整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

医療訴訟

リタイア後も日医医賠責保険OK!

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以前、医師賠償責任保険の保険料を安くする(無料にする)方法
「日本医師会」に入会する方法をご紹介しました。


もし、勤務先の病院が日本医師会への加入を推奨しており、A会員の年会費(=約16万円)を負担してくれるのなら、日本医師会へ加入することで医師賠償責任保険に無料で加入できます。


私も日本医師会のA会員(正確にはA2会員)なのですが、都道府県医師会から「日医医師賠償責任保険の制度改訂に関するお知らせ」が届きました。


内容は、「閉院や医療機関から退職して医業を ” 廃業 ” した後にも賠償責任保険適用を追加する」 というなかなか画期的な改訂のようです。


従来は、廃業(=リタイア)前の医療行為に起因して損害賠償請求がなされた場合には、特例を除いて賠償責任保険が適用されませんでした。


これはかなりコワイ話で、極論すれば医師をリタイアしてもかなりの長期間にわたって医師賠償責任保険に加入し続けなければならないという厳しい現実がありました。


今回の日医賠償責任保険の改定で、日医A会員がB会員(年会費28000円)に異動することにより、これまでは保険の適用が無かったB会員であっても廃業後10年間は保険適用になります。


この改訂のおかげで医療訴訟の心配がかなり緩和されました。ただ、この適用は廃業後(=リタイア後)の医療行為について補償するものではないことは注意が必要です。


リタイア後も週1日程度は医師としての勘を維持するためにアルバイトをしようという場合には、2割の団体割引が利く民間医局などの医師賠償責任保険に加入しておくべきでしょう。




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突然死に対する病理医の見解

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東京女子医大の男児事件に思う のつづきです


その病理医がおっしゃられるには、最近(ここ10年ほど)の風潮として臨床経過から予想されなかった突然死に関しては、基本的にまず警察に届け出る方が無難とのことです。


事件性の有る無しを判断するのは警察であって医師ではないという考え方がベースにあります。もちろん、医学的知識の無い警察がどこまで正確に判断できるのかは甚だ疑問です。


しかし、社会の風潮(?)がその方向に流れているので、医師としてはます警察に届け出て、事件性の判断を警察に仰ぐ方が無難とのことでした。


そして、警察が事件性有りと判断すれば司法解剖に、事件性が低いと判断すれば必要に応じて病理解剖を依頼するという流れが、現時点では最もリスクが低いそうです。


もちろん、これは病理医サイドの見解であり、医療訴訟に巻き込まれたくないという気持ちが透けて見えます。それでもこのあたりの流れは一般整形外科医も理解しておくべきでしょう。


勤務先(開業医なら自院)によって、地域で果たす役割・状況・患者層が大きく異なります。したがって突然死=異状死と捉えて、全例を警察に届出するのは現実的ではありません。


自分の勤務先に異状死の判断を任せられる医療事故委員会等があれば問題ないですが、基幹病院以外では常設の医療事故委員会等は機能していないことが殆どだと思います。


したがって、不幸にして突然死が発生した場合の異状死の判定基準や判定方法等を、その医療機関に応じて予めシュミレーションしておいて損はないと思いました。



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医療訴訟を回避するカルテ記載

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Medical Tribune 2014年1月30日号に興味深い記事がありました。
「THE 判例 訴訟リスクから見る日常診療の落とし穴/カルテ改ざんをめぐる裁判例」です。
以下、Medical Tribuneからの転載です。


-----------------------------------------------------------------------------

Q:次のうち,裁判例に照らして誤っているものはどれか。

① カルテ改ざんや成立の真正を立証するために,当該医療機関の他の患者のカルテの記載方式などを証拠とすることは許されない

② 後日,治療内容を整理して,学会報告などのための便に資するように記載するのであれば,断片的な記載はしないはずである

③ 診療録に記載がなければ,後日それが改変されたような事情がなければ,そのような事実はなかったと推認される

④ 1行に2行分の記載があれば怪しいとされる

-----------------------------------------------------------------------------


答えは①だそうです。


「同一人の記載による時期が近接したカルテにつき,基本的な記載ぶりの多くが大きく異なることは不自然で違和感を覚えざるをえない」という判決です。  


弁護医師の田邉先生は、「このような判決からは、カルテは誰にも読めないような、何語か分からないような文字で略語を多用するのが訴訟上はベストのようです」 とコメントされています。


冗談と受け取って良いのか、本心でおっしゃられているのか判断に苦しみます(笑)。ただ、最近は電子カルテが全盛なので、昔の様に読めないカルテは姿を消しつつありますが・・・


あと、③に関しても「カルテ記載の無い事項は、当該事実の不存在を事実上推定させる」とのことです。後日に争いのタネになりそうなポイントは積極的に記載しておくことが望ましいようです。


私は身体所見に問題が無い場合には、「バイタルサインは安定している」、「四肢の循環状態に問題なし」、「四肢・体幹の神経学的異常所見を認めない」等の表現を用いています。


このような広範囲をカバーする表現で、記載時点で問題が無かったという証拠固めを一網打尽に行っています。電子カルテならコピー&ペースト可能なので記載も苦痛ではありません。


「医師にとって診療上の必要性と法的義務の両面によって真実性が担保されているというべき」とのことで診療録は裁判上は信用力が高く、改ざんの立証責任は一般的に原告側にあります。


したがって、無用な医療訴訟に巻き込まれないためにも、せっかく診察・診断した内容はできるだけポイントを押さえて積極的にカルテ記載を行っていきたいものです。



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医療行為を文書で記録に残す重要性

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最近、以前勤務していた病院の医療訴訟で意見を求められる機会がありました。結果が思わしくなかったことが根底にありますが、医学的に不可抗力な案件にも関わらず訴訟になっています。


医学的には不可抗力な案件だったので、当初は争点がはっきりとしませんでした。そして話合いを進める中で、弁護士さんは病院にとって最も弱いところを検証していたようです。


そして、その最も弱いところが確定すると、そこに向けて医学的にはありえないようなロジックを持ち出して攻撃してきました。その最も脆弱なところとは、文書で証拠を残していない部分です。


傍から見ていると揚げ足取りの連続で、私の弁護士さんに対する見方が180度変わりました。裁判は証拠第一主義なので、文書での証拠が揃っていない部分が徹底的に叩かれます。


私が意見を述べた案件では、病院の診療体制が問題視されました。客観的に見て、そこに問題があったわけではなく、単に文書での証拠が乏しかったため狙い撃ちされたに過ぎません。


このことは、私達医師にとっても重要な示唆を与えています。つまり、いくら説明を尽くして誠心誠意を込めて治療にあたっても、文書での証拠が無ければスケープゴートにされるのです。


医療訴訟では適切な治療説明が行われたのかが争点になりがちです。医療内容は専門家でも適否の判断が難しいので、誰にでも分かりやすい適切な治療説明の有無が争点になるのです。


私は、下記の「説明と同意の原則」を、必ず手術説明書に記載しています。この文書は、
虎の門病院・小松先生の「医療崩壊」から“説明と同意についての原則”を引用させていただきました。



                      


             医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か



不幸にして訴訟に発展した場合でもこの文章が手術説明書に記載されていると、適切な治療説明の有無が争点になる可能性が低くなります。何名かの病院顧問弁護士にも確認済みです。


もちろん実際にしっかりと丁寧に治療説明を行い、また手術説明書自体がしっかり書かれていることが前提ですが、行ったことはきっちりと文書で残しておく必要があります。


私の運営する
ホームページから手術説明書の雛形をダウンロードできます。必要な方は、自分流にアレンジして使用してください。


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説明と同意についての原則


 多くの診療行為は、身体に対する侵襲を伴います。通常、診療行為による利益が侵襲の不利益を上回ります。しかし、医療は本質的に不確実です。過失がなくとも重大な合併症や事故が起こりえます。診療行為と無関係の病気や加齢に伴う症状が、診療行為の前後に発症することもあります。

 合併症や偶発症が起これば、もちろん治療に最善を尽くしますが、死に至ることもあり得ます。予想される合併症については説明します。しかし、きわめてまれなものや、予想外のものもあり、すべての可能性を言い尽くすことはできません。こうした医療の不確実性は、人間の生命の複雑性と有限性、および、各個人の多様性に由来するものであり、低減させることは出来ても消滅させることは出来ません。

 過失による身体障害があれば病院側に賠償責任が生じます。しかし、過失を伴わない合併症、偶発症に賠償責任は生じません。

 こうした危険があることを承知したうえで同意書に署名してください。疑問があるときは納得出来るまで質問してください。納得出来ない場合には、無理に結論を出さずに、他の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くことをお勧めします。必要な資料は提供します。






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手術説明における「説明と同意の原則」

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手術説明は非常に重要です。
患者さんや家族にどのような目的でどのような手術を行うかを理解していただくことはもちろんですが、不幸な結果になって訴訟に発展した場合にも重要な証拠となります。


医療過誤の訴訟では、適切な手術説明が行われなかったことが争点になることが多いようです。医療内容そのものは医療の専門家でも適否の判断がとても難しいです。しかし適切な手術説明の有無なら、誰にでも分かりやすいため争点になりやすいのです。


私の場合は、下記のごとくの「説明と同意の原則」を、必ず手術説明書に記載しています。この文書は、
虎の門病院・小松先生の「医療崩壊」から“説明と同意についての原則”を引用させていただきました。



                      


             医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か



不幸にして訴訟に発展した場合でもこの文章が手術説明書に記載されていると、適切な手術説明の有無が争点になる可能性が低くなります(もちろん手術説明書自体がしっかり書かれていることが前提になります)。何名かの顧問弁護士にも確認済みです。


私の運営する
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説明と同意についての原則


 多くの診療行為は、身体に対する侵襲を伴います。通常、診療行為による利益が侵襲の不利益を上回ります。しかし、医療は本質的に不確実です。過失がなくとも重大な合併症や事故が起こりえます。診療行為と無関係の病気や加齢に伴う症状が、診療行為の前後に発症することもあります。

 合併症や偶発症が起これば、もちろん治療に最善を尽くしますが、死に至ることもあり得ます。予想される合併症については説明します。しかし、きわめてまれなものや、予想外のものもあり、すべての可能性を言い尽くすことはできません。こうした医療の不確実性は、人間の生命の複雑性と有限性、および、各個人の多様性に由来するものであり、低減させることは出来ても消滅させることは出来ません。

 過失による身体障害があれば病院側に賠償責任が生じます。しかし、過失を伴わない合併症、偶発症に賠償責任は生じません。

 こうした危険があることを承知したうえで同意書に署名してください。疑問があるときは納得出来るまで質問してください。納得出来ない場合には、無理に結論を出さずに、他の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くことをお勧めします。必要な資料は提供します。


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