先日、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。
最近では内閉鎖筋温存手術も、ずいぶんスムーズにいくようになりました。
もちろん、高位脱臼例などの難症例では内閉鎖筋を切離しますが、通常症例ではほとんど内閉鎖筋を温存できるようになりました。
小さなコツはたくさんあるのですが、文章化は自分の手術記録内に留めています。あまり、このような進入方法に興味がある人は居ないと思うからです。
そして、手術手技がある程度プラトーに達したので総括すると、内閉鎖筋温存手術は一般受けする進入方法ではないというのが正直な感想です。
それは軟部組織を温存する割合が高いため、術野の視野が不良であるためです。目視での判断がほぼ不能であるため、手の感覚だけでリーミングの状況を判断する必要があります。
極論すれば、目をつぶっていてもリーミングできるぐらいTHAの手技に精通していなければ、この進入方法を選択するべきではないと思います。
そして、内閉鎖筋を温存して得られるメリットとインプラントをマルアライメントに設置してしまうリスクを天秤にかけると、やはり術野をしっかり展開して施行する方に軍配が上がると思います。
一度慣れてしまえば、通常の後側方進入のTHA と大差無く施行可能ですが、ラーニングカーブが数十例必要なので、股関節専門施設以外では決してお勧めできるものではありません。
そうは言っても、私はなんとなくこのまま内閉鎖筋温存手術を続けるつもりです。本当は股関節学会で発表した方が良いんだろうな(笑)。