Medical Tribune 2014年7月10日号に興味深い記事がありました。「リハビリ職員のH. pylori陽性率は就労年数とともに上昇」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


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Helicobacter pylori(H. pylori)保菌率の高い高齢者と接する機会の多いリハビリテーション職員のH. pylori陽性率が就労年数に伴って上昇していることが、第20回日本ヘリコバクター学会学術集会で筑波記念病院副院長の池澤和人氏(消化器内科)から報告された。


高校卒業式や成人式でH. pylori感染を診断する試みが行われているが、H. pyloriの感染ルートは小児期の唾液を介した家庭内感染が主であり成人期の感染は少ない知見に基づく方策です。  


一方でプライマリケアに携わる看護系スタッフや内視鏡検査医などが一般に比べて感染率が高いとの報告もあり、成人後の感染成立が否定できないことを示すデータがあります。


就労期間から1〜2年,3〜4年,5〜6年,6年超の4群に分けて陽性率を見ると、それぞれ5.0%,12.0%,17.6%,28.6%であり、就労が長期の群で陽性率が有意に高かった(下図)。



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                             (Medical Tribuneからの転載)



職種別では患者の唾液・胃液の曝露を受けやすい言語聴覚士の感染率が26.3%と高かったが、作業療法士16.3%と理学療法士15.3%との間に有意差は認められなかった。


池澤氏は「若いときにH. pylori陰性の診断を受けても就労環境によっては成人感染することを示唆しており、今後は陰性者のサーベイランスを行い追跡する必要がある」との見解を示した。


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これは結構コワイ結果だと思いました。医療の現場では様々なリスクがありますが、唾を介してインフルエンザだけではなくH. pyloriも感染する可能性があるようです。


今回の研究とは直接関係無いですが、人工関節手術での骨切や脊椎手術中の掘削手技の際に発生する多量の骨粉が、術者や手術室スタッフの健康に悪影響を及ぼさないか心配です。


具体的にはクロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオンが原因と考えられている疾患群ですが、原因や治療法が解明されていないため不気味です。


まあ、クロイツフェルト・ヤコブ病については少し考えすぎなのでしょうが、医療人として勤務するということは感染リスクも含めて本当に多くのリスクに晒されるていることになります。


全てのリスクから完全にフリーになることは不可能ですが、忙しい日常業務の中でも自分の身は自分で守るということを忘れないようにしていきたいと思います。




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