整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

大腿骨頚部骨折

50歳台の大腿骨頚部骨折はどうする?

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先日、50歳台前半の大腿骨頚部骨折がありました。Garden分類ではstage 3程度です。受傷して間もないのですが、治療をどうしよう...


もう少し若ければ迷うことなく骨接合術を選択します。しかし、年齢が50歳台なので迷うところです。このような場合、自分の家族ならどうするか? と考えます。


少し考えた結果、私なら敢えて骨接合術を選ぶという結論を出しました。たしかに Garden stage 3では外傷性大腿骨頭壊死症を併発する可能性が高いです。


しかし、仮にそこそこ大きな大腿骨頭壊死症を併発しても、すぐに collapseするわけではありません。骨頭壊死発生と発症は違うのです。


数年無症状の人も居ますし、徐々に大腿骨頭が圧壊しても疼痛がさほど強くない人もいます。つまり、仮に大腿骨頭壊死症を併発しても time savingできる可能性があるのです。


そして、人工骨頭置換術には欠点があります。耐用性云々はもちろんですが、高齢者以外では違和感や股関節部痛を残しやすいです。THAと人工骨頭置換術は異なるのです。


もちろん、THAを施行するという手もありますが、日本ではややオーバーインディケーションと受け止められかねません。そして、正常股+外傷のTHAは意外と難しい...。


これらを勘案すると、まずは骨接合術で Challenging operationを施行して、大腿骨頭壊死を併発しても
 time savingするという戦略が望ましいのではないかと考えます。


かなり、偏った方針かもしれませんが、現時点ではこのように考えています。 何が正解かは患者さんによって違いますので、真実は分からないですが...。







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不顕性大腿骨頚部骨折では CTを!

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先日、ブログで不顕性の大腿骨頚部骨折のお話をしました。
この話題について、トチオ先生から下記のようなコメントをいただきました。



CTのaxial像で見て関節包内血腫があれば判断できますが、なかなか難しいですね。



むむっ、CTは coronal image しか見ていなかった・・・。 あらためて axial image を確認すると、たしかに関節内血種をうかがわせる所見がありました!



キャプチャ - コピー



今回は患側しか撮像していませんが、両側を撮像した方が比較できて更に良いかもしれません。MRI を撮像すると一発ですが、枠の問題で早期に撮像するのは難しいことが多いです。


この問題を解決する方法として、両側のCTを検討しても良いのかもしれませんね。トチオ先生、ありがとうございました!






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頚部骨折ではインオペも選択肢のひとつ

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ときどき、高齢者で全身状態の悪い大腿骨近位部骨折の患者さんの治療について、悩むことがあります。ありがちなのは「肺炎を発症して転倒→大腿骨近位部骨折」というパターンです。



高齢者の大腿骨近位部骨折の患者さんは、搬送されてきたときに肺炎を併発していることが多く、手術に踏み切るタイミングを苦慮しがちです。


内科医師や麻酔科医師の立場では、肺炎を治療してから手術に臨むことを是とします。リハビリテーション医師では、肺炎の治療と骨折の治療を並行することを是とするかもしれません。


それでは、主治医である整形外科医の立場ではどうなのか?私はどちらかといえばリハビリテーション医に近い見解です。しかし、大腿骨頚部骨折と転子部骨折では考え方が違います。


大腿骨転子部骨折では、肺炎の治療と並行しながらリスクを冒してでも骨折の治療を優先します。しかし、大腿骨頚部骨折では「インオペ」も念頭に置きながら治療方針を選択します。


それは、大腿骨頚部骨折は大腿骨転子部骨折と異なり、疼痛や全身状態に対する悪影響が比較的小さいにも関わらず、手術侵襲が大きいからです。


このため、全身状態が悪い患者さんに対しては、インオペを選択することも少なくありません。感染等のリスクと得られるベネフィットを慎重に比較して治療方針を決定するのです。


整形外科医的には「インオペ」は論外という風潮もあるかもしれません。しかし、厳しい症例ではインオペも選択肢にする勇気も必要だと思います。




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超高齢者の頚部骨折ではセメントを

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先日、90歳台の患者さんの大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術がありました。人工骨頭置換術にはセメントレスステムとセメントステムがあります。



症例に応じてセメントレスステムとセメントステムを選択することが理想的ですが、セメントレスステム1本槍やセメントステム1本槍という施設が多い印象です。



私の所属している大学医局では、基本的にはセメントレスステムです。私自身はセメントもセメントレスも使用しますが、同僚を見ているとセメントレスに傾注している印象です。



セメントレスステム1本槍も悪くないですが、90歳台以上の超高齢者ではセメントステムも検討するべきではないでしょうか。例えば下記症例はイスムスの皮質骨が比較的しっかりしています。




ap - コピー



右股関節が外旋位で撮影されているためイマイチな画像ですが、大腿骨骨幹部はしっかりしているように見えます。この画像だけであれば、セメントレス
ステムで充分と判断できるでしょう。


しかし、実際に大腿骨骨近位部を展開すると、非常に骨が脆弱でセメントレスステムでは到底対応できませんでした。慎重にラスピングしたのですが、カルカーに小骨折を併発しました。


セメントステムをバックアップで準備していたので事なきを得ましたが、セメントレスステムのみでは相当厳しかったと思います。


このように、術前単純X線像で大腿骨骨幹部の皮質骨がしっかりしていても、実際に手術の参考にはならないケースが、特に90歳オーバーの超高齢者では多いと思います。


このため、90歳台以上の超高齢者では、①基本的にセメントステム使用 ②少なくともセメントステムのバックアップは確保しておく ことが必要だと思います。


くれぐれも、術前単純X線像で大腿骨骨幹部の皮質骨が分厚いから、セメントレスステムでOK! という短絡的な発想は避けるべきだと思います。






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壊死併発の頚部骨折は抜釘するべき?

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1年前のことですが、50歳台の患者さんが転倒して大腿骨頚部骨折を受傷しました。単純X線像ではGarden stage 3でしたが、若年だったのでハンソンピンで緊急手術を施行しました。


そして、術後3ヶ月後に股関節のMRIを撮像したところ、残念ながらtype C2の広範な大腿骨頭壊死を併発していました。受傷後5時間以内に手術を施行したのに残念です。


壊死を併発したのは仕方ないですが、内固定材を抜釘するべきか否かで迷っています。大腿骨頭壊死症でtype C2の場合、10年以内に50%程度の確率で大腿骨頭の圧潰を来たします。


今回の患者さんはやや大柄な男性なので、比較的早期に圧潰が発生することが予想されます。ただ、現時点では全く何の症状もありません。


下肢の骨折手術後の抜釘術は、術後1年前後で施行するケースが多いです。しかし、いずれ大腿骨頭が圧潰することが予想されるので、THAを施行する際に抜釘することも可能です。


また、現在挿入されている内固定材が、ある程度は壊死骨の支柱となっている可能性も否定はできません。抜釘によって大腿骨頭圧潰が発生すると患者さんとの信頼関係が損なわれます。


このようなことを検討した結果、現在大腿骨頭に挿入されている内固定材(ハンソンピン)は、抜釘せずにこのまま置いておくことにしました。


そして、将来的に大腿骨頭の圧潰を併発すればカットアウトするリスクがあるので、早々に抜釘術とTHAを施行する方針です。できれば長期間にわたって圧潰せずにもって欲しいものです。




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