整形外科医のブログ

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小児

「禁忌」と「禁止」の違い

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添付文書で人工呼吸管理下の小児への投与が禁忌とされているプロポフォールが使用されて、患児が死亡したという東京女子医科大学病院事件の報道が相次いでいます。


これを受けて日本集中治療医学会は、会員向けに理事会声明と国内の学会認定施設における小児集中治療患者への使用の実態調査を公表しました。


これによると、鎮静を目的とした小児へのプロポフォール使用は、全体の19%の施設(20施設)で行われており、東京女子医科大学病院の事例は決して稀なことではないという結果でした。


小児の集中治療における人工呼吸中の鎮静を目的としたプロポフォール使用が禁忌とされている理由は、持続投与による致死的合併症が成人に先行して報告されたことが原因だそうです。


同学会は、声明の中で「禁忌」とは「禁止」とは違い、医師の裁量を法的に束縛する用語ではないと説明しています。このニュースを知って、心の中のモヤモヤがスッキリしました。


私には小児へのプロポフォール使用の是非は分かりませんが、「禁忌」という言葉が独り歩きして東京女子医大への過剰なバッシングが発生している可能性があると思います。


整形外科領域ではMTXの「禁忌」事件が有名です。ご存知のように某製薬会社が保身のために医学的根拠を示さないまま勝手にMTXの「禁忌」事項を追加してしまいました。


つまり私達医師サイドから見ると、「禁忌」とは製薬会社が自己保身のために使う免罪符に過ぎず、本当に臨床的・学術的に正しいのかは分からない項目です。


しかし、医学界の実情を知らない一般の方の間では、「禁忌」という字面の禍々しさのため、あたかも「禁忌」=「禁止」であるという誤った概念が独り歩きしているのが実情だと思います。


膨大な薬剤情報の全てをリアルタイムに適正化することは至難の技だと思いますが、医学的根拠の低い「禁忌」事項を放置しておくことは、医師にも患者にも不幸なことだと思います。



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中足骨頭骨折はFreiberg病の原因?

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今日の午前中は外来でした。
遊具から転落した小学生が初診しました。


右肘関節MCL損傷に対してギプスシーネ固定を行いましたが、前足部も痛がります。第4中足骨頭に軽度の腫脹と圧痛を認めました。しかし単純X線像では明らかな骨折を認めませんでした。


腫脹・圧痛が続くのでしばらくフォローしたところ、受傷後3週目の単純X線像で第4中足骨頭に仮骨形成を認めました。やはり中足骨頭骨折だったのです。


前足部の外傷では成人の中足骨頚部骨折に対して、なぜか小児では中足骨頭骨折が多い印象です。Freiberg病には
中足骨頭骨折の見逃し説がありますが、これだけ骨折の発生頻度が高いと頷けます。


ただ、受傷後3週間ほど経過してから中足骨頭骨折であることが判明したところで治療方針を変えることはなく、そのまま外固定無しでの安静のみにしています。


したがって、「骨折は意地でも見逃さない!」という整形外科医としての自己満足の世界かもしれません。もちろん患者さんにも医療保険の給付金が多少上がるというメリットはありそうですが・・・。



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小児モンテジア骨折の治療

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昨日の午後のことですが病棟回診をしていると、近くの小学校から遊具から転落した8歳の小学生が肘を痛がっているでの診察して欲しいという電話が掛かってきました。


診察すると肘関節外側から前腕尺側にかけて腫脹があったので、モンテジア(Monteggia)骨折を疑って前腕の単純X線像をオーダーしました。案の定、Bado type 1のモンテジア骨折でした。


新鮮例の場合、整復は比較的容易なので保存治療が可能なケースが多いです。前腕を回外位として骨間膜を緊張させて前腕を長軸方向に牽引しながら尺骨短縮や屈曲変形を矯正します。


同時に母指を用いて脱臼している橈骨頭を押し込むと整復されます。整復後はギプス固定を行いますが、前腕回外位で骨間膜を緊張させて肘関節屈曲位(100度程度)にして固定します。


充分な仮骨形成が見られるまで4~6週間程度ギプス固定を施行しています。私は橈骨頭の再脱臼が怖いので、受傷後1~2週程度は単純X線像での確認を頻回に行っています。


成人のモンテジア骨折では橈骨頭の整復位保持が困難なので手術治療が必要になることが多いですが、小児の新鮮例であれば保存治療が充分に可能だと思います。


尚、陳旧例は治療が厄介です。よく言われるように尺骨骨折に目を奪われて橈骨頭脱臼を見逃しがちなので、尺骨単独骨折では橈骨頭の脱臼が無いかを常に確認する必要があると思います。




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小児の自転車車輪への巻込み事故

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昨日は日当直していました。天気が良かったので少し悔しかったですが、土曜日にあった子供の運動会の疲れを癒すには好都合でした。


さて、天気が良かったためか急患が多かったです。そのうちのひとりで6歳の子供が自転車の後部座席に乗っていた際、後輪に足を巻き込まれて足が腫れているとのことで受診されました。


小さな子供が自転車の車輪に足を巻き込まれる事故は非常に多いと思います。感覚的には2~3ヶ月に一度ぐらいは診察する機会があります。ほとんどの患児は踵部の挫創です。


踵部やアキレス腱部の挫創は小児といえどもなかなか治癒しないので、結構長い間通院されている印象を受けます。ただ、骨折を併発したことは一度も経験したことがありませんでした。


しかし、昨日の児は脛骨遠位端の若木骨折を併発していました。当初踵部や外果の挫創に目を奪われていましたが、単純X線像の側面像で皮質骨に僅かですが膨隆している部分があったのです。


圧痛や腫脹もあったため、脛骨遠位端若木骨折は間違い無さそうです。小児の自転車車輪への足部巻込み事故では骨折は無いという私のジンクス(?)は脆くも破られてしまいました・・・。


よく考えてみれば足部が自転車の車輪に巻き込まれるということは、かなり強力な捻れの力が足部に加わることになるので骨折を併発してもおかしくないんですね。



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小児の腹部・骨盤・脊椎のCT検査で高いがんリスク

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Medical Tribune Vol.46, No.36で、高線量の放射線に暴露する小児が増加 という記事がありました。


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高線量の放射線に暴露する小児が増加
JAMA pediatrics(2013; 167: 700-707)
カリフォルニア大学デービス校
Diana L. Miglioretti教授


・ 小児科ではCT検査は20年前から増加している

・ 小児は成人に比べて放射線暴露によってがんを発症する率が高い

・ 固形がんの推定生涯発生リスク: 年少、女児 > 年長、男児

・ 固形がんの推定生涯発生リスク: 腹部・骨盤・脊椎のCT検査 > 他の部位のCT検査

・ 女児の固形がんの発生リスクは下記のごとくです
   腹部・骨盤部CT: 300~390回/毎、
   胸部CT     : 330~480回/毎
   脊椎CT     : 270~800回/毎

・ 白血病の発生リスクは5歳未満の小児が頭部CTを受ける場合に最も高く、5000回/毎の発生頻度と推測された


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今回の研究結果をみて、管理人は意外なほど小児へのCT検査の悪影響が高いことに驚きました。リスク回避の観点からは、小児の頭部外傷などは積極的にCTを施行した方がよいのかなと思ってていました。


しかしこれだけがんの発生頻度が高いと、CTを行うことに躊躇してしまいます。CT施行を検討する段階で、この数字を提示してご両親にどうするか選んでもらうのが妥当なのかなと思いました。




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