整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

保存的治療

保存的治療のコツ: 基節骨・中手骨骨折

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日本整形外科学会雑誌 Vol.91 No.7 July 2017の教育研修講座の石黒隆先生による「手の骨折に対する保存的治療」の続編です。今回は指の基節骨骨折・中手骨骨折の保存的治療です。


参考: 保存的治療のコツ: 橈骨遠位端骨折




指の基節骨骨折・中手骨骨折


基節骨の周囲3/4は腱によって覆われているので、骨折部と腱との癒着をつくりやすいです。従来の機能的肢位に3~4週間固定すると、下記のような機能障害を残す可能性が高まります。

  1.  MP関節の伸展位拘縮
  2.  骨折面での腱との癒着
  3.  回旋変形
  4.  偽関節


保存的治療としては、Burkhalterらが初めてMP関節屈曲位での早期運動療法を行いました。一方、石黒先生は、MP関節だけを屈曲位に保持する早期運動療法を行ってきました。



22 - コピー

(日本整形外科学会雑誌 Vol.91 No.7 July 2017の454より転載)



上図がMP関節屈曲位での早期運動を可能にするナックルキャストという外固定です。MP関節が70~90度屈曲位になるように保持することが重要です。


中手骨骨折では頚部骨折の頻度が高いですが、30~40度の屈曲転位を残しても、しっかりした握りが可能なら機能的問題はありません。ナックルキャスト作成の要点は下記のごとくです。


  1.  徒手的に整復し、指を最大屈曲位に保持して回旋変形のないことを確認する
  2.  MP関節を屈曲位に保持する
  3.  2インチ(5㎝)幅のソフトキャストを使用する
  4.  手と指の背側部分を折り返して厚く巻き、指の掌側部分はできるだけ薄く巻く
  5.  術者は片手の母指を患者の掌にあてがい、もう一方の術者の掌で患者の指を圧迫してMP関節の屈曲位を保持
  6.  余分なギプスを除去する


上記のナックルキャストは、受傷後4週間行います。粉砕骨折では1~2週間延ばすこともあるそうです。とにかく早期から指の屈伸運動を開始することが重要です。





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保存的治療のコツ: 橈骨遠位端骨折

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日本整形外科学会雑誌のVol.91 No.7 July 2017の451-458に興味深い教育研修講座が記載されていました。いしぐろ整形外科の石黒隆先生による「手の骨折に対する保存的治療」です。


教育研修講座内で石黒先生もおっしゃられるように、最近の学会報告は手術的治療に偏り過ぎている傾向があります。そして勤務医の場合は、実臨床でも手術的治療に偏っています。


特に、私立病院では経営陣から成果を求められるため、積極的に手術的治療が採用される傾向にあります。今回の教育研修講座は、その風潮に対するアンチテーゼのようです。




橈骨遠位端骨折


整復操作はChinese finger trapを用いて牽引を15分間加えます。その後、牽引を外して助手に肘を90度屈曲位に保持させて整復します。


整復のポイントは、末梢骨片を恥し、転位している側(骨膜の残存する側)を過伸展させながら末梢に牽引し、末梢骨片の基部を押し込むようにして一気に整復します。



11 - コピー

(日本整形外科学会雑誌のVol.91 No.7 July 2017の451ページより抜粋)



整復後は手関節軽度掌屈・肘屈曲位にSugar tongs型のギプスシーネを当てます。手掌部のギプスシーネは近位手掌皮線までとして、MP関節の屈曲制限を起こさないようにします。


高齢者の場合、20度を超える背屈転位や3mm以上の橈骨短縮を起こさない限り、橈屈転位していても機能的問題を残すことはないそうです。





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