整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

人工膝関節全置換術

KneeAlign2をうまくキメるコツ

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。2015年以降は、人工膝関節置換術用ナビゲーションシステムの KneeAlign2 を用いています。



1111 - コピー



KneeAlign2は非常に精度の高いナビゲーションシステムです。術中の目測で、ちょっと内反気味かな? と思っても、
KneeAlign2を信用して骨切りすると大抵ばっちりです。


KneeAlign2の特徴は、非常に正確であるか、もしくは大ハズレのどちらかだそうです。このため、見た目に問題外でない限りは、基本的に信用して良いと思います。


そんな術者の強い味方であるKneeAlign2ですが、ひとつだけ問題点があります。それは、なかなか大腿骨側のレジストレーションが決まらないことです。


10回やっても20回やってもレジストレーションできないことがあり、手を変えるために助手の先生にやってもらったこともあります。


私の中では、
KneeAlign2に対して苦手意識があるですが、ひとつの解決策を教えてもらいました。それは、レジストレーションの際に骨盤部を押さえてもらうことです。


おそらく、下肢を動かしているときに骨盤が動くために、KneeAlign2が大腿骨頭の位置を定めることができないことがレジストレーションできない原因なのだと思います。


確かに、レジストレーションの際に助手の先生に骨盤部を押さえてもらうと、成功率が高くなりました。


私のように、
KneeAlign2の大腿骨側レジストレーションに苦手意識を持っている方には、骨盤部を押さえる方法をお勧めします。






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TKAにドレーンは必要なのか?!

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私はTHAに際して、ドレーンを留置していません。こちらでご報告したようにTHAでは、積極的にドレーン留置の有用性を支持する文献がなかったためです。


では、TKAではどうなのか? TKAはTHAと比べて体表に近いため、ドレナージしておいた方が血種形成予防に望ましいようなイメージを抱いています。


そこで、いつものようにPubMedで「TKA+drain」で検索してみました。ざざっとabstractを読んでみましたが、あまりドレーンの必要性を論じる文献は見当たりませんでした。


トラネキサム酸関係の論文が多く、ドレナージの必要性を論じている文献はあまりありませんでした。そんな中で目を引いたのは下記の2編です。




A prospective randomized study of wound drainage versus non-drainage in primary total hip or knee arthroplasty
Rev Chir Orthop Reparatrice Appar Mot. 2001 Feb 1;87(1):29-39.

CONCLUSION:

Following primary hip or knee arthroplasty, the use of wound drainage did not lead to increased blood loss, and non-drainagedid not lead to significant wound healing problems but did not reduce blood loss and transfusion requirements. It was even associated, following TKR, with greater blood loss and transfusion. Such data may therefore be used to support drainage as well as non-drainagefollowing THR or TKR. Avoiding drainage may be interesting in terms of cost, but the benefit is marginal; it also eliminates one possible source of retrograde wound infection. Systematic wound drainage following THR or TKR is essentially a tradition. This study shows that it can safely be dispensed with in a number of cases.




Evaluation of outcomes of suction drainage in patients with haemophilic arthropathy undergoing total knee arthroplasty.
Mortazavi SMJ, Firoozabadi MA, Najafi A, Mansouri P.

Haemophilia. 2017 Jul;23(4):e310-e315. doi: 10.1111/hae.13224. Epub 2017 May 24.

CONCLUSION:

We can conclude that there is no rationale for the use of drain after primary TKA.





う~ん、真っ向から対立する意見ですが、危惧されるような感染・術後疼痛・膝関節可動域制限の明らかな増加は報告されていないようです。


おそらくTKAにおいても、ドレーンを留置しないデメリットはあまり無さそう印象です。ただ、THAと比べて、導入に少し勇気が必要そうです。どうしようかな。。。






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TKA: 骨太患者さんには要注意!

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先日、大柄な男性の人工膝関節全置換術(TKA)がありました。「骨太」な男性は関節が固いため、手術が難しくなる印象を抱いています。


大腿骨を通常よりも4mm切り上げて脛骨を2mm切下げましたが、それでもまだタイトなためインサートの挿入が難しかったです。


ほとほと困っていると、立ち合いの方が ①脛骨コンポーネントを設置 ②インサートを挿入 ③最後に大腿骨コンポーネントを設置する 施設があることを教えてくれました。


見たことの無い手技だったので半信半疑でした。しかし、トライアルしてみると、インサートを大腿骨トライアルに先立って挿入することで何とか設置可能でした。


  1.  脛骨トライアルを設置
  2.  最薄のインサートトライアルを設置
  3.  最後に大腿骨トライアルを設置


このようなケースでは膝窩部の止血が不可能となる問題点があるものの、どうしてもタイトでインサートさえ挿入できない状況では有用な手技だと感じました。


本番でもこの順番で設置しましたが、問題なくインプランテーションできました。この手技を採用する場合には、膝窩部に念入りにオピオイドカクテルを注射しておきましょう。


それにしても「骨太」な男性患者は要注意だと思いました。初めてsubvastus approachを施行した際、最後までインプラントを設置できず、術中revisionになったことがありました。



それ以来、骨太の男性患者さんには、どうも苦手意識があります。やはり、筋肉量の少ない女性患者さんが一番ストレスが少なくて楽ですね。。。






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感染手術のわたし的なコツ

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人工関節全置換術後の感染は、主治医にとっても非常にナーバスな出来事です。一度遭遇すると、関節外科医を辞めたくなることさえあります。


そんな、患者にとっても主治医にとっても不幸な術後感染ですが、診断が確定した時点で迅速に対応することが治療の成否を分けます。


発症から1日程度しか経過していない症例では、とにかく関節内清掃を最優先にします。これぐらいの時期の患者さんの場合、うまくいけばインプラント温存も可能だからです。


このような緊急手術の場合、インプラント抜去セットを準備する余裕がないので、関節内を徹底的に掻爬洗浄することに主眼を置きます。この際、私は下記に留意して手術を施行します。


  1.  最も感染性肉芽組織の発達している部位から攻める
  2.  可能なかぎり軟部組織を温存する
  3.  電気メスは極力使用しない


①は、いわゆる「ハートランド作戦」です。敵の集中している部位を最初に叩くことで、手術のリズムに弾みを付けます。まずは最も作業効率の良い部位から片付けましょう。


②に関しては、軟部組織を丸ごと切除すると感染に対する局所組織の抵抗力を削いでしまいます。特に骨膜ごと切除すると、腐骨化する原因となるので厳に慎むべきでしょう。


③に関しては、特に発症早期の症例では感染性肉芽組織も、それほど深部にまで発達していません。私は表面の感染性肉芽組織を鋭匙で掻爬して、その後にガーゼでこすり取ります。


特にガーゼでこすり取る手法は、深部の健常な組織を傷つけることなく感染性肉芽組織のみ迅速に切除できるので有効な手法だと考えています。


指先でガーゼ越しに感染性肉芽組織をゴシゴシこすると、あっという間に広範囲の感染性肉芽組織を切除することが可能です。


電気メスを使用すると不用意に健常組織にまで切り込んでしまい、感染に対するバリヤーを破壊してしまいがちです。更に焼却痕のため、正常と感染の区別が難しくなります。


膝関節なら鋭匙+ガーゼ+洗浄を繰り返すことで、10~20分程度で関節内清掃が完了します(膝窩部を除く)。


とにかく感染の手術はストレスフルですが、嫌な手術だからこそ迅速に、そしてシステマティックに施行する技術を磨いておくべきだと思います。







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BMI>40でもTKAはまだマシ?!

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先日、人工膝関節全置換術(TKA)がありました。今回の症例は普通とは少し異なり、BMI>40 の患者さんでした。


BMIが40を超える症例はなかなかお目にかかる機会はありません。世界保健機関(WHO)の基準でも、日本肥満学会の基準でも、最も重症度の高い肥満のようです。


ここまでくると、肥満は疾病であるということが実感として理解できます。BMIが40を超えるということは、それほど強烈なのです。


さて、実臨床において、BMI>40がどの程度手術の難易度に影響するのか? TKAの手術終了時の感想としては、危惧していたほどのモノではなかったというのが正直なところです。


以前にも一度BMI>40の症例のTKAを経験していますが、多少やりにくいかな?と思う程度で、決定的に手術操作が難しいわけではありません。


しかし、これがTHAになると話は別です。BMI>35になってくると、大腿骨を浮上させることも一苦労となります(※)。


※ あくまで数少ない経験則です


いわんや、BMI>40の症例では、相当手術が難航することが予想されます。このように、BMI>40といっても部位や術式によって、ずいぶん難易度が変わってくるのが実情です。


やはり、いくらやり慣れた手術であってもBMI>40等の高度肥満に対峙するときには、それ相応の覚悟が必要なのではないでしょうか。特にTHAの場合には・・・







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