昨日は出張先での外来でした。
相変わらず連休明けの火曜日は激混みしており、新患患者さんだけで40名近く診察しました。
さて、多忙な外来も終盤に近づいた頃、常勤の年配のドクターがひょっこりやって来ました。先週入院させた化膿性脊椎炎の患者さんの経過報告に来られたのです。
この患者さんは、7月から腰痛が出現した30歳台の健康な方です。腰痛が続くため他のドクターがMRIをオーダーされたのですが、技師さんが化膿性脊椎炎に気付いて私がキャッチされたのです。
血液生化学データではWBCは正常範囲内でCRP/ESRは軽度上昇していました。MRIではL1-3の椎体がFat Suppressionで高輝度になっていましたが、腸腰筋の腫大や輝度変化を認めませんでした。また、椎間板の輝度変化もさほどではありませんでした。
通常、化膿性椎間板炎から化膿性脊椎炎に至るのでなんとなく違和感を感じる画像所見でしたが、臨床的には化膿性脊椎炎で間違いなかったので常勤医に引き継ぎました。血液培養でグラム陽性菌が検出されたそうです。
去り際に、「そういえば7月の初診の段階で単純X線の正面像で腸腰筋陰影が腫大していたから、化膿性脊椎炎の自然治癒の過程だったのだろうな」とおっしゃられました。
「!」と思ってその方の画像を確認すると、確かに7月の初診の単純X線正面像で右側の腸腰筋陰影が腫大して腰椎横突起のラインを越えていました・・・。
最近はすぐにMRIを撮像できるという慢心があるので、昔のドクターのように腰椎の単純X線像を読み込むことが少なくなっているのかもしれません。初心に戻って、単純X線正面像の腸腰筋陰影にも注意が必要だなと思いました。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です
整形外科研修ノート (研修ノートシリーズ)
単純X線像
今日の午前は外来でした。
7週間前に橈骨遠位端若木骨折を受傷した11歳の小学生を治療しています。
本日までギプスシーネ固定していました。単純X線像正面像では角状変形は無いのですが、側面像では約20度の角状変形を生じていました。
一般的に小児の場合は、正面・側面とも20度の転位まではremodlingが期待できると言われています。しかし、それ以上の転位を併発した場合には、再度の整復が必要となります。
微妙な角度なのですがワンプレーンのみなので、このままremodlingを期待して経過観察することにしました。後追いで単純X線像を確認すると受傷後1週の時点で転倒しており、その際に少し転位が増悪したようです。
手関節や前腕の側面像では橈骨と尺骨が重なるため、20度程度の角状変形は目立たないケースがあることに気付きました。橈骨骨幹部を見ていたつもりが尺骨骨幹部だったのです・・・。
意外な(?)落とし穴だと感じたので、心のメモ帳にしっかりと記憶を焼け付けました。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断
アクセスカウンター
- 今日:
- 昨日:
- 累計:
管理人によるケアネット連載コラム
管理人による m3.com 連載コラム
管理人による幻冬舎ゴールドオンライン連載
人気記事
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
カテゴリ別アーカイブ
QRコード
お気に入りリンク集
記事検索
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。
利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。
当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。