先日、大腿頚基部骨折の患者さんが入院しました。
下の画像のごとく、骨折部がかなり立っています。


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この骨折型では骨折部にすごい剪断力が加わるので骨接合術では成績不良になりそうです。大腿骨頚部/転子部骨折の診療ガイドラインを確認しましたが有用な記載はありません。


治療方針についてかなり悩みましたが、90歳オーバーと超高齢者であったことから人工骨頭置換術を選択することにしました。この場合に問題になるのはカルカーの状態です。


大腿骨頚基部骨折ではカルカーに
スパイク状の骨折線が及んでいる症例が多い印象を抱いています。スパイク下端が小転子高位まで及んでいると近位固定型ステムは厳しいです。



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CTの前額断を精査しましたが、カルカーにスパイク状の骨折はなさそうです。一方、3D-CTでは、骨頭側骨片の頚部が邪魔でカルカーの評価ができません。


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まぁ大丈夫だろうと判断して手術に臨みましたが、実際にはカルカーにスパイク状の骨折を認めました...。う~ん、CTの前額断では判断できないのでしょう。


一応、セメントステムも準備していたので事無きを得ましたが、大腿骨頚基部骨折の難しさを再認識しました。







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