整形外科医のブログ

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急速破壊型股関節症

THA: 骨盤後傾症例は難しい

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先日、急速破壊型股関節症(RDC)に対して人工股関節全置換術を施行しました。今回の患者さんは80歳を超える高齢者で、著明な腰椎後弯と骨盤後傾を認めました。


臥位 - コピー


上記は、臥位での単純X線像正面像です。カップの前方開角が小さく、0~5度ぐらいです。一方、この患者さんの立位での単純X線像正面像は下記です。




立位 - コピー


この画像では、骨盤が極端に後傾しているものの、カップの前方開角は20度ぐらいにみえます。私は臥位よりも立位の状態の方をより重視しています。


このため、カップの前方開角は、どちらかと言えば立位に合わせにいきます。仮にこの患者さんに対して臥位に合わせてカップを設置すると立位時に前方脱臼するリスクが高まります。


このため、術中のカップ設置の際には少し勇気が要りますが、できるだけ前方開角を減じてインパクションするようにしています。骨盤後傾症例は難しいですね。 






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やっぱり難しいRDCのTHA

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先日、変形性股関節症に急速破壊型股関節症(RDC)を併発した80歳台の方に対して、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。


RDCは1970年にフランスのPostelらによって報告された概念で、発症後6ヵ月から12ヵ月間で急速に股関節の破壊が進行する疾患です。


今回の方は昨年12月の発症ですが、たった1ヶ月の間で大腿骨頭と寛骨臼が急速に破壊されました。入院時の単純X線像でも、2週間前と比べてかなり破壊が進行していました。


このような症例では、呑気に構えていると寛骨臼側のボーンストックが無くなってしまい地獄を見ることになります。このため、できるだけ早期の手術が望まれます。


そして、RDCでは股関節内が易出血性の滑膜に覆われていることが多く、出血量は通常の手術の2倍程度になることが多いと言われています。


今回の方は
内閉鎖筋温存の後外側アプローチを試みましたが、関節内が大量の易出血性滑膜に覆われていたため、途中で梨状筋のみを温存する通常の手術にコンバートしました。


とにかく、RDCでは骨質が不良で出血量が多いため、良好な術野で手術を行うことをまず第一に心掛けるべきだと思います。RDCのTHAは難しいですね・・・。



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                       股関節学



THA: カップの固定性不足は焦ります

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昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
いわゆる急速破壊型股関節症(RDC)で、高度の骨盤後傾の方でした。


このような方は骨質が悪い方が多く、慎重な手術操作を求められます。寛骨臼の骨質も不良なことが多く、リーミングでは細心の注意が必要です。


リーミングのファーストコンタクトでリーミングの力を7割ぐらいに抑えておかないと、あっという間に内板まで到達することがあるのです。昨日の方もこれに該当する骨質の悪さでした。


もちろん慎重にリーミングしたので、肉眼的に骨質が不良なこと以外は寛骨臼内の掘削状況は良好でした。しかしカップのインパクションを行っても充分な固定性が得られなかったのです。


THAにおいて、カップの充分な固定性を得られないことは術者にとって結構なプレッシャーになります。このような場合、私なら下記のような対応を採ります。


 ① その場所でリーミングしなおす
 ② 上方に向かって新たにリーミングする
 ③ スクリューのみで固定する。


今回の方は寛骨臼の破壊のため骨量が乏しく、①と②を選択しづらかったので③を選択しました。 カップの固定性が悪くても3本のスクリューがしっかり利けば術直後から全荷重可能です。


ただしスクリューのみで固定する場合、1本目のスクリュー挿入時にカップ外側傾斜角が大きくなることがあります。これを避けるため1本目挿入後にホルダーを装着して角度を確認します。


実際、本日の方も1本目のスクリューを挿入した段階でカップの外方傾斜角が大きくなったので、一度スクリューを抜去してからカップを至適角度に設定してインパクションし直しています。


THAは術者に要求される技術がTKAと比べて高いです。ラーニングカーブの立ち上がりが遅いので、100例近い症例を経験するまでは慣れた股関節外科医と手術を行う方が無難だと思います。



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                                    人工股関節全置換術



THA: 両刀使いになってみました(笑)

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昨日の手術は、午前・午後とも人工股関節全置換術(THA)でした。
午前中の方は、特にリスクも無かったのでいつもどおり前外側アプローチで手術を行いました。


しかし、午後の方は大量のステロイドを内服しているため、高度の骨脆弱性を有する症例でした。両寛骨臼荷重部および左大腿骨頭に脆弱性骨折を併発するぐらい高度な骨粗鬆症だったのです。


今年の6月の発症にも関わらず、たった5ヶ月で大腿骨頭および寛骨臼の高度の圧潰をきたしたので、いわゆる狭義の急速破壊型股関節症(RDC)の定義を満たします。


このような方では、軟部組織をレトラクトするだけでも寛骨臼前後壁に骨折を併発することがあります。術中は、組織に出来る限り緊張が掛からないように配慮する必要があるのです。


したがって、この方には後外側アプローチで手術を行いました。後外側アプローチは展開が容易で組織に緊張が掛からないのですが、デメリットとして前外側アプローチと比べて股関節安定性に難があります。


逆に前外側アプローチでは組織の緊張が強く展開が難しいですが、術後の股関節安定性は抜群です。私は前外側アプローチ派なので、後外側アプローチでは非常に股関節安定性に気を使います。


カップの前方開角やステムの前捻角などでは、アプローチの違いによって目標角度に微妙な違いがあります。またリーミングの際に掘削されがちな方向も違うため注意が必要です。


後外側アプローチで展開が容易であったため手術は難無く終了しましたが、慣れないアプローチでは細かい所にまで気を使うので非常に気疲れする手術でした。



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                                    人工股関節全置換術



THA: 急速破壊型股関節症(RDC)の手術は気を使います・・・

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今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
骨盤後傾の強い高齢女性で、術前から急速破壊型股関節症(RDC)を疑っていました。


術野を展開すると股関節内は易出血性の滑膜に覆われていました。このため、術中出血量は通常の2倍近くありました。


骨質が悪くて寛骨臼の破壊が高度だったので、今回はStrykerのTritaniumを選択しました。このような症例では、リーミングを慎重に行う必要があります。


基本的には軟骨下骨を温存するようにリーミングの深さを調整しています。一旦、軟骨下骨を貫通すると脆弱な粗鬆骨しかないのでカップの固定性が極めて不良になるからです。


骨盤の異常な傾き・骨質の悪さ・易出血性が高率にあるので、RDCに対するTHAは本当に気を使います・・・。やはりRDCは、プライマリーTHAとしては難しい部類に入ると思います。


それでも10年ほど前と比べれば、骨盤の異常な傾きや骨質の悪さへの対処方法は格段に進歩しているので、以前ほどRDCに対するTHAはストレスではなくなってきているのも事実です。



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                                    人工股関節全置換術



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