整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

伸展制限

ACL再建術後の伸展制限

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鏡視下前十字靱帯再建術後の問題点として、膝関節の伸展制限が挙げられます。その要因のひとつとして、脛骨ACL停止部前方に形成された滑膜・瘢痕組織があります。


この部分に瘢痕組織が形成されると、膝関節伸展時に大腿骨顆部のグルーブに当たって伸展制限の原因となることがあります。


私が所属する施設では、鏡視下前十字靱帯再建術後1年で抜釘術(半腱様筋腱使用・エンドボタン)および鏡視をルーチンとしています。



先日、ACL再建術後の患者さんで、僅かに伸展制限が残っている方の鏡視を行いました。鏡視所見としては、脛骨ACL停止部の前方には特に瘢痕組織形成を認めませんでした。


同じ病院にACL再建術のスペシャリストが居るのですが、ACL再建術後に伸展制限が残存する症例では、この部分を重点的に確認して、必要に応じてシェービングするとのことです。


私はラーニングカーブの問題で、早々にACL再建術のスペシャリストへの道を諦めましたが、同じ病院で他の分野のスペシャリストが居ると本当に助かります。





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整形外科を志すなら、キャンベル(Campbell's Operative Orthopaedics)は必須でしょう。ペーパー版以外にも、DVDやe-ditionもあって便利です。更にKindle版は約30% OFFで購入可能です。このような辞書的な医学書は、電子書籍と相性が良いと思います。










小児の尺骨鈎状突起単独骨折

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昨日の午前は、アルバイト先での外来でした。
器械体操中に右手をついて肘関節を強制伸展してから痛いという小学生が初診しました。


単純X線像で、尺骨鈎状突起の裂離骨折を認めました。上腕骨内顆からMCLにかけての腫脹・圧痛はありませんでした。徒手検査でも内側の不安定性を認めませんでした。


尺骨鈎状突起骨折例では前方+内側不安定性をきたす複合靭帯損傷(不安定症)が多いと思いますが、幸い(?)この患児は尺骨鈎状突起裂離骨折のみのようです。


尺骨鈎状突起の転位が大きい複合靭帯損傷(不安定症)症例は手術適応です。手術は前方から展開して、尺骨鈎状突起をHerbert screw等で内固定します。


この手術は術野が深くて神経血管束を避ける必要があるので、私には苦手意識があります。しかし、今回は鈎状突起単独骨折であることと、小学生であるため保存治療を選択しました。


成人の保存治療では、最初の2週間程度は肘関節90度でギプスシーネ固定とします。そして受傷後1週の段階で、支柱付きの肘関節装具の採型を行います。


この装具には伸展制限をつけることができるようにストッパーをオプションで追加します。2週間でギプスシーネを除去してから、この装具を3ヶ月程度常用するのです。


当初は鈎状突起の転位を防ぐために、最初は屈曲45~60度までの伸展制限をつけておきます。段階的に伸展制限を軽減していき、最終的には受傷後6週程度で伸展制限を無くします。


成人で肘関節を長期間固定すると高度の拘縮を残します。可動域を保つには、早期から支柱付き・伸展制限付き装具装着下に積極的な肘関節可動域訓練を行う必要があるのです。


難点は、この支柱付き・伸展制限付き装具が約9万円と非常に高価なことです。自分の健康保険を利用する場合には価格のことも含めた話をするべきだと思います。


今回は小学生なので、多少長い期間外固定を行っても肘関節拘縮を残す可能性は低いです。したがって装具を処方せずに外固定を4~6週間程度施行することにしました。




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手の外科の実際                       私の手の外科―手術アトラス





尺骨鈎状突起骨折の治療

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昨日の午前は、出張先での外来でした。
仕事中に転落して右手をついてから肘が痛いという方が初診されました。


単純X線像で、尺骨鈎状突起骨折を認めました。上腕骨内顆からMCLにかけての腫脹・圧痛も認めたため、肘関節の前方+内側の複合靱帯損傷(不安定症)と診断しました。


このような前方+内側不安定性をきたす肘関節損傷は尺骨鈎状突起骨折例に多いと思います。尺骨鈎状突起の転位が大きい症例ではもちろん手術適応です。


前方から展開して尺骨鈎状突起をHerbert screw等で内固定しますが、術野が深くて神経血管束を避ける必要があるので私は苦手意識があります。麻酔が掛かっているので、MCLはついでに縫合することが多いです。


しかし、今回は鈎状突起の転位がほとんど無かったため、保存治療を選択しました。保存治療を行う場合には最初の2週間程度は肘関節90度でギプスシーネ固定とします。


そして受傷後1週の段階で、支柱付きの肘関節装具の採型を行います。この装具には伸展制限をつけることができるようにストッパーをオプションで追加します。


2週間でギプスシーネを除去してから、この装具を3ヶ月程度常用するのです。当初は鈎状突起の転位を防ぐために、最初は屈曲45~60度までの伸展制限をつけておきます。段階的に伸展制限を軽減していき、最終的には受傷後6週程度で伸展制限を無くします。


肘関節を長期間固定すると鈎状突起は骨癒合しますが、肘関節に高度の拘縮を残します。肘関節前方および内側の不安定性の治療をしつつ可動域を保つには、早期から支柱付き・伸展制限付き装具装着下に積極的な肘関節可動域訓練を行う必要性があるのです。


難点は、この支柱付き・伸展制限付き装具が約9万円と非常に高価なことです。労災や交通事故の場合には問題になりませんが、自分の健康保険を利用する場合には価格のことも含めた話をするべきだと思います。




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残存する痛みと伸展制限がTKA後の患者満足度に関連

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Medical Tribune Vol.46, No.16で、残存する痛みと伸展制限がTKA後の患者満足度に関連 
という記事がありました。

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残存する痛みと伸展制限がTKA後の患者満足度に関連
岐阜市民病院整形外科 清水孝志副部長 
第43回日本人工関節学会


・ 対象は2011年1月~12月に初回TKAを受け、術後半年・1年に回答した22例25膝

・ JOAスコアは術前の55.2点から術後半年で72.3点、同1年後は73.3点へと改善した。

・ 術後アンケートでは、日常生活動作(ADL)と手術の満足度(4段階)、100mm法による痛みのVisual Analogue Scale (VAS)を調査項目とした

・ 術後1年の満足度は72%が「大変満足」か「まあまあ満足」と答えた

・ 「どちらともいえない」や「不満足」と答えた不満足群は術後半年・1年で有意に強い痛みを感じていた

・ 「どちらともいえない」や「不満足」と答えた不満足群は術後半年・1年で有意に伸展制限をみとめた

・ TKA後の痛みは10%以上の患者が1年後も感じている


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清水先生は、残存する痛みに関してはオピオイドも含めた薬物治療などで痛みへの介入を検討する必要があると述べています。


管理人の経験でも確かに少数ではありますが、痛みが残存する症例を散見します。やはり痛みが残存すると患者さんの満足度に影響を与えるので、そのような方には薬物治療の検討も仕方ないのかなと思いました。




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