、インプラントの弛み、クリアゾーンの出現



近畿大学では下記の感染TKAの分類を行い、治療方針を決定しているそうです。

Type 1: 再置換手術時の培養結果で細菌感染が明らかになったもの
Type 2: 術後1ヵ月以内に発生した早期術後感染
Type 3: 良好に経過していた症例に急性に生じる血行性感染
Type 4: 1年以上持続する慢性感染

( Segawa H et al. Infection after total knee arthroplasty. JBJS Am 1999; 81: 1434-45. )
 



感染の持続時間、すなわち感染急性期に診断・治療ができているか否かを重視しているため、インプラント温存が可能な条件は、Type 2, 3かつ発症から3週間以内の症例に限定されます。



インプラント温存の可否を決める感染持続時間のcut off値は不明であるが、1~4週間が限界であるとの報告が多いので、 発症から3週間以内に設定しているそうです。


治療はオープンデブリドマンで手技は下記のごとくです。尚、直視可能な膿や感染組織をあらかた除去した後に、関節鏡用シェーバーを用いると感染性滑膜や肉芽のみ切除できるそうです。

  1. ポリエチレンインサート抜去
  2. 関節内全周性デブリドマン 
  3. 十分量のイソジン添加生食で洗浄
  4. 新品のポリエチレンインサート挿入
  5. 閉鎖式吸引ドレーンを留置



術後の抗菌剤投与は静脈内投与2~6週+経口投与6週以上で、培養での起因菌同定および抗菌薬感受性が重要であることは論を待ちません。


普段、TKAをたくさん施行している施設でも感染TKAの治療を行う機会は少ないと思います。もし自分の患者さんが不幸にして感染すれば、迅速な対応を心掛けなければいけませんね。





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TKA: 膝蓋下脂肪体のうまい切除方法

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。
TKAでは膝蓋骨への血行を考えて膝蓋下脂肪体をある程度は温存した方が良いです。


しかし、視野を得るためには全く切除しない訳にはいかないので、半分ぐらい切除することが多いです。私は以前かたら電気メスで切除していました。


しかし、先日の手術では膝蓋下脂肪体を指先で鈍的に掻き出して鈍的に摘出する方法を拝見しました。一度も電気メスを使用せず、あっと言う間に膝蓋下脂肪体が摘出されました。


う~ん、非常に素早いです。手技的には1~2分程度の差でしかないのでしょうが、指先で掻き出すだけなので、あっと言う間に終了したことがドラスティックで気持ちの良いものでした。


この手法の利点は、時間短縮だけではなく、膝蓋腱の一部を誤って電気メスで切離してしまう危険性からも無縁であることです。



おそらく、手術の巧拙や手術時間の短縮は、このような小さな手技や工夫の積み重ねなのだと思います。効率的で無駄の少ない手術を目指して良い点はどんどん取り入れようと思います。




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TKA: Mayoの安価なポジショナー

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)の手術がありました。
今回は同僚の手術でしたが、現在の病院では初めての執刀でした。


大学同門の医師ではあるものの、施設が違うと流儀が異なることが多いです。今回はポジショナーが興味深かったのでご報告します。


私は骨切面に負荷が掛かるのが嫌なので三角枕を使用していますが、一般的にはポジショナーとしてアルバラードを使用する医師が多いと思います。


一方、今回は側臥位支持器を患側殿部に設置して下肢が外転することを防ぎながら、膝関節を屈曲80度にした際の踵部に砂嚢を置くことで、下肢の自重だけで膝関節を固定できます。


これは、Mayo clinicで行われている手法だそうです。砂嚢を置く位置にやや工夫が要りますが、安価で初期投資がほぼ不要のため、優れた方法だと思いました。


このように大学同門の医師であっても、働いてきた施設が異なると勉強になることが多々あります。やはり、医学においても多様性が重要なのでしょうね。




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