整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

変形性膝関節症

変形性膝関節症の薬物治療戦略

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Monthly Book Orthopaedicsの5月号は、整形外科医が知っておきたい薬の知識 -私はこう使う- です。


手術治療と異なり、保存治療は一人で行うため独善的になりがちです。私はこのような落とし穴に陥らないために、可能な限りいろいろな知識を吸収するように心掛けています。


さて、今回は変形性膝関節症の治療をまとめました。OAの痛みを制するには、関節軟骨に感覚神経は存在せず、軟骨以外の組織由来の痛みであることを理解することが重要です。



【急性期】
  • 滑膜炎 → NSAIDs、ヒアルロン酸製剤の関節注射
  • 骨髄浮腫 → ゾレドロン酸(リクラスト)、足底板などによる荷重負荷軽減


【慢性期】
  • 中枢性感作 → 中枢性鎮痛薬(デュロキセチン、トラマドール)



デュロキセチン(サインバルタ)は少し使いにくい薬剤ではありますが、プロスポーツ選手では愛用者も多いそうです。


私の外来ではNSAIDs、ヒアルロン酸、トラマドールに偏りがちですが、急性期・慢性期の3つの原因のどれによる痛みなのかを判断して治療する方式に変更しようと思いました。







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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








BMLは変形性膝関節症の増悪因子

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変形性膝関節症は、単純X線像で診断されることが多い疾患ですが、 MRIの普及によってbone marrow lesion (BML)と呼ばれる病態が明らかになりました。



775 - コピー



BMLは、MRIにおいて骨髄内の T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号をきたす信号変化です。BMLは、骨粗鬆症と変形性膝関節症との関連で注目されています。


膝関節は、変形性関節症が進行する過程で、ごく小さな骨壊死が頻回に発生していると言われています。この過程は、股関節の大腿骨頭壊死症とは大きく異なります。


最近では、膝関節骨壊死症は、軟骨下骨挫傷によって二次性に発生する骨壊死である可能性が高いと考えられています。つまり、この骨壊死がMRIで軟骨下骨に認められる BMLです。


BMLは軟骨下骨の骨挫傷なので、骨粗鬆症が進行すると併発するリスクが増加します。このため、変形性膝関節症の進展を予防するためにも、骨粗鬆症の治療が重要となります。


私は、変形性膝関節症と骨粗鬆症は関係の無い病態だと考えていましたが、BMLのことを考慮すると、変形性膝関節症の患者さんには積極的に骨粗鬆症の治療も行おうと思いました。






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変形性膝関節症にステロイド注射の意義なし?

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先日、日経メディカルに興味深い記事がありました。
変形性膝関節症にステロイド注射の意義なし です。




JAMA Intern Med誌から
変形性膝関節症にステロイド注射の意義なし
運動療法のみで疼痛やQOLは改善、生食注射との比較試験で判明


変形性膝関節症の患者に対し、運動療法の実施前にステロイドの関節内投与を行うことで、炎症や疼痛を和らげ、運動療法時の苦痛を減らす──。運動療法との相乗効果が得られると考えられてきた治療だが、実は意義がないかもしれないことが、デンマークで行われたプラセボ対照ランダム化比較試験から分かった。プラセボとして生理食塩水を関節内に注射した患者との比較で、12週間の運動療法後の痛みや運動機能には、全く差がなかったという。デンマークCopenhagen 大学のMarius Henriksen氏らが、JAMA Internal Medicine誌電子版へ2015年3月30日に報告した。  


関節炎の中では最も多く見られる変形性膝関節症は、痛みと障害を引き起こす。運動療法は疼痛の軽減と、機能とQOLの向上をもたらすことが示されている。一方で、痛みと炎症を軽減するための薬物療法としてはステロイド関節内注射が推奨されており、運動療法との併用が好ましいとされるが、併用により相乗効果が得られるかどうかは明らかではなかった。  


著者らは、運動療法開始前の変形性膝関節症患者にステロイド関節内注射を行う試みの利益を評価するために、二重盲検のランダム化試験を、変形性関節症外来で2012年10月1日から2014年4月2日まで実施した。  


試験には、X線画像により臨床的な変形性膝関節症であることが確認され、膝に炎症があることを示す症状が認められ、歩行時に膝に痛みがあり(0-10までのスコアで表すと4を超える疼痛)、BMIは35以下で、40歳以上の患者100人を登録。ランダムに1対1で、関節内にリドカイン塩酸塩に溶解したメチルプレドニゾロン酢酸エステルを1mL(メチルプレドニゾロン酢酸塩を40mg含む)注入するステロイド群と、生理食塩水を1mL注入するプラセボ群に割り付けて、超音波ガイド下で痛みの強い方の膝に注射した。注射の2週間後、理学療法士の指導下で、全ての患者が週3回12週間の個別化運動プログラムを実施した。  


主要評価項目は、試験参加時(ベースライン)から14週後(運動療法終了時)の疼痛スコアの変化。疼痛スコアとしては、膝損傷・変形性関節症アウトカムスコア(KOOS、スコアは0-100ポイントの範囲で、高スコアほど転帰が良好)の疼痛サブスケールのスコアを用いた。  


副次的評価指標は、(1)疼痛以外のKOOSサブスケール(症状、日常生活機能、運動とリクレーションの機能、膝関連QOL)のスコアの変化、(2)身体機能と炎症の客観的な評価(30秒間スクワット回数、痛み無しにできたスクワット回数、スクワット中の疼痛強度、四頭筋と膝窩筋の筋力、6分間歩行距離、空腹時血漿中のインターロイキン6濃度、造影前と造影後のMRI画像に基づく滲出と滑膜炎の状態)──などに設定した。転帰はベースラインと2週間後(運動療法開始時点)、14週後(運動療法終了時点)、26週後に評価した。分析はintention-to-treatで行った。  


試験に登録された100人(平均年齢は63.4歳、女性が61%)は、50人がステロイド群に、50人がプラセボ群に割り付けられた。試験を完了したのはそれぞれ45人と44人だった。  


その結果、14週時点の疼痛スコアの変化幅(平均値)は、ステロイド群が13.4ポイント(SEは1.8)、プラセボ群は14.8ポイント(SEは1.8)。差は1.2ポイント(95%信頼区間-3.8から6.2)で、有意な差とはならなかった(P=0.64)。  


日常生活機能やQOL、スクワット回数やスクワット中の痛みなど全ての副次的評価指標に関する比較も行ったが、注射から2週間後、運動療法終了後、半年後という3つの時点では、どの項目も有意差を示さなかった。結論として、運動療法開始前に、疼痛のある膝に40mgのコルチコステロイドを関節内投与しても、2週間後から運動療法を実施する場合は相乗効果は見られないことが明らかになった。  


原題は「Evaluation of the Benefit of Corticosteroid Injection Before Exercise Therapy in Patients With Osteoarthritis of the Knee: A Randomized Clinical Trial」、概要は、JAMA Intern Med誌のWebサイトで閲覧できる。






「変形性膝関節症にステロイド注射の意義なし 」という言葉に反応して拝読しましたが、なんだそりゃ? という感想でした。どうも訳者が医療知識に関しては素人のようです。


てっきり、ステロイド注射で急性期膝関節炎が軽快しないという研究結果か? と驚いたのですが、どうも運動療法の前処置としてステロイド関注が施行されているようです。


日本では、変形性膝関節症の患者に対して運動療法の実施前にステロイドの関節内投与を予防的に行うことは考えにくいです。


デンマーク(欧米?)ではこんなバカげた治療が一般的なのでしょうか? まぁ、「関節水腫をきたしている急性期の膝関節炎に対する抗炎症作用が実は無かった」ではなくて良かったです。


整形外科医師的には刺激的なタイトルの記事でしたが、実は訳者でさえも意図していなかった単なる「釣り記事」だったというオチです。



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変形性膝関節症のkellgren-lawrence 分類

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今日の午前は外来でした。先日、酔っ払って電車の中にかばんを忘れたため手帳を失くしてしまいました。いい歳してバカですね(笑)。


その手帳の中に、変形性膝関節症のkellgren-lawrence 分類(kellgren-lawrence grading system)の写真入りスケールを挟んでいたのですが、これも一緒に失くしてしまいました。


各グレードの定義を覚えればよいだけの話ですが、モノグサなのでいつも各グレードのモデル写真を見て分類していました。したがって手帳を失くすと困った状況になるのです。


もちろん、kellgren-lawrence 分類はグレードの判定が主観的でかつ曖昧になる上、単純X線前後像は立位・荷重時ではなく仰臥位なので、荷重時のFTAを重視する手術では役に立ちません。しかし、少なくとも日本においては広く使用されている分類なので、基本的には使用せざるえないと思います。


そこで、kellgren-lawrence 分類の適当な写真を探しているのですが、意外と無いんです。ようやく使えそうな画質の写真を発見したので下記に掲載しておきます。



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どなたか、適当なデータをお持ちでないでしょうか?





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