整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術

手術とインフルエンザワクチン

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インフルエンザの季節が到来しました。
この時期、外科医として注意するべきことがあります。


それは、インフルエンザワクチンの接種時期です。ワクチンによる副反応がおこりうる時期には、人工関節置換術のような予定手術を行うべきではありません。


インフルエンザワクチンの添付文書を確認しましたが、この点について明確な記載はありませんでした。そこで他の医療機関の事例を調べると、概ね下記のような状況のようです。


  •  生ワクチン接種後3~4週間
  •  不活化ワクチン接種後2日~2週間


これらを勘案して、私が勤めている施設ではワクチン接種から手術まで、下記の期間あけるようにしています。特にインフルエンザワクチンは接種率が高いので注意が必要です。


  •  生ワクチン接種後3週間
  •  不活化ワクチン接種後1週間(インフルエンザワクチンを含む)


ワクチンによる副反応がおこりうる時期は、副反応が増強する可能性があるため予定手術は延期する方が望ましいです。生ワクチンでは、感染症発症の可能性があります。


また、ワクチンにより抗体を産生するべき時期に、手術や麻酔により免疫が抑制されることで、抗体産生が不十分となる可能性もあります。


実務的な問題点は、期間の長い生ワクチン(壮年~高齢者:帯状疱疹ワクチン、小児:ポリオ、麻疹、風疹、BCG、おたふくかぜ、水痘)だと思います。


もちろん、小児顆上骨折や高齢者大腿骨近位部骨折などの緊急時では、患者本人もしくは親権者に危険性を十分説明して同意を得たうえで手術を行うことになります。






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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


    




関節リウマチ手術変遷の雑感

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またまたタイトル違いで恐縮です。11月14日付けのケアネット週間人気コンテンツで、ナント第1位に輝きました! すぐに首位から陥落しそうなので早めの報告でした(笑)。



2 - コピー




さて、本題です。生物学的製剤の登場で、関節リウマチの治療体系は激変しました。私が医師になった時には、日本ではまだMTX投与さえも認められていませんでした。



たくさんの種類の生物学的製剤を使用えきるようになって、明らかに関節リウマチの機能予後は改善しています。その端的なことは、関節リウマチ手術の内容の変遷です。


2000年台前半までは、THAやTKAなどの大関節手術や頚椎病変に対する固定術が多かったです。寝たきりに近い患者さんが手術によって、ADLを劇的に向上させる様は印象的でした。


しかし、最近ではこれらの大関節や頚椎病変に対する手術はめっきり数が減りました。これは生物学的製剤の登場で関節リウマチのコントロールが容易になったことが原因です。


大関節や頚椎手術が激減する一方で、手の外科や足の外科の手術数は、それほど劇的には減少していません。今では関節リウマチ手術=手の外科手術と言っても過言ではない状況です。


大関節手術や頚椎手術が減少したこと自体は非常に喜ばしいものの、生物学的製剤全盛の現在であっても、手の外科や足の外科領域ではまだ十分に治療効果を得ていないようです。


今年もJAK阻害剤が発売されましたが、整形外科医からみた関節リウマチ治療は、手の外科・足の外科分野の制圧に移ってきているのかなと感じています。





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海外で受ける手術は危険なのか?

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国際化のためか、旅行中の事故のために外国で手術を受けた方を時々診察します。
やはり、骨折の手術が多いですが、このような方は問診の段階で身構えてしまいます。


何故なら、かなりの確率で「えっ・・」と絶句してしまう術後単純X線像だからです。頻度的にはオーストラリアで手術を受けた方が多い印象ですが、絶句画像のオンパレードです。


米国・英国・東南アジア諸国で手術を受けた方でも、どうしようもない画像を頻回にみかけます。その国の医療水準の問題なのか、旅行者に対する手抜きの問題なのか、どちらなのでしょう?


例えば、先日見たオーストラリアで手関節の掌側プレートを受けた症例では、ほとんど骨折の整復がなされておらず、しかもプレートが橈骨掌側面から完全に浮き上がっていました。


このままでは長母指屈筋腱皮下断裂は必発でしょう。一刻も早く抜釘しなければなりませんが、内固定材料が何なのかが分かりません。


ハワイで頸椎前方固定術をされた症例では、移植骨片およびプレートが脱転していました。。。どうやったらこんな手術になるんだろう???


タイで脛骨遠位端骨折の関節内骨折観血的手術を施行された症例では、整復状態は素晴らしかったのですが、残念ながら感染していました。


あぁ、海外で手術を受けることはこんなにリスキーなのか。。。単なるカラーバス効果なのかもしれませんが、もし自分が外国で手術を受けねばならくなったらどうしよう?


少しでも帰国できる芽がありそうなら、ICUジェットをチャーターしてでも絶対に帰国しようと思います。やはり、海外旅行するときには、保険は必須ですね。





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整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。








ワクチン接種と手術までの待機期間

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インフルエンザのシーズンが到来しました。
全国の医療機関でインフルエンザワクチンの予防接種が始まっています。


先日にTHAを施行した患者さんが、手術日の10日前に近医でインフルエンザの予防接種を受けていました。麻酔科の術前訪問の際に、このインフルエンザ予防接種が問題になりました。


ワクチン接種してからしばらくの間は手術や麻酔を控えることが一般的だそうです。恥ずかしながら、私は今までそのようなことを考えたことがありませんでした。


手術や麻酔を控える期間は施設によってまちまちなのですが、インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンでは概ね1~2週間が多いそうです。


そこで、アステラス製薬が発行している2016年版のインフルエンザワクチンQ&Aを通読してみました。ざっくり目を通しましたが、手術や麻酔に関してはほとんど記載がありませんでした。


唯一関連する箇所はP8の最後の7行だけでした。以下にその部位の要旨を抜粋します。
  • 全身麻酔による免疫系の影響は小さく一過性である(48時間~4日)
  • 麻酔前にワクチン接種を禁忌とする根拠はない
  • ワクチンの副反応と術後合併症の区別をするため、術前は不活化ワクチンで2日~1週間前、生ワクチンで14日~21日前までに接種して、術後は1週間あけることが望ましい


なるほど、あまり神経質になることはなさそうです。人工関節や脊椎手術などの予定手術に関しては、あらかじめ患者さんに説明しておいた方がいいかなぐらいの感覚ですね。




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一般的で使用頻度の高い、鎮痛薬・睡眠剤・感冒薬・胃薬・止痢薬・去痰薬・便秘薬等の薬剤が、全13章にわたって系統立てて書かれています。それぞれの章の最初に、薬剤の分類図が記載されています。各系統間の薬剤の使い分けも平易な文章で書かれており実践的な書籍です。









姉妹本に『類似薬の使い分け』があります。こちらは全15章からなり、降圧剤、抗不整脈薬、狭心症治療薬、脂質異常症治療薬、糖尿病治療薬、消化性潰瘍治療薬、鎮咳薬、皮膚科疾患治療薬、抗菌薬などが1章ずつ割り当てられています。








良い手術とは確実さとミスの少なさ

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
【Essay】 ゴルフ道と外科道 です。


今回のエッセイストは、東京慈恵会医科大学外科学講座 教授の大木隆生先生でした。この欄ではさまざまな医師が、”気ままに” 私見を述べているので結構面白い記事が多いです。


近年はゴルフ人気の凋落が著しく、かつて2,000万人いた日本のゴルファー人口は900万人を割り込み、男子プロの試合も半減して多くのゴルフ場が倒産しているそうです。


近年のワークライフバランスやオン・オフ概念が浸透した結果、希薄になった職場での人間関係と帰属意識の薄れが、若手ゴルファー減少の遠因ではないかと推察しています。


大木先生は、組織におけるゴルフ熱はその組織の求心力の高さを測るバロメーターと考えており、ゴルフコンペなどを開催して医局への帰属意識を高めているそうです。


そして、ゴルフには外科手術と多くの共通点があり、「ゴルフを極めようとする過程は手術のそれと重なる」 と主張されています。その要点を下記のごとくです。




〔平常心を保つ〕
初心者の手術は緊張感との戦いです。そしてどんなに術前に準備していても、平常心を失うと全てを失います。安心・安全が徹底されたリスク回避の現代社会で、違法行為を除けば緊張感を味わえる機会はめったにありません。ゴルフはプロでさえOBを打つほど不確実性が高いので、1mのパッティングでさえ緊張する上に、違法行為のように人様に迷惑をかける事はありませんので、緊張感の中で平常心を保つ訓練には最適です。


〔減点主義〕
ゴルフは如何にミスを少なくするかを競うスポーツと言われるくらいミスが出やすいスポーツですが、良い手術とそうでない手術の違いもスーパーショットの数ではなく、数百に及ぶステップの確実さとミスの少なさによって決まります。手術をする限り不可避な合併症と向かい合う外科医にとって、格好の修練です。


〔急がば回れ〕
無風でフラットな完璧な状態でスイングできる事はめったにないのと同様に、完璧な患者もめったにいません。持病がある、肥満体、癒着があるなど個々の症例や状況に応じて、さじ加減や戦略を変える事が手術でも大事です。またボールを林やバンカーに打ち込んだ際のリスクマネージメントは、手術が思い通りに運ばなかった際の勇気ある撤退やダメージコントロールに似ていて、急がば回れ精神は両者に必要な発想です。


〔結果が全て〕
ゴルフでは「あがってなんぼ」と言われますが、過程はどうあれ結果が全てと言う意味です。手術でメスさばきも手技も鮮やかなのになぜか合併症が多い外科医と、練習場ではいいショットが打てるのにスコアがまとまらないゴルファーは似ています。ゴルフを通じて1つ1つのプロセスを結果につなげる努力をする事は、合併症を減らすのに有用でしょう。


〔素質無用〕
天賦の才で瞬く間に上達するゴルファーはいますが、他のスポーツと比べて運動神経や体力などの才能のなさを補いやすいスポーツだと言え、それは手術における持って生まれた器用さと似ています。ゴルフは手術同様、運動神経、器用さ以外に上述したような様々な要素の占めるウェートが大きいので、不器用でも手術が上手で合併症が少ない、運動神経が悪くても上級者になる事が可能で、そういう意味ではいずれも門戸が広いです。


〔その他〕
マナーの重要性、腕前が全てではないので「道」である、play fastと手術時間の短縮、原因究明と試行錯誤の重要性、言い訳無用の自己責任なども共通しています。







特に、〔減点主義〕の項の「良い手術とそうでない手術の違いもスーパーショットの数ではなく、数百に及ぶステップの確実さとミスの少なさによって決まります」という部分に得心しました。


私も、手術は確実に各ステップをクリアして、ミスなく粛々と進めていくことが秘訣だと感じています。途中で大きなミスをしてしまうと最終的な結果に大きな影響を及ぼしてしまいます。


特に、基本的な手技の難易度がさほど高くない脊椎後方除圧術においては、いかにミスなく各ステップをクリアしていくかという根気の良さが問われます。


私のような平均レベルの医師にとっては、スーパーショットではなく数百に及ぶステップの確実さとミスの少なさを追求することが、コンスタントに結果を出せる外科医への道なのでしょう。





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