整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

大腿骨頚部骨折

壊死併発の頚部骨折は抜釘するべき?


1年前のことですが、50歳台の患者さんが転倒して大腿骨頚部骨折を受傷しました。単純X線像ではGarden stage 3でしたが、若年だったのでハンソンピンで緊急手術を施行しました。


そして、術後3ヶ月後に股関節のMRIを撮像したところ、残念ながらtype C2の広範な大腿骨頭壊死を併発していました。受傷後5時間以内に手術を施行したのに残念です。


壊死を併発したのは仕方ないですが、内固定材を抜釘するべきか否かで迷っています。大腿骨頭壊死症でtype C2の場合、10年以内に50%程度の確率で大腿骨頭の圧潰を来たします。


今回の患者さんはやや大柄な男性なので、比較的早期に圧潰が発生することが予想されます。ただ、現時点では全く何の症状もありません。


下肢の骨折手術後の抜釘術は、術後1年前後で施行するケースが多いです。しかし、いずれ大腿骨頭が圧潰することが予想されるので、THAを施行する際に抜釘することも可能です。


また、現在挿入されている内固定材が、ある程度は壊死骨の支柱となっている可能性も否定はできません。抜釘によって大腿骨頭圧潰が発生すると患者さんとの信頼関係が損なわれます。


このようなことを検討した結果、現在大腿骨頭に挿入されている内固定材(ハンソンピン)は、抜釘せずにこのまま置いておくことにしました。


そして、将来的に大腿骨頭の圧潰を併発すればカットアウトするリスクがあるので、早々に抜釘術とTHAを施行する方針です。できれば長期間にわたって圧潰せずにもって欲しいものです。




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大腿骨転子部骨折後の頚部骨折


大腿骨転子部骨折術後の患者さんが、転倒後2週してから歩行不能となりました。
転倒後は痛いながらも歩行可能だったのですが、徐々に疼痛が増悪したとのことです。


頚部骨折 - コピー


少し分かりにくいですが、単純X線像では大腿骨頚部骨折を併発していました。この方は2年前に他院で大腿骨転子部骨折に対する骨接合術を受けています。


画像上は明らかに大腿骨頚部骨折なのですが、short nailが挿入されている状態で大腿骨頚部骨折を併発した患者さんは経験したことが無いので、2年前の画像を取り寄せました。


他院の画像と比較すると、やはり大腿骨頚部骨折を併発していました。おそらくGarden stage 1だった骨折が荷重歩行しているうちに圧潰して短縮したのだと思います。


大腿骨転子部骨折術後の人工骨頭置換術は結構難しいので気が重かったのですが、何とかセメントの人工骨頭を挿入して手術を終了しました。


大腿骨頭の割面を観察すると、骨折部よりも中枢側の大腿骨頭が虚血状態であることが分かります。大腿骨頭壊死症を併発しているので、放置しているとbrade先端が穿破するところでした。


割面 - コピー



大腿骨転子部骨折の受傷機転は大転子部への直達外力ですが、大腿骨頚部骨折は股関節への回旋力が受傷機転となることが多いです。


このため、大腿骨頭に1本しか挿入しないタイプのshort nailは、2本挿入するタイプと比べて、大腿骨頚部骨折を併発するリスクが少し高くなるのかもしれません。


いずれにせよ今回はかなり珍しい症例だと思いますが、short nailが挿入されていても大腿骨頚部骨折を併発することがあることを学びました。



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ラウエンシュタインでしか分らないことも!


先日、80歳台後半の方が大腿骨頚部骨折で入院されました。
転倒後から歩行不能となったとのことだったので、外来でまず単純X線像を依頼しました。


AP - コピー


LR - コピー




骨粗鬆症が高度だったので、単純X線像では骨折の有無がよく分りませんでした。このため、CTを施行して再構成してもらったところ、大腿骨頚部骨折であることが判明しました。


CT - コピー




CTの前額断ではカルカーに骨折が及んでいるものの、ほとんど転位を認めないため、
Garden stage 2の可能性が高いと判断しました。


念のため、側面でラウエンシュタイン像を追加依頼したところ、見事に腹側凸になって角状変形していました・・・。側面も含めて判断すると完全にGarden stage 3 です。



ラウエンシュタイン - コピー




改めて単純X線像の正面・側面像およびCTの再構成画像を見直しましたが、
少なくとも Garden stage 3 と分るような骨折部の転位は認めませんでした。


やはり、大腿骨頚部の病変に関しては、きっちりとラウエンシュタイン像を撮影して骨折の有無や転位の程度を評価するべきだと改めて認識しました。



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必ずしも110%の拡大率とは限らない!


今週は年末年始の外傷の手術でてんてこ舞いです。
複数の大腿骨頚部骨折の患者さんに対して人工骨頭置換術を施行しました。


普段なら入院時に、正確な110%の拡大率の単純X線像を撮影してもらいます。しかし今回は年末年始だったため、何名かは入院時の110%の拡大率の単純X線像が漏れていました。


さすがに、外科の当直の先生にそこまで要求するのはコクです。しかし、どんどん業務を進めて行く必要があるので、110%の拡大率の単純X線像を撮影する前にテンプレーティングしました。


年明けの業務開始後に110%の拡大率の単純X線像も撮影したのですが、インプラントを発注済みのため、私の中では110%の拡大率の単純X線像でテンプレーティング済みになっていました。


そして手術に臨んだのですが、どうも計測とラスプのサイズが合いません。う~ん と思っていると、ハタと110%の拡大率の単純X線像でテンプレーティングしていないことに気付きました。


スタッフに110%の拡大率の単純X線像でテンプレーティングしてもらうと、現在のラスプのサイズでした。普通に撮影した画像と110%の拡大率の画像では、かなりサイズが異なるようです。


これは、特に痩せている患者さんで顕著なのかもしれません。いくら忙しいとは言え、今後は気をつけなければならないなと思いました。



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新規入院が2名とも骨折+肺炎・・・


今日は正月明けの月曜日だったので大変でした。休み中に大腿骨頚部骨折の患者さんが2名入院していたのですが、両者とも38度台の熱発をしています。


血液生化学検査を施行したところ、両者ともWBC/CRP上昇していました。 これはあまり良くない検査結果だなぁと思い、胸部CTを施行したら肺炎を併発していました。


両者とも入院時から熱発していたので、、「大腿骨頚部骨折→肺炎」ではなく、「肺炎 → 大腿骨頚部骨折」というストーリーであった可能性が濃厚です。


つまり、肺炎を発症してしんどくなったために転倒して大腿骨頚部骨折を併発したということです。大腿骨近位部骨折では、このパターンが非常に多いため注意を要すると思います。


それにしても、やはり高齢者の熱発は要注意だと思いました。私は入院中の高齢者(>80歳)が37度台後半以上の熱発したら、すぐに血液生化学・尿検査と胸部単純X線像を施行します。


過剰医療の謗りを受けるかもしれませんが、私の経験上は80%以上の確率で治療を要する肺炎・尿路感染症・胆管系疾患等を併発していると感じています。高齢者の熱発は要注意ですね。



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