整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

圧迫骨折

脊椎圧迫骨折後にお腹がすぐに膨れる原因は?

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先日、外来で脊椎圧迫骨折のフォローをしている患者さんから、最近すぐにお腹が膨れてあまりご飯を食べられなくなったという訴えがありました。


この患者さんは、骨粗鬆症が高度のためにいくつかの脊椎に圧迫骨折を併発しています。見た目にも円背であり、脊椎アライメントは著明な後弯変形しています。


今回のように脊椎圧迫骨折のためにアライメントが変わってしまった患者さんには、逆流性食道炎や失禁などを併発することがあります。


円背のために腹腔容積が減少します。
腹腔容積が減少すると、腹圧が高まって逆流性食道炎を併発し、膀胱内圧が高まるために失禁を併発します。



一方、腹腔容積が減少することで胃の容積も減少するため、今回の症例のように以前と比べてお腹が膨れて食事量が落ちるということも併発します。


もちろん、食道や消化管の通過障害の存在を除外診断する必要はありますが、そのような障害が存在しない場合には、円背のために食事の摂取量が落ちたことになります。


私たちは脊柱アライメントや椎体変形そのものに目が行きがちですが、それ以外にも各種の腹部症状を併発しうることを知っておくべきでしょう。







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自治医科大学准教授の星地先生の経験・知識を余すところなく収めたサブテキストです。定番と言われている教科書に記載されている内容は素直に信じてしまいがちですが、実臨床との”ズレ”を感じることがときどきあります。このような臨床家として感じる、「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」「ツボは何なのか」を自らの経験に基づいて完結に述べられています。








                        

圧迫骨折後のGERD

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先日、外来で脊椎圧迫骨折のフォローをしている患者さんから、最近胸焼けがするという訴えをききました。


この患者さんは、骨粗鬆症が高度のためにいくつかの脊椎に圧迫骨折を併発しています。見た目にも円背なのですが、脊椎アライメントは明らかに正常ではありません。


このような脊椎圧迫骨折のためにアライメントが変わってしまった患者さんには、ときどき腹部症状が出ることがあります。


代表的なものは、逆流性食道炎と失禁です。逆流性食道炎は円背のために腹腔容積が減少して腹圧が高まりまるために併発します。


一方、失禁に関しては腹腔容積が減少して膀胱内圧が高まるために併発します。いずれも対症療法となるので、脊椎アライメントを壊さないようにすることが重要なのでしょう。


円背そのものを治療する手段は無いので、逆流性食道炎の治療は、酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)、またはヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)投与です。


PPIやH2ブロッカー投与以外にも生活習慣の改善が推奨がされています。生活習慣の改善項目は下記のごとくです。


  1.  脂っこいものや刺激の強いものを摂りすぎない
  2.  食べ過ぎに注意する
  3.  食べてすぐに横にならない
  4.  寝るときに少し上半身を高くして寝る
  5.  お腹をしめつけない姿勢を心掛ける
  6.  禁煙する


しかし、薬物療法や生活習慣の改善を行っても、円背のため逆流性食道炎の完治は難しいです。やはり円背を作らないことが重要で、骨粗鬆症の治療の必要性を改めて感じました。








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ギャッチアップ腰椎側面像が有用!!

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先日、2019年JOAで少しお利口さんになったことをご報告しました。日整会から帰って以来、憑りつかれたように座位と臥位の腰椎側面像を撮りまくっています(笑)。


さて、脊椎圧迫骨折の症例では座位で撮影することはかなりの苦痛を伴います。これに対する解決法として、北の整形外科医先生から下記のようなコメントをいただきました。



ギャッチアップできるストレッチャーに乗せて、出来る限りギャッジアップさせて撮影してもらっています



なるほど、これは素晴らしい工夫です! 全国には凄い臨床家がたくさんいらっしゃることにいつも驚かされます。


さて、座位と臥位の腰椎側面像の比較はかなり感度が高く、MRIを撮像するまでもなくザクザクと新鮮脊椎圧迫骨折がみつかります。これは便利ですね!



臥位 - コピー



上記などは第12胸椎が楔状変形しており、陳旧性ではなく新鮮圧迫骨折ではないかと睨んでいました。ところが、座位(ギャッチアップ)の腰椎側面像を撮影すると・・・



座位 - コピー



第2腰椎圧迫骨折だったんですね。う~ん、奥が深い...。狙っていた椎体以外の骨折を見つけるとは思っていませんでした。



いずれにせよ、臥位と座位(ギャッチアップ)で撮影した単純X線の腰椎側面像比較は極めて有用であることを確信しました。







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豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です








伝家の宝刀! エキスパートオピニオン

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昨日の話題は、2019 JOAで拝聴した鳥取大学の荻野浩先生の『骨粗鬆症性椎体骨折の治療  診療マニュアル作成の試み』でした。


荻野先生は骨粗鬆症性椎体骨折では、体位を変えた単純X線の側面像が重要であることを強調されており、実臨床でも非常に有用であると感じています。


ところが、講演の本題である『骨粗鬆症性椎体骨折の治療 診療マニュアル』に関しては、少しいただけないところがあるように感じました。


その理由は、今回は診療マニュアルであって診療ガイドラインではないことが端的に示しています。まず、本診療マニュアルは基本的にはエビデンスベース(のはず)です。


たくさんの論文をベースに、CQに対して下記のような回答がなされていました。

  • 骨粗鬆症性椎体骨折の治療では外固定の種類と治療成績に有意差は無い
  • 骨粗鬆症性椎体骨折の治療では外固定の有無と治療成績に有意差は無い
  • 骨粗鬆症性椎体骨折の治療では受傷後の安静期間と治療成績に有意差は無い


いずれもドキッとするようなことばかりが並んでいます。それなら、今まで私たちがやってきた治療は一体何だったのでしょう???


少しブルーな気分で講演を拝聴していると、最後のまとめで「骨粗鬆症性椎体骨折の治療では12週程度の外固定が望ましい」と結ばれていました...。


う~ん、全く意味が分かりません。講演で聞き逃した点があったのか? それとも私の理解力が極端に低下している(=バカ)なのか???



ところが、質疑応答でフロアから、エビデンスと推奨部分が乖離しているとの指摘がありました。よかった~、疑問に思っていたのは私だけではなかった(笑)。


荻野先生曰く、エビデンスといっても十分な数が無いので鵜呑みにすることはできない。おまけに、エビデンス(?)ベースでは従来の整形外科診療の全否定につながりかねません。


これらの整合性を合わせるために「エキスパート・オピニオン」として無理矢理(?)従来の治療体系との整合性を設けたようです。


エキスパート・オピニオン...なかなか便利な言葉です。エビデンス否定になりますが、十分量のエビデンスの無い状況では現場を混乱させないための必要悪なのかもしれません。





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新鮮圧迫骨折の診断は臥位・座位の比較で!

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2019年JOAでもお座りの刑を耐え忍んできましたが、その甲斐あって少しお利口さんになりました。下記にその成果(?)をお伝えします。


2019.5.11のランチョンセミナーで、鳥取大学の荻野浩先生の『骨粗鬆症性椎体骨折の治療  診療マニュアル作成の試み』を拝聴しました。


荻野先生は骨粗鬆症性椎体骨折では、体位を変えた単純X線の側面像が重要であることを強調されていました。MRIに頼りがちな私には新鮮な言葉でした。


そこで、本日救急で運ばれてきた腰痛患者さんの単純X線像で実践してみました。最初は臥位で撮影したのですがイマイチ骨折の存在に自信を持てません。



臥位 - コピー




しかし、座位での側面像を確認すると、明らかに第12胸椎椎体が圧壊しています! これは新鮮骨折に間違いありません。



座位 - コピー




患者さんが座位での撮影でかなり痛がっていたことは難点ですが、これを除くと座位での単純X線側面像は有用であることを確認しました。





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