整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

大腿骨頭壊死症

中高年女性の股関節部痛受診の理由

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最近、外来で股関節部痛を主訴に受診される方が多いことに気付きました。患者さんの属性は中高年の女性です。流行り病なのでしょうか?


なぜ、この時期に股関節部痛で受診する人が多いのだろうと疑問に思っていました。そんなある日、とある患者さんが股関節部痛を主訴に受診されました。


一通り診察しましたが、画像所見・身体所見とも明らかな異常所見はありません。特に心配無さそうですと説明すると、この患者さんは安堵の表情を浮かべました。


そして、ボソッと「タレントの堀ちえみさんと同じ疾患だったらどうしようと思ってやってきた
」と 告白されました。。。


なるほど、もしかして最近多い中高年女性の股関節部痛が主訴の受診は、堀ちえみさんの特発性大腿骨頭壊死症が原因だったのかもしれません。


私は芸能界に全く興味がないので 、その手のニュースには注意を払っていません。しかし世の中には、芸能ニュースから影響を受ける層がある一定の割合で存在するようです。


やはり、マスコミの影響は大きいことに今更ながらに気付きました。





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大腿骨転子部骨折後のTHA

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以前施行した人工股関節全置換術(THA)のまとめをしました。
手術手技のピットフォールを備忘録として記載してみました。


この方はまだ60歳台ですが大腿骨転子部骨折を受傷されたため、近医でガンマネイルを用いた骨接合術を施行されました。


通常、大腿骨転子部骨折は大腿骨頚部骨折と異なり、大腿骨頭壊死症を併発することは稀です。しかしtype C2 の大腿骨頭壊死症を併発してしまい、疼痛のため歩行困難となりました。


大腿骨転子部骨折で大腿骨頭壊死症を併発する原因としては、梨状窩から髄内釘を挿入してしまったため大腿骨頭の栄養動脈を損傷してしまうことが挙げられます。


しかし最近の髄内釘は大腿骨大転子頂部から挿入するタイプがほとんどです。この方も単純X線像上で、ガンマネイルの刺入部位に関して全く問題ありませんでした。


大腿骨転子部骨折術後の大腿骨頭壊死症に対してTHAを施行する場合、大腿骨頚部前捻角が健側比でかなり減捻していることが多いです。


これは牽引手術台で手術を施行する際に患肢を内旋位で牽引することが原因です。また、骨折の転位で大腿骨近位の形状が変形するため、通常ステムでは対応できないことが多いです。


セメントレスTHAの場合、このような症例では旧Depuy社のS-ROM-Aの独断場です。手術の際の注意点は下記のごとくです。


  1. 大腿骨頚部が硬化していることが多く、リーミングが困難なことがある
  2. 大転子部が変形しているため、リーミングの際に術中骨折を併発する可能性がある
  3. 遠位スクリュー刺入部の髄内が硬化しており、リーミングが困難なことがある
  4. 外傷後なので軟部組織の弾性が低下している


寛骨臼側の変形は少ないですが、手術の難易度はTHAの中では高い方だと思います。もしこのような症例に遭遇した場合には、できるだけ股関節専門医に任せる方が無難でしょう。




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大腿骨頚部骨折術後は免荷が必要?

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高齢者の大腿骨頚部骨折でGarden stage 1~2は、
CCSやハンソンピンなどの骨接合術を選択する施設が多いと思います。


私は回復期リハビリテーションも担当しているので分かるのですが、後療法は施設間のバラつきが大きく、術翌日から全荷重を開始する施設から3週程度免荷する施設までさまざまです。


私は、術後2~3週程度は免荷する派なのですが、これは術直後から全荷重を許可している施設の症例では骨折部が偽関節化する率がやや高い印象を抱いているからです。


高齢者の大腿骨近位部骨折の治療における最大の目的はADLの維持でなので、可能なかぎり早期から歩行訓練を開始することは理に適っています。


しかし、大腿骨転子部骨折の髄内釘やCHSと比べて解剖学的にも固定性が良好とは言えないので、全例を術翌日から全荷重歩行させるのは少しやり過ぎのように思えます。


この免荷期間のおかげかは分かりませんが、私は高齢者であってもGarden stage 1~2なら偽関節化や大腿骨頭壊死症の併発をほとんど経験したことがありません。


私が荷重開始を許可する目安は、単純X線像で仮骨が見え始めた(骨折部が硬化し始めた)時です。順調に行くと術後2~3週で骨折部の硬化を確認できます。


万が一にも骨折部が偽関節化したり大きな大腿骨壊死症を併発すると後のリカバリーショットが大変なので、極力初回手術で終了できるように後療法を調整しています。



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膝骨壊死でも「発生」と「発症」は違う?

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今日の午前は外来でした。
68歳の男性が左膝関節のMRIの結果説明で再診されました。


この方は、3月初旬に突然発症した左膝関節痛で夜間もかなりの痛みがあるとのことでした。単純X線像では
kellgren-lawrence 分類 grade 1で、ほとんど所見を認めませんでした。


典型的な特発性大腿骨顆部骨壊死症の症状だったので、発症後2週間の時点でMRIを撮像しました。画像は下記のごとくでbone marrow edemaをきたしています。



Fat suppression





そして、よく見るとTIWIで大腿骨内顆に小さな低信号領域を認めます。したがって診断は特発性大腿骨顆部骨壊死症です。



T1WI




しかし大腿骨頭壊死症ではband像が出現するまで発生後4~6週間掛かります。大腿骨顆部ではなぜ発症後2週間でも骨壊死像が出現しているのでしょうか?


おかしいな~?と思ってこのブログを書いていたら、ふと今回の症例も痛みの「発症」がMRI撮像の2週間前であって、骨壊死の「発生」はもっと前であった可能性が高いことに思い当たりました。


そうか、膝骨壊死であっても股関節の大腿骨頭壊死症のように、「発生」と「発症」の時期は違うのかもしれない!と妙にマニアックなことを考えさせられた1日でした(笑)





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今日はちょっと嬉しかったです

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今日はちょっと嬉しかった話です。2ヵ月前に大腿骨頚部骨折(Garden stage 3)で緊急手術を施行した方が退院予定となったので、今日の午前に両股関節MRIを撮像しました。


今回の方はGarden stage 3だったので、ダメ元でのチャレンジング・オペレーションでした。どきどきしながらMRIを読影したところ、術後7週現在で大腿骨頭に帯状硬化像(バンド像)を認めませんでした!


幸いにも大腿骨頭壊死症の併発は無さそうです。もちろん術後12週は経たないと完全に安心できませんが、術後7週で大腿骨頭壊死症の併発が無いようならほぼ大丈夫だと思います。


今回は術後4週間免荷(touch downは許可、股関節可動域訓練は施行せず)で、その後1/3部分荷重から開始しました。1週毎に1/3→1/2→2/3→全荷重として杖歩行で退院していただきます。


患者さんにとって自分の股関節が温存されるのと、大腿骨頭壊死症を併発して将来的に人工股関節になるのとでは天と地ほどの差がありますから本当にうれしいです。


今夜は気分良くビールが飲めそうだなと思いましたが、よく考えたら当直でした(笑)。



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