整形外科医のブログ

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人工骨頭置換術

人工骨頭なら関節包温存手術で充分!

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先日、人工股関節全置換術(THA)の内閉鎖筋温存手術をご紹介しましたが、
人工骨頭置換術ではアウターヘッドが大きいため、内閉鎖筋を温存するのは結構キツイです。


内閉鎖筋を温存するために術中骨折などを併発するとエライことです。そこで今回は、関節包と梨状筋は温存するものの、内閉鎖筋を含めた短外旋筋群を全て切離してみました。


関節包温存 - コピー


内閉鎖筋下縁で関節包をL字状に切離しました。短外旋筋群と関節包の間にエレバトリウムを挿入して、梨状筋と関節包を温存しながら内閉鎖筋を含めた短外旋筋群を切離しています。



少し分かりにくいかもしれませんが、アウターヘッド上の膜状軟部組織が後方関節包です。短外旋筋群を温存した時と比べて劇的に大腿骨の前方への排除が楽になっています。


感覚的には通常の後方アプローチとほぼ遜色の無い展開のし易さです。ただし、股関節後方への制動性は内閉鎖筋温存手術と比べると少し見劣りします。


しかし、総合的に考えると人工骨頭置換術ではアウターヘッドが大きいため、内閉鎖筋を温存するメリットはTHAほど大きくないと思います。人工骨頭なら関節包温存だけで充分です。


このようなことから、THAでは内閉鎖筋を温存手術を、人工骨頭置換術では関節包+梨状筋温存手術を選択することを基本にしようと思います。




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                       股関節学



リーマーを寛骨臼内に誘導するコツ

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先日、人工股関節全置換術(THA)がありました。
最近では梨状筋~内閉鎖筋までの短外旋筋群を温存しています。


この術式のメリットは股関節の安定性が向上しますが、軟部組織を温存すればするほど手術操作が難しくなります。両者はトレードオフの関係なのです。


寛骨臼の下半分しか展開していないので、リーマーやカップを寛骨臼内に誘導することが非常に難しいです。通常のTHAでは苦労しないところで、操作上の問題点があります。


さて、これを解決する手法としてリーマーやカップを頭側から寛骨臼内に挿入すると、スムーズに誘導できることが多いです。


寛骨臼内は下図のように末梢側半分だけが展開された半円状になっています。この「半円」の形状にリーマーやカップの形状を「合わす」ためにリーマーの柄の部分を頭側に向けるのです。
  

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そして、この手技は梨状筋~内閉鎖筋までの短外旋筋群を温存するTHAだけではなく、人工骨頭置換術でも応用できます。


人工骨頭置換術の場合には大腿骨頭を抜去するために、骨頭抜去器の柄を頭側に持ってくるとスムーズに大腿骨頭を抜去できることが多いと思います。



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                                    人工股関節全置換術

股関節脱臼の整復は「バー」使用が便利!

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先日、他院で施行された人工骨頭置換術後の方が、脱臼したため搬送されてきました。
人工骨頭置換術の脱臼は、径が大きいためTHAと比べて整復が難しいです。


後方脱臼の場合には股関節を屈曲・内転・内旋位として、かなりの牽引を掛ける必要がありますが、この際に骨盤へのカウンターが重要となります。


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介助者にカウンターを掛けてもらいますが、上手くカウンターが掛からないことが多いです。このような時には、上の画像のような大腿骨近位部骨折用のバーをつけることをお勧めします。


使用方法は大腿骨近位部骨折での牽引と同じ要領です。ただし、後方脱臼の整復では股関節を屈曲して牽引するので、両上前腸骨棘での床面方向へのカウンターが必要です。


それでも股間にバーを設置することで、体幹方向の牽引力に対しては完璧にカウンターが掛かります。非常に整復が容易になるので、股関節の脱臼整復時には必須のアイテムだと思います。



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                                    人工股関節全置換術



大腿骨転子部骨折後のFHR

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昨日の大腿骨転子部骨折後偽関節のつづきです。診断に関しては、ショートネイルが入っている状態でも、意外とCTを撮影することで偽関節の診断が可能なことをお伝えしました。


次に問題になるのは手術ですが、基本的には通常の人工骨頭置換術やTHAよりもかなり難しいです。revision THAほどではないですが、それに近い感覚かもしれません。


まず、ネイルの抜釘ですが、刺入部の表面は骨に覆われていて分かりにくいことが多いです。この場合には、まずラグスクリュー刺入部を展開してドライバーを挿入します。


ドライバーの方向からネイル刺入部位を推定します。そして、その部分をk-wireでドリリングして位置を探ります。k-wire先端に金属が当たる部位を切除するとネイル刺入部を展開できます。


一般的にネイルは大転子頂点から挿入されているので、大転子が菲薄化して強度が弱くなっている可能性があります。このため、術中操作では細心の注意を払う必要があります。


基本的に、セメントレスステムが前提の場合にはS-ROM-Aでの対応が望ましいと思いますが、バックアップでセメントステムも準備しておくとよいでしょう。


術後Xp



ただ、セメントステムはどのような症例でも対応可能ですが、脱臼肢位の確認を充分にできないことから一発勝負になりがちなので、できるだけ避けたいところです。




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大腿骨転子部骨折後の人工骨頭置換術

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昨日の午後はアルバイト先で、人工骨頭置換術の手術に参加しました。
当初、大腿骨転子部骨折に対して髄内釘で骨接合術を施行されたようです。


しかし、小転子下に及ぶ粉砕した大腿骨転子部骨折であったため頚基部が偽関節となりました。ラグスクリューがカットアウトしそうになったため、人工骨頭置換術を施行することになりました。


この方は80歳台後半の方で、高度の骨粗鬆症を併発しています。このため展開は広い視野を確保できる後外側アプローチを選択しました。


前回手術の皮切の一部を利用して髄内釘を抜去した後、慎重に股関節を展開しました。大腿骨近位部は、骨折の影響で正常な形態をほとんど留めていませんでした。


初回手術から3ヵ月経過していましたが、大腿骨周囲の瘢痕組織形成が高度でした。大腿骨近位部の形状を確認するため、骨膜下に瘢痕組織の切除を施行しました。


多量の瘢痕組織を切除すると何とか大腿骨近位部の形状を確認できました。ここで問題点がひとつ出てきました。髄内釘周囲の骨が硬化しており、大腿骨髄内の方向が分からないのです。


K-wireや鋭匙等で大腿骨髄内を探り、硬化した骨に穴を開けて何とかリーミングすることができました。ステムをラスピングする段階で、ふたつめの問題点が出てきました。


短縮した大腿骨の引き降ろしおよび術野の確保のため、後方軟部組織をかなり切除しています。このため、股関節の後方不安定性が通常症例よりも高度なのです。


しかし大腿骨近位部の骨欠損が大きいため、充分なトライアルができません。したがって、大腿骨頚部前捻角を通常よりもやや大きめにつけてラスピングしました。


何とか、無事手術を終了しましたが、やはりこのような症例での人工骨頭置換術は難しいと思いました。もう一度、手術の際に気付いた点をまとめておきます。


① 大腿骨近位部が硬化しており、リーミングのエントリーポイントの位置決めが難しい
② 外傷後なので軟部組織の弾性が低下している
③ 後方アプローチの場合、後方不安定性が強くなるためステム前捻角は大きめの方が無難




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