私は回復期病棟の運動器疾患の患者さんも担当しています。
もともとリハビリテーション科の医師が居たのですが、待遇の良い病院へ転職していきました。


やむを得ず、リハビリテーション臨床認定医の資格を持つ私が暫定的に対応することになりました。回復期を担当するのは初めて(といっても既に2年近く経ちますが・・・)です。


当然ですが運動器疾患の患者さんに関しては、リハビリテーション専門医よりも整形外科専門医の臨床能力の方が高いです。しかし臨床能力が高いと過信するのは諸刃の剣だと思います。


回復期リハビリテーションを担当していると、ある一定の割合でトラブル症例に遭遇します。今日も他院で手術された大腿骨頚部骨折患者さんが偽関節であることが判明しました。


臨床的には人工骨頭置換術を施行するしか方法は無いのですが、問題はどこで誰が手術を行うかです。リハビリテーション専門医なら間違いなく急性期病院に送り返すでしょう。


彼らには手術を施行する能力が無いので当然の選択です。しかし、整形外科専門医の場合は悩むところです。もちろん整形外科専門医なら自分の力で最後まで対応することが可能です。


しかし他院で施行されたトラブル症例を簡単に引き受けてしまうと、大きな火種を抱え込んでしまうことになります。せっかく旧知の間柄になった患者さんなので、最後まで診療したいです。


最初の頃は、そういう思いに素直に従って自分でリカバリー手術を施行していました。しかし、リカバリー手術は通常手術よりも条件が悪いので、思ったような結果を得られないことがあります。


そういう経験を何回かすると、やはり役割分担をしっかりする方がお互いのためかなと思うようになりました。したがって最近ではトラブルが発生すれば、全例紹介元に送り返しています。


何が正解かは分かりませんが、私は役割分担をしっかり守る方向に舵を切っているのです。少し消極的過ぎるでしょうか?



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です




                         

             
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断