整形外科医のブログ

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尺骨神経前方移行術

尺骨神経前方移行術の駆血解除

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先日、外反肘による遅発性尺骨神経麻痺に対する尺骨神経前方移行術がありました。
偽腫瘍は尺骨神経溝部に存在しており、中枢側の筋間中隔の切離もばっちり施行しました。


尺骨神経の前方移行(移動)もスムーズに可能で、特に問題なく手術は終了しそうだったのですが、ここで問題が発生しました。皮下の脂肪組織を剥離する前にターニケットを解除したのです。


術後血腫予防のためにターニケットを解除して止血したまではよかったのですが、皮下の脂肪組織からも少量ですが出血します。このため、どこまで脂肪組織かが分からなくなったのです・・・


駆血を解除した状態で脂肪組織を正確に見極めることは非常に難しいです。特に、今回は皮下脂肪が少ない方だったので、なおさら分かりにくいです。


最終的にはうまく脂肪組織を展開できましたが、この段階で10分ほど時間を浪費してしまいました。ターニケットを解除する順番の問題で、ここまで手術操作が難しくなるとは・・・


今回の経験で、尺骨神経前方移行術では皮下脂肪組織の展開が終了するまでは駆血を解除してはいけないことを学びました。





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尺骨神経の神経移動術 or 移行術?

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先日、肘部管症候群の手術がありました。
この手術の手術申し込みをする時に、術式を記載する際に手が止まってしまいました。


「尺骨神経前方移行術」と記載したのですが、よく考えたら神経移行術ではなく単なる神経移動術であることに気付いたのです。今まで習慣的に尺骨神経前方移行術と記載してきました。


しかし、本来的に神経移行術(nerve transfer )は神経を他の神経に移行するもので、例えば腕神経叢損傷で肘屈曲力を再建するために肋間神経を筋皮神経へ移したりする術式を指します。


これに対して、肘部管症候群では尺骨神経を前方に移動させるだけなので、神経移行術(nerve transfer )ではなく、神経移動術(nerve transposition)が妥当な名称だと思います。


しかし、一般的に肘部管症候群では「尺骨神経前方移行術」という術式名称が使用されています。現に日本整形外科学会のHPでも、尺骨神経前方移行術が使用されています。


まぁ、どうでもいい話なのですが、何となく神経移行術の方が神経移動術よりも手術の難易度が高そうなイメージなので、私は「尺骨神経前方移行術」を使っていこうと思います(笑)。



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症候性外反肘には「非外傷性」もある

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先日、両小指~前腕尺側のしびれを主訴とした若年女性が受診されました。
両肘関節を深屈曲すると、ときどきしびれが増悪するそうです。


身体所見では両肘関節とも可動域制限は認めないものの著明な外反肘を呈しています。上腕骨外顆骨折等の肘関節周囲骨折の既往もありません。


単純X線像を計測すると、Carring angleが左右とも155度でした。女性のCarring angleの正常値が167度(158~178度)なので、両側ともかなりの外反肘であることが分かります。


両側ともOsborne band部にtinel like signを認めます。elbow flex testは両側とも陽性ですが、尺骨神経の神経伝導速度は両側とも正常範囲内でした。背側骨間筋の萎縮もありません。


診断は生まれつきの外反肘に併発した遅発性尺骨神経麻痺ですが、現状では「麻痺」ではなく「神経炎」の状態だと思います。尚、今回は尺骨神経亜脱臼もなさそうです。


私たちが日常的に診察する肘部管症候群や遅発性尺骨神経麻痺の患者さんは、圧倒的に変形性肘関節症や上腕骨外顆骨折などの外傷後の外反肘が多いです。


しかし、女性の肘関節はやや外反傾向のため、非外傷性外反肘の方が存在します。非外傷性であっても、高度の外反肘では遅発性尺骨神経麻痺の存在は考えておく必要があります。


ちなみに、今回の方は現時点では神経障害をきたしていないので経過観察可能です。将来的に尺骨神経麻痺を併発することがあれば、尺骨神経前方移行術が必要になると思います。



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尺骨神経前方移行術では筋間中隔切離を!

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先日、肘部管症候群に対する尺骨神経剥離術がありました。肘部管症候群の患者さんは、変形性肘関節症がベースにあるため肘関節伸展制限を認めることが多いです。


しかし、今回の方は変形性肘関節症が全く無く、関節可動域制限がありませんでした。術中所見は、オズボーン靭帯の近位でpseudo neuromaの形成は認めました。


おそらく、オズボーン靭帯部での尺骨神経の圧迫が原因なのでしょうが、確実性を担保するために尺骨神経皮下前方移行術も追加で施行しました。


尺骨神経皮下前方移行術では肘部管を中心に広範囲に尺骨神経を展開する必要があります。中途半端な展開では肘関節部で前方に移行した尺骨が”く”の字に曲がってしまうからです。


しかし、実は広範囲に尺骨神経を展開するだけでは不十分です。中枢側の筋間中隔の切離を忘れると、テント状に緊張した筋間中隔の上を尺骨神経が跨ぐことになり圧迫されるのです。


また、筋間中隔の少し奥には太い静脈が走行しています。何も考えずに筋間中隔をそのまま切離すると、この太い静脈を損傷してしまうので注意が必要です。


尺骨神経皮下前方移行術のピットフォールは、①筋間中隔の切離 ②筋間中隔に伴走する太い静脈の保護 だと思います。手術の際には頭の片隅に置いておくと良いのではと思います。



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尺骨神経前方移行術のピットフォール

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昨日の午後は肘部管症候群に対する尺骨神経皮下前方移行術でした。
この方は上腕骨顆部骨折後のため、約30度の肘関節伸展制限がありました。


術中所見は、pseudo neuromaの形成は認めませんでしたが、肘部管で尺骨神経が全体的に萎縮していました。おそらく骨折後の瘢痕形成のため肘部管で尺骨神経が圧迫されたのでしょう。


尺骨神経皮下前方移行術では肘部管を中心に広範囲に尺骨神経を展開する必要があります。中途半端な展開では肘関節部で前方に移行した尺骨が”く”の字に曲がってしまうからです。


しかし、実は広範囲に尺骨神経を展開するだけでは不十分です。中枢側の筋間中隔の切離を忘れると、テント状に緊張した筋間中隔の上を尺骨神経が跨ぐことになり圧迫されるのです。


また、筋間中隔の少し奥には太い静脈が走行しています。何も考えずに筋間中隔をそのまま切離すると、この太い静脈を損傷してしまうので注意が必要です。


尺骨神経皮下前方移行術のピットフォールは、①筋間中隔の切離 ②筋間中隔に伴走する太い静脈の保護 だと思います。手術の際には頭の片隅に置いておくと良いのではと思います。




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