先日、透析症例の足部壊疽に対する下腿切断術がありました。
透析を行っている医療機関では、切断術はメジャーな手術だと思います。
私は、大腿切断術や下腿切断術の際に、神経血管束を展開するのが異常に速いです。 大腿骨や脛骨の骨切が終了してから数十秒で、神経血管束をきれいに展開できます。
もちろん、手術が上手いからではなく、ただ単に神経血管束を展開するコツを知っているからです。そのコツとは下記の2点です。
- 解剖学的な神経血管束の部位を熟知している
- 指先を用いて神経血管束の展開する
特に②なのですが、人体において重要な臓器は脂肪組織に覆われていることが多いです。大腿や下腿レベルでの神経血管束も例外ではなく、脂肪組織の中に鎮座しています。
柔らかい脂肪組織の中にある ” 固い索状物 " の神経血管束は指先で触知することで、容易にその場所を判別できます。
具体的には、脂肪組織の中に指先を突っ込んで、索状物に沿って両手指で剥離します。モスキートやメイヨーで真面目に剥離する医師が多いですが、指先だけでも充分に剥離できます。
ガーゼで神経血管束周囲の脂肪組織を除去すると、更に完璧に神経血管束を展開することができます。なまじモスキートで剥離すると血管壁を破ることがあります。
その点、柔らかい指先なら血管壁を損傷する危険性を軽減できます。ただし、切断術を神経血管束剥離のトレーニングの場とみなしている場合は、このかぎりではありません。
多少時間がかかっても、基本に忠実に剥離操作を行って、神経血管束をきれいに展開すればよいと思います。
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