整形外科医のブログ

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尿路感染症

整形外科的な尿路感染症への対応法

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高齢女性では尿路感染症が頻発します。
整形外科の入院患者さんは高齢者が多いので、尿路感染症を治療する機会が多いです。


大腿骨近位部骨折後や脊椎圧迫骨折などでリハビリテーション入院の際に、突然熱発することがしばしばあります。 多くの場合、原因は肺炎か尿路感染症(急性腎盂腎炎)です。


尿路感染症の場合には、原因菌の過半数は大腸菌です。 治療法は、レボフロキサシン(クラビット)500mg 1日1回×7~14日投与です。


キノロン系薬に耐性と考えられた場合には、セフトリアキソン(ロセフィン)1~2g、1日1~2回点滴静注、その後、セフカペン(フロモックス)200mg 1日3回×14日投与です。


ちなみに発熱や側腹部痛の無い尿路感染症は急性膀胱炎なので、レボフロキサシン(クラビット)500mg 1日1回×3日投与します。


キノロン系薬に耐性と考えられた場合には、セフカペン(フロモックス)100mg 1日3回×7日投与です。 尿路感染症で泌尿器科にいちいち診察依頼しているとキリがありません。


軽い肺炎や尿路感染症はできるだけ整形外科で対応するように心掛けています。ただ、いずれの場合も治療終了の判断が一番難しいところです。


治療終了のタイミングで迷うケースについては、内科医師や泌尿器科医師に口頭で(カルテをみながら)説明して判断を仰ぐようにしています。



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高齢者の熱発は要注意

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昨日のつづき です。


昨日のお昼過ぎから頭痛・嘔気を訴え始めました患者さんですが、絶食で経過観察していたところ、今朝から熱発が出現しました。


相変わらず心窩部を中心に圧痛があったので、血液生化学検査を施行しました。結果は、WBC/CRP 12000/3.4 と炎症反応が軽度上昇していました。


これはあまり良くない検査結果だなぁと思い、腹部CTを施行しました。すると、総胆管に石灰化を伴った大きな結石があり、胆嚢が腫大してました。


やはり、「高血圧→頭痛・嘔気」ではなく、「胃腸炎(今回は結石性胆嚢炎でした) → 嘔気 → 血圧が上昇 → 頭痛」というストーリーだったようです。


結石性胆嚢炎に関しては内科医師に相談して、パンスポリン点滴開始および絶食を指示しました。発症から治療開始まで24時間以内なので、予後はそれほど悪くないと思います。


それにしても、やはり
高齢者の熱発は要注意だと思いました。私は入院中の高齢者(>80歳)が37度台後半以上の熱発したら、すぐに血液生化学・尿検査と胸部単純X線像を施行します。


過剰医療の謗りを受けるかもしれませんが、私の経験上は80%以上の確率で治療を要する肺炎・尿路感染症・胆管系疾患等を併発していると感じています。高齢者の熱発は要注意ですね。




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在宅医療での重要な2つのポイント

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昨夜は、アルバイト先の新年会に出席してきました。
普段あまり接点の無い先生方とたくさんお話できて有意義でした。


その中のひとりに、在宅医療をされている方が居られました。在宅医療の話はあまり直接お伺いする機会が無かったので、非常に興味深く拝聴しました。


在宅医療では検査もあまりできないので、基本的には問診と簡単な身体所見を取るだけです。それだけでは不安になりませんか?とお伺いしたところ、2つのポイントを教えてくれました。


その2つのポイントとは、下記のごとくです。
① 家族や看護スタッフから普段と変わった様子が無いかを訊く
② 熱発していたら要注意


①に関しては、慢性硬膜下血腫などを念頭に置いています。教科書的には片麻痺や意識障害が云々とありますが、実際の在宅医療の現場ではそのような知識はあまり役に立ちません。


近親者などの普段から頻回に接している方からの「最近、様子が変わってきた」という情報が、疾患発見の重要なポイントになるそうです。


②に関しては、高齢者は生体反応に乏しいので、38度以上の熱発をしているということは何かマズイことが起こっている可能性が非常に高いとのことです。


これに関しては私も全くの同意見で、高齢者の38度以上の熱発は極めて危険なシグナルだと思っています。実際、かなりの確率で肺炎や尿路感染症を併発しています。


このように他科の医師と話をすることで、いろいろな自分の知識や経験がブラッシュアップされます。是非、積極的に機会を見つけていろいろな方とお話することをお勧めします。



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敗血症性ショックの初療についてのまとめ

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TKA術後でリハビリテーション中の患者さんが敗血症を発症しました のつづきです


敗血症性ショックの初期では大量輸液を行うことが推奨されるようになっています。Surviving sepsis campaign guidelinesでは、30分かけて500-1000 mLの晶質液を、あるいは300-500 mLのコロイド液の輸液負荷をして、平均動脈圧70 mmHgを目標に循環動態の回復をはかることを推奨しています。


私が施行したのは晶質液を500 mL/hペースだったので、もう少し投与量を増やしても良かったのかもしれません。ただし、深夜帯で、全身状態の悪いときにCVラインを確保する余裕が無かったため、中心静脈圧を測定できませんでした。中心静脈圧15 mmHgを超えないようにモニタリングできれば、もう少し大量の輸液を施行できたかもしれません。


次に、warm shockの状態を改善するべく、昇圧剤の投与が必要になります。一般的にはカタボンHiが、滴数コントロールが分かりやすいため第一選択となりますが、warm shockの状態では昇圧効果は不十分なことが多いようです。カタボンHiを9μg/kg/min以上投与しても血圧を維持できないようなら、α作用の強いノルアドレナリン投与を開始します。


ちなみに、カタボンは9μg/kg/min以下ではβ1作用が強く、カタボンの低流量持続投与は臓器保護作用があると言われていました。しかし麻酔科の先生によると最近ではカタボンの低流量持続投与による臓器保護作用に否定的な論文が多いらしいです。そうは言っても、ノルアドレナリン単独投与ではα作用が強く出すぎるため、β1作用を期待してカタボンHi+ノルアドレナリン投与が一般的なようです。


無事、敗血症性ショックを乗り切ってもまだ安心できません。血圧が安定してくるとサードスペースに逃げていた大量の水分が血管内に戻ってくるため、心不全をきたすことがあります。血圧をみながら利尿をかける必要があるのです。蛇足ですがbacterial translocationを予防するため、ショック状態が軽減した後には可能な限り早期から経腸栄養を検討するべきとのことでした。





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TKA術後でリハビリテーション中の患者さんが敗血症を発症しました

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2週間ほど前にTKA術後でリハビリテーション中の患者さんが、尿路感染症から敗血症・DICを併発してしまいました。この方は基礎疾患も特になかったので、発症前はほぼノーマークでした。休み明けの午前中にいきなり39度の熱発が出現しました。


前日は36度台でご本人からの訴えも特にありませんでした。CRP/WBC 6.7/7000程度で炎症反応はそれなりに高値ではあります。しかしご本人を診察したところ、何故か何とも言えない重篤感がありました。突然の熱発だったので誤嚥性肺炎を疑い、胸部CTを施行しましたが特に異常所見を認めませんでした。


不明熱の検索では呼吸器・尿路感染症をまず疑うのが鉄則なので、尿検査するとかなり混濁していました。腹部CTで右腎盂の腫脹をみとめたため、急性尿路感染症と診断して第2世代セフェム系の抗生剤を1日3回点滴投与開始しました。


重篤感が何となく嫌だったのですが、やるべき対応をこれ以上思いつかなかったので、経過観察していたところ、準夜帯から血圧低下とともに乏尿 ⇒ 無尿となりました。経過から敗血症性ショックと診断して、大量輸液+カタボン持続投与を開始しました。


急激に状況が悪化してきたので、未明に家族にお越しいただき病状説明をしました。深夜帯でも500ml/hペースで大量輸液しましたが血圧を保てません。まるで底が抜けたバケツのような感覚でした。


いわゆるwarm shockの状態であったため、カタボンHi 9mlでも全く血圧を保てずノルアドレナリンも追加投与開始しました。相変わらず無尿の状態がつづきましたが、ノルアドレナリン投与によって血圧の底支えをして何とか翌朝まで持ちこたえさせることができました。


翌朝から内科の先生による敗血症およびDICの本格的な治療が始まり、発症から約1週間でほぼDICから離脱することに成功しました。整形外科医がDICの治療までイニシアチブを取って治療を行うことはあまり無いですが、敗血症性ショックの初療を施行する機会は少なくないと思います。自分の勉強を兼ねて敗血症性ショックの初療についてのまとめてみました。


敗血症性ショックの初療についてのまとめ につづく




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