整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手根管症候群

母指対立再建の環指FDSの判別法

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、手根管症候群に起因した母指対立障害に対して、手根管開放術および母指対立再建術を施行しました。昔はCamitz変法を好んで行いましたが、最近は環指FDSで再建しています。



移行後



環指FDSを使用すると、手根管開放のための手掌部皮膚切開2cm+FCU部皮膚切開の2cm+環指MP関節部皮膚切開の1cmで手術が可能です。


Camitz変法は手掌部に長大な皮膚切開が必要で皮下組織のダメージも大きいと思います。これに対して環指FDSは少し環指の屈曲力が低下するものの、軟部組織のダメージは少ないです。


手術のピットフォールは、手根管入口部で環指FDSを探し出すことに手間取ることがあることです。手根管入り口部で「これかな?」と目ぼしい屈筋腱を引っ張っても環指DIPまで動くのです。


このような場合、環指MP関節部で切離したFDSに掛けているナイロンを引っ張ると、手根管入り口部で環指FDSのみが動くので判別することが可能です。


手根管入口部でおみくじを引くように「これかな?」と屈筋腱を1本ずつ試すよりも、環指MP関節部で切離したFDSそのものを引っ張って動かす方が判別に要する時間が早いと思います。



キャプチャ



最後はこんな感じで母指対立位となります。移行腱の至適な緊張度を判断するのはなかなか難しいです。「本当にこれが至適な緊張度なのか?」は、いつもあまり自信がありません・・・




★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく実践的な医学書です。


 







手根管内の石灰沈着性腱炎

このエントリーをはてなブックマークに追加

先日、右母指から中指の突然発症した激烈な疼痛としびれを主訴にした60歳台の男性が初診されました。診察すると明らかに正中神経領域の神経刺激症状です。



P1080137 - コピー



単純X線像では上記のように手根管内に小さな石灰化を認めました。発症機序と画像所見から石灰沈着性腱炎の一種だと診断しました。私は以前にも似たような症例を経験しています。


リリカとロキソニンを投与してしばらく経過観察していると発症後1ヶ月でかなり軽快しました。しかし、発症後2ヵ月で再度単純X線像を撮影したところ、石灰化はあまり変化ありませんでした。


おそらく沈着した石灰自体のボリュームによる正中神経の圧迫ではなく、周囲の炎症によって正中神経周囲の軟部組織が腫大して正中神経を圧迫していたのでしょう。


症状が激烈な場合には手術を施行して手根管の除圧を図るかどうかを悩みます。基本的には安静にしていると炎症は軽快するので、まずは保存療法を選択するのが妥当かなと思います。



             ★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。
特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく
実践的な医学書です。




                                                   

                                        
            
手の外科の実際                       私の手の外科―手術アトラス








陳旧性月状骨周囲脱臼に合併した手根管症候群

このエントリーをはてなブックマークに追加

今日の午前は、アルバイト先で外来をしていました。
1ヵ月前から右母指~環指橈側までのしびれが出現したという方が初診されました。


右母指球は萎縮しており、問診の段階で手根管症候群であることは容易に推測されます。しかし、この方の単純X線像を確認して驚きました。なんと月状骨周囲脱臼を併発しているのです。


この方は30年前にバイク事故で手関節の治療を受けたようですが、どうも月状骨周囲脱臼を見逃されていたようです。手関節背側の月状骨部分が陥凹しています。


既に、radiocarpal jointおよびmidcarpal jointにはOAを認めます。
側面像では掌側に脱臼した月状骨が派手に正中神経を圧迫していそうです。


論文を漁ってみたところ、手根管開放術の際に掌側脱臼した月状骨および舟状骨の一部を切除するという報告を散見しました。やはり掌側脱臼した月状骨がCTS発症に影響していそうです。


経舟状骨の月状骨周囲脱臼では、舟状骨骨折に目を奪われて月状骨脱臼を見逃してしまう可能性があります。万が一にも見逃してしまうと今回のようなことになってしまいます。


通常の舟状骨骨折と比べて、月状骨周囲脱臼では手関節の腫脹が極めて高度です。いつもと違う感じだな? と思ったら、側面像で月状骨の位置を確認する習慣が必要かもしれません。



             ★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。
特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく
実践的な医学書です。




                                                   

                                        
            
手の外科の実際                       私の手の外科―手術アトラス








急性の手根管症候群?正中神経炎?

このエントリーをはてなブックマークに追加

今日の午前は外来でした。6日前に赤ちゃんを抱っこして入浴していたところ、突然左手の激烈な痛みとしびれを発症した若い女性のフォローアップをしました。


この方の初診は今週の月曜日で、初診時には激烈な左母指から環指の痛みとしびれを訴えていました。待合室で気分が悪くなって倒れたほどの痛みだったようです。


手関節の腫脹も軽度認めましたが、発赤はありませんでした。正中神経領域の発汗もあり、決してオーバーに言っているのではなく、本当に気分が悪くなるほど痛かったことが分かります。


神経伝導速度ではdistal latencyの遅延を認めませんでしたが、手関節MRIでは手根管内の滑膜炎を疑う所見を認めました。正中神経もリング状になっており、腫脹しているようです。



CTS 2



一種の手根管症候群であることは間違い無さそうですが、ここまで急激に発症するタイプは経験がありません。血液生化学検査で炎症反応の上昇は無く、化膿性屈筋腱炎ではなさそうです。


症状が激烈だったので緊急手術の要否を検討しましたが、循環障害は無さそうだったので外固定と消炎鎮痛剤およびプレガバリン(リリカ®)処方で経過観察することにしました。


幸い2日ほどで症状が軽快したようで、本日時点で症状はほぼ消失していました。結局、原因が良く分からなかったのですが、何らかの原因で正中神経炎を発症していたのかもしれません。



             ★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。
特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく
実践的な医学書です。




                                                   

                                        
            
手の外科の実際                       私の手の外科―手術アトラス








出産後の手根管症候群

このエントリーをはてなブックマークに追加

今日の午前は、外来でした。
梅雨なのに雨が降らないので、残念ながら外来は盛況です(笑)。


出産後1ヵ月の方が、両手指(母指~中指橈側)のしびれを訴えて受診されました。問診だけで整形外科医なら「手根管症候群」の診断がつくと思います。


通常、妊娠中や出産後の手根管症候群は、できるだけ患側を使わないようにさえすれば経過観察のみでも軽快する場合がほとんどだと思います。


しかし、今日の方は出産後もどんどん症状が強くなるとのことでした。母指球の萎縮は無いので緊急性は無いのですが、授乳中のためあまり積極的な治療ができません。


リリカ投与はもちろん不可ですが、赤ちゃんに塗り薬が付いてしまう可能性がある(?)とのことで、
ODT療法にまで難色を示します。少し神経質過ぎる気もしますが、治療を強要するわけにもいきません。


この方が神経質になっている理由をよくよく訊いてみると、ネットで産後の手根管症候群を調べてみたら、いろいろな情報が錯綜していたようで不安になったそうです。


確かにネットで「手根管症候群 出産」で検索すると、大丈夫なのか??と思いたくなるような情報がたくさんありました。何故かカイロプラクティックのHPが上位表示されていたりと、怪情報満載です・・・。残念ながらまともな整形外科医による情報はほとんどありませんでした。


余談はさておき、妊娠中や産後の手根管症候群は、ホルモンバランスの変化で手根管内に浮腫性変化が生じることで発生しますが、赤ちゃんを抱っこし過ぎることも一因だと言われています。


一般的に授乳中の方には手関節の安静を図ることを目的にシーネ固定をすることで治療を行いますが、妻が育児真っ最中の管理人的にはなかなか実践しづらい治療方法であることも理解できます・・・。なかなか授乳中の方に治療するのは難しいですね。




             ★★ 管理人お勧めの医学書 ★★
 


広島大学名誉教授の津下先生による、手の外科における必須の医学書です。
特に、「私の手の外科」は津下先生直筆のイラストが豊富で、非常に分かりやすく
実践的な医学書です。




                                                   

                                        
            
手の外科の実際                       私の手の外科―手術アトラス








アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

           管理人の著書
   勤務医のための資産形成マニュアル
      医師のための 資産形成講義
2015神戸セミナー

      築古木造戸建投資マニュアル
      医師のための 金融資産形成術
医師のための金融資産形成術

        タダで自宅を手に入よう!
   資産形成のコンサルテーション・サービス


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。