整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

外傷性頚部症候群

ムチ打ちは不意打ちでなくても起こる

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先日、追突事故による 外傷性頚部症候群の患者さんが初診されました。外傷性頚部症候群では、不意打ちを食らった場合に筋性防御が働かずに頚椎に炎症を起こすという理解です。



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しかし、今回の方はバックミラーで後方から自動車が突っ込んで来るのをずっと見ていたそうです。このため衝突の瞬間もしっかり身構えていました。


それでもかなりの症状が残っていました。
私は今まで、バックミラーで自動車が追突するのを分かっている状況では、外傷性頚部症候群はあまり発症しないと思っていました。


今回の事故の規模は比較的大きく、乗車していた自動車は全損となりエアバッグも作動したようです。このため一般的な軽微な追突事故には該当しないかもしれません。



しかし、バックミラーで他車が衝突してくるのが見えていた患者さんは時々いますが、これらの患者さんの症状が「軽い」わけではないことを思い出しました。


不意打ちを食らったのではなく事故を予見して身構えていた場合であっても、外傷性頚部症候群は起こりうるということを改めて認識しました。






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頚椎症を発症した交通事故患者の対応

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今日の午前は出張先での外来でした。
2週連続の連休明けの外来だったので、殺人的に混みあっている外来でした・・・。


連休があると交通事故も増えます。2週間前に受傷された方が、3日前から後頚部から右肩にかけての痛みを主訴に再診されました。診察の結果、加齢による頚椎症性神経根症でした。


原因が加齢なので、基本的には損害保険会社は支払いを拒否します。発症の時期が微妙なのが紛らわしい原因なのですが、本日に関しては交通事故扱いで処理することにしました。


その処理の仕方は、”外傷性頚部症候群疑い”で精査した結果、原因は頚椎の加齢による変化であったという論法です。これなら損害保険会社としても反論できないと思いますし、考え方としても筋が通っていると思います。


患者さんの立場からも被害者という意識があるため、診断の段階で健康保険扱いにするとかなり不満が残ってしまいます。そこで折衷案として、”外傷性頚部症候群疑い”で精査するのです。


注意点は”外傷性頚部症候群疑い”の病名は即日”中止”にしておくことです。そして患者さんに本日は診断の段階なので損害保険会社の費用だが、症状の原因は加齢なので今後の治療は自分の健康保険を使用することになると説明しておきます。


このような配慮を行うことで、要らぬトラブルを未然に防ぐことが可能になります。整形外科医にとって、交通事故や労災事故はできれば関わりたくない案件ですが完全に回避することは不可能です。


したがって、未然にトラブルの種をひとつひとつ潰しておくことが、お互いが不幸にならないための重要なポイントかなと思っています。




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物理療法って必要でしょうか?

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外来をしていると交通事故後の患者さんに対して、物理療法(物療)を処方せざる得ない場合があります。医師サイドから物療を積極的に勧めるケースはほぼ無いと思いますが、患者さんの強い希望で仕方なしに処方することが多いです。


物理療法とは物理的な方法で治療を行う理学療法の一種で、温熱療法、電気療法、牽引療法、マッサージ療法などの総称です。医師会の標準治療ガイドラインでも効果の有無が疑問視されているように、単独での治療効果は望めません。関節可動域訓練前に温熱療法を併用する等の補助的な位置付けだと思います。


患者さんが物療を強く希望される背景には、何の医学的なエビデンスも無いにも関わらずに漫然と慢性疼痛患者さんに物療を続けている接骨院(整骨院)の存在が、疼痛=物療という短絡的な思い込みを一般的の方に植えつけてしまっていることがあると思います。


また、自賠責や任意保険では外来受診回数の多さが示談金の額に影響を及ぼすため、受診回数を稼ぐための道具として物療が利用されている一面も見逃せません。外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)で特に多い印象です。


医療機関サイドからみれば、物療は何をしても一日35点(=350円)しか請求できないので、人件費や設備費を賄えないお荷物となっているのが現状です。例えば、頚椎牽引のみでも35点ですし、頚椎牽引+腰椎牽引+ホットパックでも35点です。集患のための客寄せパンダとして維持している施設が多いようです。


患者さんからの要望に屈して物療を処方するときに、心のどこかに小さなトゲが刺さるような感覚を覚えるのは私だけでしょうか?







脊椎由来の疼痛に対する治療法 その2

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脊椎由来の疼痛に対する治療法 その1 のつづきです。


外傷性頚部症候群の場合、消炎鎮痛剤を処方することで外来に居つかれては困るという心理が働くのでしょうが、意外と消炎鎮痛剤が処方されていないことが多いように思います。急性腰痛症にたいしては消炎鎮痛剤が処方されるケースが多いだけに、この対応に違いは興味深いです。


慢性腰痛症にたいしては、まずロキソニンを処方して消炎鎮痛剤に反応するかを確認します。反応する場合は、次の1週間はモービックを処方してみます。ここでも鎮痛効果があるようなら、更に4週間分処方します。


服用方法は、就寝中や起床時の痛みであれば夕食後に服用、午後からの痛みであれば昼食後に服用といったかんじです。1ヵ月服用するとかなり痛みが軽減する方が多いです。診察予約は6週間後にいれておき、服用終了して2週間の間に痛みが再燃したかを確認します。


その3 につづく

脊椎由来の疼痛に対する治療法 その1

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やはり、整形外科の外来では腰痛・膝関節部痛・頚部痛・肩関節痛の方が圧倒的に多いです。


このうち関節由来の膝と肩は関節腔内注射を中心に治療していくので、効果が劇的にあることが多いです。しかし、脊椎由来の痛みに関しては関節由来ほどには効果的な治療法が無いのが現状です。


17年間、いろいろな方法を試してみましたが、最近では基本に戻って鎮痛剤が結構効果的かなと感じています。複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)の考え方に準じて治療を行おうしていたら、早期からの積極的な消炎鎮痛剤投与に行き着いたのです。ちなみにCRPSとは、1996年に国際疼痛学会がRSDから名称を変更したものです。


CRPSでは痛みのループができてしまって疼痛が慢性化するのですが、程度の差こそあれ誰でもこのような傾向はあるといわれています。つまり急性腰痛症や外傷性頚部症候群(いわゆる交通事故のむちうち)に対して、早期から積極的に消炎鎮痛剤を投与すると、局所の疼痛誘発物質が洗い流されて疼痛が慢性化しにくくなるという理屈です。


その2 につづく

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