今日の午前は出張先での外来でした。
連休明けなので休み中に救急受診された患者さんの残務処理が多かったです。
その中に母指伸筋腱損傷の方が居ました。この方はガラス片で母指基部を切創したのですが、当直の外科医が対応しました。カルテには伸筋腱も縫合したという記載がありました。
整形外科医が対応したのであれば、何の心配も無く外来フォローできます。しかし、外科ドクターだったのでどのような腱縫合を施行したのか少し不安になりました。
カルテにも「津下法やケスラー法で腱縫合した」という記載はもちろんありません・・・。一応、本日の時点では母指伸筋腱の緊張も保たれているようです。
もちろん、当直に来られていたアルバイトの外科ドクターに連絡を取ることを試みましたが、連休明けの極度に忙しい午前中に捕まるハズがありません。
いまさら創を開けて腱の状態を確認するわけにもいかないのでどうしようか少し悩ましたが、このまま母指伸展位固定で経過観察することにしました。
外来が終了してからこの対応で問題無かったかを振り返りましたが、やはりこれ以外の方法を思いつきませんでした。もし創を開けて腱縫合が問題無ければ、患者さんの不利益になりますから・・・。
経過の途中で再断裂してもその時点で気付けば、腱再縫合もしくは腱移行で充分に対応できます。このことも創を開けずに母指伸展位固定で経過観察することにした理由のひとつです。
外来をしているとイレギュラーなことが頻発します。このようなことは教科書には載っていないので、状況を見て柔軟に対応できるよう常に心掛けなければならないなと思いました。
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