先日からT12胸椎圧迫骨折後偽関節の透析患者さんの治療をしています。
70歳台後半の小柄な方で、ADLが低下しています。


かなり痛いようで、NSAIDsでは十分に疼痛コントロールできていません。仕方ないのでトラムセットを導入しましたが、添付文書上では透析患者さんの用量は1錠に限定されています。


しかし、トラムセット1錠では十分な鎮痛効果を得ることができません。やむを得ず、デュロテップMTパッチ2.1mgを処方することにしました。


このデュロテップMTパッチはかなり強力な薬剤なので、血液透析中の小柄な高齢者に処方するのはなかなか勇気が要ります。


このようなケースでは副作用の発現率が高くなるので、せめて半量投与にしたいところです。しかし、添付文書上では本剤をハサミで切ってはいけないと記載されています。



キャプチャ



勤務先の薬剤師さんが、これを解決するウマい方法を思いつきました。デュロテップMTパッチは、上図のような断面です。ライナーは中央部で波状になっており、半分ずつ剥がせます。


ライナーの半分だけ剥がして貼付することで、皮膚への接触面積は通常の半分になります。本来ならハサミで切りたいところですが、添付文書に記載されているので苦肉の策です。


半分だけ皮膚に貼付している状態では、ライナー部分が引っかかって剥がれやすくなります。そのときには、紙テープ等でデュロテップMTパッチを上から補強してやるとよいでしょう。


2.1mgでは、日本人には少し用量が大きくて使いにくいです。メーカーのヤンセンファーマが、このあたりの対応法をもう少し考えてくれると、実臨床では使いやすくなると思います。




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