3月も中旬に差し掛かった平日のお昼休みに、1本の電話がかかってきました。相手は旅館業仲間で、観光庁の補助金獲得の件で頻回に連絡を取り合っています。


今回の電話は「旅館業界は4月に繁忙期入りするため、4月だけ旅館業組合の補助金業務の取りまとめをお願いできないか」という趣旨でした。う~ん、表面上は私も同業者なんだけどなぁ・・・


私は、旅館業仲間に素性を明かしていません。あえて自分が勤務医であることは伝えていないのです。このため旅館業仲間は、私のことを旅館経営者だと思っています。


皆、数軒程度の宿泊施設を運営しているオーナー社長です。客室合計が100室にも満たないので、自分でオペレーションを行っています。日々の清掃まで行っている方もいるようです。


一方、私は値付けと監視以外の業務を、全てアルバイトスタッフで回す仕組みを構築しています。他のメンバ―と異なり時間的融通が利くため、補助金業務では常に先頭を走っていました。


このため、実務能力が高いヒトと思われてしまい、今回の依頼につながったようです。最初は断るつもりでしたは、カツカツ状態のようなので仕方なく1ヵ月だけ引き受けることにしました。


この話の伏線として、観光庁からの補助金事業のために結成した旅館業組合を通じて、近隣で開業されているたくさんのホテル・旅館施設経営者と知り合いになりました。


宿泊業に関しては、不動産賃貸業と同様にマーケットが大きいため、近隣と言えども直接の競合関係になることはあまりありません。このため、お互いの近況を報告しあっています。


そして補助金業務を取り仕切ることになったのですが、昨年比の稼働率データ収集が主な業務です。続々と近隣同業者のデータが集まってくるのですが、稼働率を確認して驚きました。


一般的に1~2月は閑散期なのですが、それでも昨年比で大幅な稼働率低下を認めました。たしかにAirbnbなどの民泊は既に過当競争に陥っているため、価格勝負の世界に突入しています。


しかし、旅館業法の営業許可を取得した施設でも、供給過多による過当競争の芽をかいま見てしまいました。具体的には1・2月とも、昨年比で20%程度稼働率が落ちているようです。


大本営発表の数字は、大都市圏の大規模ホテル稼働率は未だに高値推移しています。しかし、直近のマーケットの肌感覚としては、じわりと供給過多による悪影響を感じざるを得ません。


2年前まで新築物件のほとんどは、相続対策の賃貸マンションでした。私のエリアは時価と路線価が2倍ほど乖離しているため、賃貸マンションを新築すると強力な相続税対策になります。


しかし、昨年からは新築される物件のほとんどがホテル等の宿泊施設です。コンビニよりも多いのではないか?と感じるほど、凄まじい勢いでホテルの建築ラッシュが続いています。


先日、知り合いの不動産投資家から、総投資額6億円で売上9000万円の新築ホテルの投資案件をどう思うか? と訊かれました。今から「想定」利回り15%のホテルは非常にリスキーです。


実情を伝え、その投資は止めた方がよいと忠告しました。他県からみるとこのエリアは、豊饒地に見えるようです。このあたりは実際にマーケットで戦っている人間しか分からない感覚です。


まだ収益性が高くて美味しい市場ですが、不動産賃貸業同様にそろそろ冬支度をしなければいけない時期に差し掛かっているのかもしれません。この機会に私の施設の概略をまとめました。

  • 年間売上 807万円
  • 営業利益 503万円
  • 売上高営業利益率 62.3%
  • 稼働率 64.1% 
  • 表面利回り 20.7% → 売上高 ÷(物件購入費用+改装費)
  • 実質利回り 12.9% → 営業利益 ÷(物件購入費用+改装費)


地下鉄徒歩5分の商業地で流通坪単価200~300万円、1棟ビルの流通利回り6%のエリアなので、営業利益利回り7%程度でも売却できそうです。う~ん、今が売り時かもしれません。


ドルフ・デ・ルースの「物件に惚れるな、取引に惚れろ」という名言を思い出しました。取引に惚れるのなら売却です。しかし、丹精を込めて創り上げた施設を手放すのは心理的に難しい・・・


「売却」という冬支度が良いのか、永久保有目的で賃貸物件へのコンバートを含めた「退路の確保」という冬支度のどちらが良いのかを、もう少し考えてみようと思います。
 




★★ 管理人監修の資産形成マニュアル ★★
 


管理人監修の「勤務医の、勤務医による、勤務医のための資産形成マニュアル」です。高度な医療技術で社会貢献するためには経済的安定が不可欠! という信念のもと、管理人は多くのメンターから指導を受けました。

その指導内容をまとめたものが本マニュアルです。その指導内容をまとめたものが本マニュアルです。既に資産運用をしている方でも、勤務医のアドバンテージを生かした新しい考え方が見つかるかもしれません。

PDF版の販売で、30日間の返品保証付きです。当直1回分にも満たない価格なので、本マニュアルの手法を実践すれば、あっという間に元が取れると思います。 尚、医師以外の方のご購入はご遠慮ください。



情報教材表紙