昨日は珍しく体調を崩していました。
原因はおそらく日曜日に食べた大量の焼肉だと思います。
丸一日ですが軽度の熱発と腹痛がありました。私はかなり丈夫な体なので、体調を崩すことはめったにありません。医師の私が言うのも何ですが、失って分かる健康のありがたさですね。
さて、体調が悪いと何をしてもパフォーマンスが下がります。昨日もがんばって仕事をしていましたが、目に見えて普段よりも冴えない仕事しかできませんでした。
最高の仕事をするには健康管理が重要なことを再認識しましたが、ふと当直明けも似たような状態であることに気付きました。もちろん、体調の悪かった昨日ほど冴えないわけではありません。
しかし、当直明けは何となく眠くて気だるいので、普段ほど覇気がありません。私は寝当直であってもある程度ダメージを喰らうので、仕事のパフォーマンスに悪影響を与えます。
当直は身体だけではなく仕事のパフォーマンスにも悪影響を与えるので、寝当直アルバイトは全て止めました。そして、アルバイトは割りの良い日勤もしくは夜診のみに絞っています。
若い頃は当直も勉強だと思っていましたが、冷静に考えれば当直でなくても勉強になる経験を積むことは可能です。したがって当直は睡眠時間とお金を交換しているに過ぎないと思うのです。
日本中の医師が同じ考え方だと医療体制が成り立たないのですが、私は当直は必要悪だと思っています。最高の仕事をするためにも自分の身体を一番に考えるべきではないでしょうか。
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当直
先日、知り合いの整形外科医師から興味深いお話を聞きました。
ある還暦に近いお歳の大学の同門の先生は、今でも当直アルバイトをされています。
さすがにお歳なので、高齢者がメインの長期療養型の病院の寝当直アルバイトだそうです。それでも夜間にときどき起こされることがあるようです。
このため、できるだけ早い時間帯から入眠するそうですが、枕がいつもと違うとなかなか寝付けないとのことでした。そして、この先生は驚くような解決策を考え出したのです。
その解決策とは、なんと自宅で普段使用している枕を当直室に持参することでした!
いわゆる「マイ枕」持参で、当直アルバイトに行っているのです。
私にこの話をしてくれた先生が実際に目撃したようで、大きな紙袋に持参のマイ枕を入れて当直室に入る姿は、少し笑いを誘う光景だったそうです。
マイ枕を使用することで、本当かどうかは分りませんが、当直中も早い時間帯から安眠できるとのことでした。確かにいくら寝当直でも、枕が変わるとなかなか寝付けないものです。
マイ枕を持参する先生は聞いたことが無かったですが、なかなかナイスアイデアだと思いました。当直中に寝付けないとお悩みの方は、一度「マイ枕」を試してみたら良いかもしれませんね。
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MT proの新着記事メールで興味深い記事がありました。
「当直の“シフト制”で医師の睡眠の質が改善」 です。
Medical Tribune 2014年7月16日号に掲載予定だそうです。
以下、MT proからの転載です。
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医師の当直体制の違いによって当直時の睡眠の質と量は変わるのか。
当直業務に伴う睡眠不足は医師の健康を左右する要因でもある。
京都府立医科大学救急医療学の安炳文氏および滋賀医科大学睡眠学教授の宮崎総一郎氏は、医師の当直体制の違いによる睡眠への影響を検討した。
労働政策研究・研修機構が実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(2012年発表)では、医師にとって負担が最も大きいと感じる業務の1つに当直が挙げられた。
同調査では、当直中の平均睡眠時間が4時間未満の者は約半数もいるというが、医師の当直体制の違いによって当直時の睡眠の質と量にどう影響するのかは明かでない。
そのため安氏らは,京都府立医科大学病院の卒後1,2年目の研修医を対象に、当直による睡眠への影響を検討した。当直体制は下記の3種類です。
① ナイトコール: 当直室で休養しながら診察依頼のコールがあるごとに救急室で診察
当直時間18時~8時
② シフトワーク1: 夜間勤務前半(18時~1時)のみ救急室で継続勤務,後半は休養
③ シフトワーク2: 夜間勤務前半は休養、後半(1時~8時)に救急室で継続勤務
当直は曜日によって①のみの体制(指導医は非救急専従医)と、②と③をセットにした体制(指導医は救急専従医)となっている。
当直中の睡眠の量と質の評価は、睡眠日誌やセントマリー病院質問票を用いた自覚的評価と、アクティグラフとポータブル脳波計による客観的評価により行った。
その結果,ナイトコール群に比べてシフトワーク1群で主観的な睡眠の質が有意に高かった。しかし、シフトワーク2群ではナイトコール群との間に有意差は認められなかった。
客観的評価のうち、睡眠の質の指標であるノンレム深睡眠の割合は、ナイトコール群に比べてシフトワーク1群および2群のいずれも有意に高かった(各P=0.016,P=0.042)。
安氏らは、夜間のシフト体制は一般的な当直体制に比べて自覚的・客観的な睡眠を改善する可能性があると結論した。当直時に睡眠を取る方法を工夫する必要があるとしている。
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このように複数の医師による当直体制は、大学病院や日赤等の大規模な基幹病院のみだと思いますが、このような医療機関は患者数が多くて過酷な業務であることが多いです。
このような当直体制の病院では、当直室でコールを待つ一般的な当直体制から、当直時間帯を2つのシフト体制に変えることで、医師の睡眠の質が改善することを示唆するデータです。
私が勤務していた某日赤は、3名の医師(内科・外科・マイナー)が23~8時までの9時間を3時間毎にシフトする体制でしたが、連続睡眠が6時間取れる前と後のシフトは比較的体が楽でした。
もちろんCPAの搬入があると起こされますし、緊急性の高い専門科疾患の患者さんではコールされるので、6時間連続で眠れることは稀です。それでもシフト制は体に優しいと思いました。
シフト制の問題点としては、専門性を如何にして担保するかという問題点があります。専門外の疾患を診るリスクを取るか、睡眠の質を取るかの難しい選択を迫られます。
しかし私の経験上、院内に他科医師が待機している状況は、夜間であっても「あと2時間しのげば専門医にバトンタッチできる」といったように精神的には楽でした。
一般の小規模病院の1人当直体制ではシフト制は難しいですが、徐々にでも医師の当直体制が改善されるといいですね。
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昨日の午前は外来でした。
月曜日の外来は、日曜日に救急受診した患者さんの対応に追われています。
私が勤めている病院は外科医が当直してくれているので、余程のことが無い限り休日を返上しなくてよいのがありがたいです。しかし、外科系の急患は圧倒的に整形外科関連が多いのも事実です。
橈骨遠位端骨折や足関節外側靭帯損傷の患者さんが多いので、基本的には外固定が必要となります。初診時からオルソグラスで固定できればベストなのですが、なかなかそこまで施行できる方は居ません。
そこで、ソフトシーネの出番となります。このシーネは簡単に曲げることができるため、他科の医師が整形外科患者さんの外固定を施行する場合には重宝されます。
しかし、固定性が不十分で本格的に治療するには役不足なので、整形外科医がこれを用いることはありません。つまり、ソフトシーネの寿命は救急での初診から整形外科医の診察までの極短時間のみです。
整形外科医の診察の時点で、新しいシーネ固定かギプス固定を施行されるので、使用済みのソフトシーネは破棄されます。しかし1~2日しか使用しておらず綺麗な状態のものが多いです。
おまけに外固定の点数もソフトシーネもしくはオルソグラス・ギプスのどちらかしか算定できません。つまり、ソフトシーネの材料代が病院の持ち出しになっているのです。
そこで、最近では使用済みのソフトシーネをまっすぐに直して、外科医が再利用できるようにしています。コスト削減と資源の再利用を兼ねた業務改善です。
これで思う存分、当直の外科医には救急で外固定を施行してもらえます(笑)。ただし、看護師さんにしっかり伝達しておかないと、知らない間に破棄されることが多々あります・・・。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
初学者が整形外科の外来や救急業務を遂行するにあたり、最もお勧めの書籍です
整形外科研修ノート (研修ノートシリーズ)
今日は書評です。
医師として仕事をするに際して、薬を処方することを避けることは不可能です。しかし自分の身を振り返ってみると、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬等の一般薬についてきっちりと体系立てて学んだ記憶がありません。
なんとなく泥縄式に業務をこなしているのでそれなりに断片的な知識はあるのですが、個々の知識がバラバラの状態のままでした。そんなときに、大学からパートに来てくれている前期専攻医の先生に『頻用薬の使い分け』を紹介してもらいました。
症状と患者背景にあわせた頻用薬の使い分け―経験とエビデンスに基づく適切な処方
一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており、非常に実践的な書籍だと思います。
この手の知識は一度理解すると次回からは応用が利くので、少なくとも整形外科領域でよく処方する薬剤については系統図を理解した上で、使い分けを覚えていくとよいでしょう。頻用薬の知識の整理には、お勧めできる書籍だと思います。
また、姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。
類似薬の使い分け―症状に合った薬の選び方とその根拠がわかる
一般整形外科医の立場からは『頻用薬の使い分け』の方が有用性が高そうですが、それなりにジェネラルに対応する能力が必要なら、『類似薬の使い分け』もお勧めできる書籍です。
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