Medical Tribune Vol.45, No.38で、人工関節置換術の合併症に関する記事がありました。


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人工関節置換術後の2週間に急性心筋梗塞リスクが著明に上昇
Arief Lalmohamed, et al. Archives of Internal medicine 2012; 172: 1229-1235.


THAとTKAの両手術は、併せて全世界で年間約180万件施行されている。1998.1~2007.12にデンマークでTHAもしくはTKAを受けた95227例のデータを抽出して、背景を一致させた対照群286165例と比較した。


平均年齢はTHA群71.9歳、TKA群67.2歳であった。術後2週間時点でのAMIリスクはTHAで26倍、TKAで31倍であった。術後2週間経過するとAMIリスクは急激に低下するものの、THA施行患者では対照群と比べて術後6週間まで有意に高かった。


術後6週間時点でのAMIとの関連で最も高かったのは80歳以上のTHA施行患者で、一方60歳未満のTHA施行患者では有意なリスク上昇を認めなかった。


術後6週間時点でのAMIの発症リスクは、THA施行群で0.51%、TkA施行群で0.21%であった。


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なかなか衝撃的な論文ですね。私は500例以上の人工関節手術に携わってきましたが、幸いまだ周術期のAMIには遭遇していません。この論文の確率的には1~3例のAMIが発生してもおかしくないです。


デンマーク人が対象なので日本人にそのまま当てはまらないかもしれませんが、人工関節置換術後の心疾患リスク上昇を改めて認識させられました。