高齢化に伴い、ASOや糖尿病の患者さんに併発する下肢壊疽が増加しています。
特に昔は、「喫煙」が今と違って社会的に受容されていたことも一因だと思います。
下肢壊疽を発症する方の多くは20本以上/日 × 数十年間という方であり、
このような方々はCOPDも併発しているので、条件が非常に厳しいことが多いです。
壊疽は足趾から発症するケースが多いですが、足趾の壊疽だからといって安易に足趾切断術を施行してしまうと、創が治癒しないためより中枢での再切断術を余儀なくされることがあります。
私の感覚では壊疽に対して手術を施行すると、創が治癒しないために連鎖的に中枢方向に向けて再切断術を施行せざるを得ない傾向にあると思うのです。
このため、私は切断術施行に対しては非常に慎重になります。壊疽部に感染を併発しておらずミイラ化しているようなケースでは、できるだけ手をつけない方針にしているのです。
そして、切断高位も非常に悩ましいと思います。あまりに壊疽部に近いと創が治癒しないのですが、中枢過ぎるとオーバーインディケーションの誹りを受ける可能性があります。
患者さんの状況によりますが、私は下記のようなアルゴリズムにしたがって切断高位を決定しています。膝窩動脈が閉塞しているか否かで判断しており、皮膚温は参考程度に留めています。
足趾壊疽
膝窩動脈を触知 → 足部切断
膝窩動脈を触知せず → 下腿切断
足部壊疽
膝窩動脈を触知 → 下腿切断
膝窩動脈を触知せず → 大腿切断
少し、オーバーインディケーションかも知れませんが、切断高位で迷ったらできるだけ中枢での切断を心掛けています。ASOベースの場合には義肢での歩行よりも創治癒が最優先ですから。
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壊疽
昨日は午後から下腿壊疽に対して大腿切断術を施行しました。
今回の方もいつものようにASOが基礎疾患としてあります。
肺炎を繰り返しており、もともと全身状態があまり良くないことに加えて、足趾を中心に急速にカビが生えてきたこともあって今回の大腿切断術となりました。
このように壊疽部に感染を併発して浸軟している場合には、いくら術前にブラッシング等を併用した消毒を行っても、感染予防の観点からはほとんど意味がありません。
私は病棟からのガーゼやパットで壊疽部を覆ったまま、直接ドレーピングを何重にも行います。ドレーピングすることで壊疽部から術野への細菌の拡散を防ぐことができます。
ただし、今回はイソジンドレープを使用しているので、術前のイソジンによる消毒の際にドレープ上のどこまで消毒したのかが判別しにくい欠点があります。
私の勤務する病院で採用されている透明のドレープはサイズがやや小さいため、今回のような下腿全体の壊疽の症例ではイソジンドレープを使用せざるを得ません。
そのあたりを差し引いても壊疽部をガーゼごとドレーピングして、ドレープごと消毒することで大幅に感染リスクを低下させることができると思います。
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