昨日の午後は上腕骨近位端骨折に対する髄内釘でした。
単純X線像上、上腕骨頭が腱板に牽引されて骨幹部と全く連続性がありませんでした。
2 part骨折(外科頚骨折)の場合は、私は手技が簡単なので髄内釘を選択しています。しかし髄内釘の問題点として、エントリーポイントが外側の大結節寄りになりがちなことです。
髄内釘のエントリーポイントを至適にするためには、転位した上腕骨頭を整復する必要があります。私は2.4 K-wireを肩峰外側から上腕骨頭に2本刺入して、これをjoy-stickにして整復します。
まず、1本目の2.4 K-wireを肩峰下に沿ってできるだけ上腕骨頭内側に進めます。この際、どうしても肩峰の外側が邪魔になるのですが、ある程度仕方ありません。
1本目の2.4 K-wireをできるだけ上腕骨頭内側に刺入して、これをjoy-stickにして整復します。しかし1本では整復力が弱いので2本目を刺入して、更に強力に整復を行います。
2本のK-wireをjoy-stickにして思いっきり整復します。上腕骨頭を内転位に保ちながら、上腕骨頭の頂点からガイドワイヤーを刺入します。
K-wireで上腕骨頭を内転位に整復位を保っておかないと腱板に牽引されて外転転位してしまい、髄内釘のエントリーポイントがかなり大結節寄りになってしまいます。
髄内釘のエントリーポイントが大結節寄りになりすぎると、ネイル挿入時に骨折を併発したり、髄内釘の固定力が落ちるので注意が必要です。この手術で一番重要なポイントだと思います。
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