整形外科医のブログ

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手術部位感染

術前手洗いはもみ洗いでOK!

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Medical Tribune 2014年1月23日号に興味深い記事がありました。「医療機関における環境管理」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


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NTT東日本関東病院外科部長・手術部長
針原 康 氏


手術時手洗いの目的は,片手当たり105〜106個程度の細菌数を102〜103個程度に減少させることにあります。この目的は滅菌水でなくとも水道水で達成が十分に可能です。実際,手術時手洗い後の手指残菌数の検討で滅菌水と水道水で差がないと指摘されています。

2005年2月の厚生労働省の省令改正により,手術時手洗いの設備は従来求められていた滅菌水による手洗い設備は必要とせず,水道水でもよいこととなりました。

ただし,手洗い設備は常時清潔に保たれるようにするとともに,手洗い設備に供給される水道水も定期的に残留塩素濃度を測定するなど適切な管理が必要とされています。


以下、中略


手術時の手洗い法として従来のブラシを用いるスクラブ法に対し,擦式消毒用アルコール製剤を十分に擦り込むラビング法が普及しつつあります。

米疾病対策センター(CDC)による手指衛生のためのガイドラインでは,手術時手洗い時の使用薬剤として①皮膚常在菌を十分に減少させる②低刺激性である③広範囲の抗菌活性を持つ④即効性,持続効果がある—ことが推奨されています。

ラビング法に使用されるクロルヘキシジンを含むアルコール製剤には,アルコール製剤の即効性とともにクロルヘキシジンの持続効果(残留活性)が期待されています。

両法の間で手術部位感染(SSI)の発生率を比較したフランスのランダム化比較試験(RCT)では,SSI発生率はスクラブ法2.48%,ラビング法2.44%と有意差がないと指摘されています。


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結論的には下記のごとくです。
① 術時手洗い後の手指残菌数の検討で滅菌水と水道水で差がない
② スクラブ法とラビング法の間で手術部位感染(SSI)の発生率に有意差は無い


ラビング法は手荒れが少なくなるので、手術が多い整形外科医としては助かります。私も基本的にはラビング法ですが、手指先端のみブラシを使用しています。


尚、従来の滅菌水に変えて水道水を導入する際には、手洗い設備に供給される水道水の定期的な残留塩素濃度測定などの適切な管理が必須です。




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人工関節手術の手術部位感染(Surgical Site Infection; SSI)対策

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手術という医療行為において、完全に感染を防ぐことは不可能です。
したがって、感染リスクを低コストで最小限に抑えることが必要とされます。
特に、整形外科ではTHAやTKAなどの人工関節全置換術が行われるため、SSI対策が非常に重要です。


私達の施設では、数百例の人工関節手術をおこなってきましたが、幸いにも初回手術の感染例はありません。さまざまな対策を行っていますが、浜松医療センターの岩瀬先生が股関節学会で発表された方法も導入しています。


手術グローブのピンホールは、骨を操作する整形外科領域では頻回に発生します。
放置すると感染源となるのですが、なかなかグローブに穴があいていることに気付きません。


通常、人工関節手術は2重手袋で行う施設が多いと思います。
深層の手袋をカラーグローブ(グリーン等)・表層のグローブを通常のホワイトにすると、ピンホールが非常によく分かります。


カラーグローブは、通常のホワイトのグローブよりも100円程度割高です。
しかし、一度感染すると社会的な損失が巨大なので、この価格差にも妥協しています。



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