大腿骨頚部骨折のGarden stage 1 や stage 2の症例は、一般的にはCCSやハンソンピンを用いた関節内骨折観血的手術が選択されます。
しかし、術後3ヵ月の時点で MRI を撮像すると、残念ながら外傷性大腿骨頭壊死症を併発していることがあります。
Type C1以上であれば大腿骨頭関節面が圧壊する危険性が高いのですが、すぐに圧壊するわけではなく、何年も大腿骨頭が圧壊せずに無症状で経過する症例も多いです。
このような症例では内固定材料をどうするのかがひとつのポイントになります。Type C1では10年間で50%以上圧壊すると言われています。
内固定材料が長期間にわたって大腿骨の荷重部分にあるのも気持ちが悪いです。このため内固定材料を抜去したい誘惑に駆られます。
しかし、大腿骨頭壊死症を併発している症例の内固定材料を抜去すると、急速に大腿骨頭の圧壊が進行することがあります。
その理由は、壊死骨の支柱になっている内固定材料を抜去してしまうと、壊死骨内の荷重伝達環境が変わってしまって急速に大腿骨頭の圧壊が進行するものと思われます。
そのような理由から、大腿骨頭壊死症を併発している症例に関しては、内固定材料は抜去しない方が良いかもしれません。
もちろん、大腿骨頭の圧潰が進行して内固定材料が荷重面を穿破する危険性もあるので、慎重に経過観察する必要はあります。
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