リクルートドクターズキャリア に掲載された多摩大学の真野教授のレポートによると、理想的な医療提供体制はの要件は下記3項目だそうです。

・ フリーアクセス
・ 医療の質が高い
・ 低コスト


現在の日本では上記の3項目を達成していますが、超高齢化社会が近づくにつれて医療費が増大して「理想的な医療提供体制」の維持が困難になりつつあります。


現在、厚生労働省が推進している地域包括ケアシステムは、急性期や回復期といった医療機関の機能を明確に定めることで、アクセスを制限してコストを抑える政策です。


一方、米国の医療はコストが高くてアクセスが悪いことで有名ですが、最近ではITを活用したアクセスの改善が図られているそうです。その一例としてCleveland Clinicが紹介されていました。


Cleveland Clinicは、周知のようにMayo Clinicと並ぶ全米屈指の大規模総合病院です。eCleveland Clinicというコンセプトで、ITを活用した地域医療連携を展開しています。


同院と同じ電子カルテを地域の開業医も導入して、クラウド上で患者情報を共有しているそうです。既往歴、治療の経過も共有しているので、患者紹介が非常にスムーズです。


米国では開業医のあり方が多様なことも特徴で、病院勤務医でありながら地域で開業している医師も増えているそうです。Cleveland Clinicを中心にシームレスな連携がなされています。


eCleveland Clinicでは医療機関同士だけではなく、患者向けのITサービスも含まれています。患者さんが自分の診療情報を閲覧でき、次回受診や検査予定などが分かります。


更に、 ネット上で専門医からセカンドオピニオンを受けることができるサービスまで提供されており、ヨーロッパや中東からの利用者が多いそうです。


現状ではコスト面の問題をクリアするには至っていないのでしょうが、医療アクセスを改善しながらコスト削減と医療の質の維持を目指しています。


クラウド上で患者情報のやりとりをするなど、日本ではちょっと考えられないレベルの展開を実践しています。クラウド上の連携を全医療機関に拡大できれば、医療費削減も視野に入ります。


米国以上に日本の医療制度改革は待ったなしです。個人的にはアクセス制限や疾患別の医療費制限などの泥臭い対応が必須だと思いますが、米国の試みには夢があると思います。


世界はすごい勢いで変化していますが、その変化の潮流が送らばせながら日本の医療界にも到来しつつあるのかもしれませんね。
 

 



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