整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

外固定

橈骨遠位端骨折治療の落とし穴

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少し前に橈骨遠位端骨折に対して、ロッキングプレートによる骨折観血的手術を施行しました。橈骨のアライメントは良好で、解剖学的整復はバッチリです。


しかし、同時に併発していたTFCC損傷による症状が残存した症例を経験してしまいました。そこで、いくつかのTFCC関連の文献に当たってみたところ、下記が優れていると思いました。



TFCCと尺骨骨折に対する処置 JMIOS No.52 53-61 2009



ロッキングプレートの使用によって、高率に橈骨遠位端骨折の解剖学的整復が可能になり、強固な固定下での早期運動療法が可能となりました。


一方、早期運動療法のために、尺側部損傷には保存治療が行われなくなりました。尺側部損傷の主体はDRUJに関する損傷です。特にDRUJの不安定性があると尺側痛が残存します。


慢性期の手関節尺側部傷害の手術例は、50歳台以前の若年者に限局しています。このことから若年者では、観血的手術後のDRUJ不安定性によって下記期間の外固定が推奨されています。



  • DRUJの不安定性あるが亜脱臼しない(尺骨茎状突起骨折の転位なし): 3週間
  • DRUJが亜脱臼する(尺骨茎状突起骨折の転位が大きい、TFCC完全断裂): 6週間



私の経験でも、高齢者の尺側部痛は問題にならないことが多いですが、若年・壮年層では治療に難渋するケースを散見します。


これらの方には、敢えて手関節に対する早期運動療法を控えて、術後は良肢位での外固定を検討するべきかもしれません。






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痛みは骨折部ストレスのセンサー

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外来をしていると、足部骨折の患者さんを治療する機会が多いです。
主な骨折は、中足骨頚部骨折、中足骨基部骨折(リスフラン関節内骨折)、足趾骨骨折です。


第5中足骨基部骨折のみ例外ですが、私は上記骨折に対して基本的には外固定しない方針です。比較的安定している骨折が多く、外固定をしなくても骨折が転位することが少ないからです。


まだ若手の頃は、全例ギプスシーネ固定をしていた時期もありましたが、これがまた非常に評判が悪かったです(苦笑)。まず、靴を履けないので非常に生活がし辛いです。


足趾骨折に関しては、外固定というよりもモノが当たらないようにプロテクター的にアルフェンスシーネを施行することがありますが、 それでも早々に除去するようにしています。


私は、外固定を使用しない足部骨折では「痛くないように歩いて下さい」 と言うようにしています。具体的には踵部歩行を推奨しています。


患者さんが「痛い」と感じるのは、骨折部にストレスがかかっている証拠です。逆に痛くないのであれば骨折部にストレスがかかっていないという理屈です。



患者さんの感じる「痛み」 を骨折部にかかるストレスの「センサー」と認識することで、外固定無しでもトラブルなく治療できることが多い印象です。 





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膝関節MCL損傷の外固定の工夫

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先日、膝関節内側側副靭帯損傷(MCL)の患者さんを診察しました。
幸いMCLの単独損傷であったため外固定での保存治療となりました。


MCL損傷単独損傷では膝関節軽度屈曲位として大腿部から下腿遠位までのシーネ固定で十分です。しかし、実臨床において下肢シーネをしっかりと作成することは意外と難しいです。


大腿部をしっかり固定するためにはそれなりの幅のあるシーネを作成する必要があるのですが、成人の大腿部を十分に被覆できる幅の既製品のシーネが無いためです。


理想を言えば大腿周径の半分の幅のシーネが必要です。しかし、最も大型のシーネでも成人の大腿周径の1/3程度しか幅がありません。


このような場合、面倒なのですが私は下肢ギプスを巻くようにしています。一旦ギプスを巻いてから、その場でギプスをカットしてシャーレにします。


こうすることで成人の大腿であっても周径の半分の幅を確保できるため、十分な固定性のある下肢シーネを作成することが可能となります。


コストはギプスもシーネも同じ点数なので、患者さんの医療費負担は変わりません。私の手間は増えますが、既製品による中途半端な下肢シーネよりも数段治療効果が期待できます。


成人の膝関節内側側副靭帯損傷の治療は単純ですが、どうせ治療するのなら多少手間がかかってもギプスをカットしたシャーレで本格的な膝関節固定を心掛けたいものです。



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外科医の使用したソフトシーネは再利用しましょう!

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昨日の午前は外来でした。
月曜日の外来は、日曜日に救急受診した患者さんの対応に追われています。


私が勤めている病院は外科医が当直してくれているので、余程のことが無い限り休日を返上しなくてよいのがありがたいです。しかし、外科系の急患は圧倒的に整形外科関連が多いのも事実です。


橈骨遠位端骨折や足関節外側靭帯損傷の患者さんが多いので、基本的には外固定が必要となります。初診時からオルソグラスで固定できればベストなのですが、なかなかそこまで施行できる方は居ません。


そこで、ソフトシーネの出番となります。このシーネは簡単に曲げることができるため、他科の医師が整形外科患者さんの外固定を施行する場合には重宝されます。


しかし、固定性が不十分で本格的に治療するには役不足なので、整形外科医がこれを用いることはありません。つまり、ソフトシーネの寿命は救急での初診から整形外科医の診察までの極短時間のみです。


整形外科医の診察の時点で、新しいシーネ固定かギプス固定を施行されるので、使用済みのソフトシーネは破棄されます。しかし1~2日しか使用しておらず綺麗な状態のものが多いです。


おまけに外固定の点数もソフトシーネもしくはオルソグラス・ギプスのどちらかしか算定できません。つまり、ソフトシーネの材料代が病院の持ち出しになっているのです。


そこで、最近では使用済みのソフトシーネをまっすぐに直して、外科医が再利用できるようにしています。コスト削減と資源の再利用を兼ねた業務改善です。


これで思う存分、当直の外科医には救急で外固定を施行してもらえます(笑)。ただし、看護師さんにしっかり伝達しておかないと、知らない間に破棄されることが多々あります・・・。




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見逃されやすい下腿三頭筋の筋腱移行部損傷

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昨夜は当直でした。20歳台の男性がバトミントンで着地した際、下腿後面に激痛が出現したとのことで受診されました。


診察するとアキレス腱のレリーフが目視でも触診でも確認できますが、Thompson testは陽性でした。圧痛点はアキレス腱停止部から12cm程度中枢です。


部位から判断して下腿三頭筋の筋腱移行部損傷と診断しました。たまに診る機会がありますが、アキレス腱のレリーフがあることと、足底筋や足趾屈筋の力である程度は足関節底屈できるので注意が必要です。


部位が腓腹筋損傷と紛らわしいのですが、Thompson testが陽性なので鑑別可能です。治療は、アキレス腱断裂に準じたgravity positionでのギプス固定を行う必要があります。腓腹筋損傷と思って2-3週の外固定で終了すると著明な足関節底屈力の低下を残します。


病態的にはアキレス腱損傷なので、見逃すとかなりやっかいなことになります。したがって、私は腓腹筋損傷と思っても全例にThompson testを施行するようにしています。



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