整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

手術

手術では名より実を取る

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先日、粉砕型の尺骨肘頭骨折の手術を施行しました。
術前の画像は斜位で見づらいですが、下記のごとく大きな第3骨片を伴っています。



P1080902




粉砕型の肘頭骨折なので、通常の鋼線締結法以外にもロッキングプレートを用いた手術も検討することになります。少し迷いましたが、今回も通常の鋼線締結法を選択しました。


術後の単純X線像は下記のごとくで、大きな第3骨片は軟鋼線で上から抑え込んでいるため、特に追加の骨接合術は施行していません。とにかくシンプルさを追求しました。



術後LR
術後AP



私は、できるだけシンプルな手術を心掛けています。このため、人工関節はモジュラー型ではなく一体型でシンプルなもの、骨接合術では鋼線締結法などの安価で単純なものを好みます。


手技や機器が複雑になるほど、習熟度が問題となります。ひとりの医師が経験できる症例数は限られているので、汎用性の高いシンプルな手技に特化して経験値を上げる作戦です。


ちなみに、私は簡単な骨接合術であっても必ずイメージを使用します。今回の肘頭骨折では、側面像のイメージコントロール下に肘頭骨片からK-wireを刺入しました。


私の最初の師匠は、オープンリダクションではイメージ不要論者でした。しかし、イメージを使用すると確実性を見込めるので、私は師の意見に反してイメージを使います。


確かにイメージ無しでさっさと手術を終わらすのは整形外科医としてかっこいいのですが、できるだけ治療成績を高めるために、敢えて私は名よりも実を取る方針を貫くつもりです。





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示指MP関節ロッキングの橈側手術

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先日、久しぶりに示指MP関節ロッキングの手術を行いました。
MP関節ロッキングは比較的珍しく、忘れた頃に症例を経験する印象です。


示指MP関節ロッキングの診断のポイントは、MP関節が屈曲位をとり伸展できないのですが屈曲はできることです。徒手整復を試みて成功しなければ手術が必要となります。


ロッキングの原因は中手骨骨頭のvolar lipという骨棘に副靭帯(fan like portion)がインピンジすることで発生します。手術では副靭帯(fan like portion)および骨棘(volar lip)を切除します。


さて、ロッキングは示指の橈側が原因であることがほとんどですが、圧痛点がMP関節橈掌側に
あることで最終確認します。もし、尺掌側であれば尺側を展開しなければならないからです。


アプローチは示指の橈側が原因であれば、側方アプローチが容易です。皮下を展開して伸筋腱膜を末梢に引くと副靭帯(fan like portion)が見えるので起始部で切除します。



volar lip - コピー



今回はvolar lipがよく分かりませんでしたが、上図の中手骨関節面の上にあった副靭帯(fan like portion)を切離するとロッキングが解除されました。


その後はvolar lipと思われる部位の骨をリウエルで切除しました。切除後の画像は下のようになっています。この操作によってMP関節ロッキングが再発することはないと思います。



切除後 - コピー



尚、注意点としてはロッキングを最終段階まで極力解除しないことです。理想的には副靭帯(fan like portion)を切離した瞬間にロッキングが解除されることです。


直視のみでは原因個所を判定することが難しいので、術前からロッキングが解除されている症例に手術を行ってはいけません。


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手術に対する恐れの気持ち

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先日、上司の先生と手術についてお話をする機会がありました。
私は手術は嫌いではないし、人並み以上の技量はあると思っています。


しかし、実は手術に対する「恐れ」を常に抱いています。例えば、人工骨頭挿入術は整形外科医にとって非常にメジャーな手術です。私も数え切れないほどの手術をしてきました。


それでも、いざ大腿骨頚部骨折が入院して人工骨頭挿入術の手術予定を入れると、手術の前日はちょっとブルーになります。何となく不安な気持ちを払拭できないのです。


どんなに経験を積んでも、究極的には患者さんの全てをコントロールすることは不可能だからです。術中骨折を併発したり、術後に全身状態が悪化する可能性はゼロではありません。


私がプレッシャー無く手術できるのは、バネ指に対する腱鞘切開術ぐらいのものです(笑)。実際、これだけ毎週のように手術症例があると精神的に休まる暇がありません。


このような手術に対する「恐れ」を常日頃から感じているので、自分は少し病的なのかもしれないな(?)と密かに思っていました。


しかし、上司の先生と雑談していると、なんとその先生も私と同じように手術に対する「恐れ」を感じているとのことでした!更に、卒業年次がもっと上の先生も同様のことを吐露したそうです。


そうか、あの先生まで( ※  私よりも10年以上先輩の医師)、未だに手術に対する「恐れ」があるとは・・・ と目からウロコな気持ちになりました。


私は、精神的に外科医に向いていないと思ってアーリーリタイアを考えた時期がありました。しかし、私のように手術に対する「恐れ」を抱いている先生の存在を知って少し安心しました。


手術に対する「恐れ」をある程度感じることは、それほど異常なことではなさそうです。逆に全く手術に対する恐れが無くなると、慎重さが無くなって事故の原因になるのかもしれませんね。



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どうする? 大腿骨不顕性骨折の治療

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先日、転倒後から右股関節部痛を訴えて歩行不能となった高齢者が入院しました。
単純X線像・CTでは明らかな骨折を認めませんでした。


念のためMRIを施行したところ、転子部にT1WI 低信号・T2WI 等~高信号・脂肪抑制画像では高信号の帯状領域を認めました。


画像上は、bone bruiseもしくは不顕性骨折(occult fracture)を疑います。身体所見では股関節の他動時痛は軽度のみで、少なくとも床上ではADL制限がありません。


一応、骨折だとは思いますが、治療方針をどうするかで悩みました。大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (初版)では、occult fractureでは骨接合術を推奨すると記載されています。


しかし、エビデンスは無いとのことでした・・・。ちょっと無責任ですね(笑)。私は、しばらく免荷して仮骨形成を認めた段階で荷重訓練を開始すると、転位なく骨癒合が得られた経験があります。


早期に手術を施行するか否かは考え方次第だとは思いますが、私はoccult fractureで保存治療から手術治療へのコンバート例を経験したことが無いので、今回も保存治療を選択しました。


単純X線像やCTで骨折の有無を判断できない方に、リスクを取って手術を施行するのもどうか? と思ったのです。保存治療で骨癒合することを祈りつつ、慎重に経過観察しようと思います。



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術中に脱皮できるプロテクター!

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透視を使用する骨折手術の際には、プロテクターを着用すると思います。
しかし、プロテクターは結構重いので、長時間着用していると肩が凝ります。


そうは言っても術中の被爆を防ぐためにはプロテクター着用が必須です。必要性は高いものの鬱陶しいプロテクターなのですが、以前勤務していた病院で興味深いモノがありました。


何と、このプロテクターは術中に清潔の状態で脱ぐことが可能なのです。どのようなプロテクターかと言うと下の画像のようなもので、肩ベルト部分をタスキ状にして着用します。


150302




そして、術中透視が不要な段階になったら、清潔ガウンの上からストラップ部分を剥がして床面にプロテクターを落とします。こうすることで清潔のまま、プロテクターを脱ぐことができるのです。


以前の病院では頚椎手術や多発外傷の手術で、このプロテクターを愛用していました。そして術中にプロテクターを脱ぐ行為が習慣化し、今では大腿骨近位部骨折の手術でも脱皮しています。


実は画像のプロテクターは、腋窩部のベルトをハサミで切っています。最初、放射線技師さんには「本当に切るんですか?」とかなり訝しがられました。


しかし、構わずに腋窩ベルトを切って、”術中脱皮用プロテクター”として使用しています。今では放射線技師さんも慣れてきて、「また脱皮ですか」と軽口を叩くようになりました。


特に長時間の手術では、プロテクターを脱皮できることは非常に便利で快適です。プロテクターにハサミを入れるのは若干勇気が要りますが、快適な手術のためにお勧めの小枝情報です。



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